“なみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ナミ
語句割合
30.8%
27.5%
10.6%
普通10.2%
10.0%
尋常1.9%
波濤1.4%
0.8%
0.6%
0.6%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
通常0.3%
波浪0.2%
0.2%
並札0.2%
並等0.2%
光波0.2%
巨浪0.2%
巨濤0.2%
0.2%
平常0.2%
普常0.2%
波紋0.2%
海波0.2%
0.2%
0.2%
濤聲0.2%
無視0.2%
通例0.2%
那美0.2%
那見0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それで、かれは、じっとして見守みまもっていました。ふねから、ひとがおりて、みぎわあるいて、ちいさなはこなみのとどかないすなうえにおろしました。
希望 (新字新仮名) / 小川未明(著)
津浪つなみとはなみすなはみなとあらはれる大津浪おほつなみであつて、暴風ぼうふうなど氣象上きしようじよう變調へんちようからおこることもあるが、もつとおそろしいのは地震津浪ぢしんつなみである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
なみ状袋じょうぶくろにも入れてなかった。また並の状袋に入れられべき分量でもなかった。半紙で包んで、封じ目を鄭寧ていねいのりり付けてあった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
普通なみのものが其様な発狂者を見たつて、それほど深い同情は起らないね。起らないはずさ、別に是方こちらに心をいためることが無いのだもの。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
北をさすを、北から吹く、逆らう風はものともせねど、海洋のなみのみだれに、雨一しきり、どっと降れば、上下うえしたとびかわり、翔交かけまじって
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夜眼にハッキリとは解らないが、家の造り方も尋常なみちがい、きわめて原始的のものらしく、ひときわ眼立つ一軒の大厦たいかは、部落の長の邸であろう。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こんな処でイクラ法螺ほらを吹いても、あの波濤なみのスバラシサばっかりは説明が出来ないと思うが、何もかも無い。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
傲岸な、金の力に依つて、人間の道をなみしようとした相手は倒れてゐる。さうだ! 勝利は明かだ。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
信長もまた、少年の時から、鷹狩は好きだと聞いていたので、なみならぬ好意を示してきたわけである。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生理的の欠陥があるとは自分で思ってはしませんが、兎に角、僕はなみ外れて性慾が弱いようです。所が、夫婦生活には、この性慾ということが可なり重大な条件らしいのです。
野ざらし (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
板敷の間に床畳とこだたみを設けた室で、几帳御厨子きちょうみずしかざり壁代かべしろの絵なども皆古代のもので、なみの人の住居ではなかった。真女児は豊雄に御馳走ごちそうした。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
酒には一々新聞の欄になぞらへた仇名が附けてある。なみの焼酎を「社説」と云ふ。コニヤツクを「電報」と云ふ。葡萄酒を「外国通信」と云ふなどの類である。
板ばさみ (新字旧仮名) / オイゲン・チリコフ(著)
乗り合いは再び地上のなみられて、浮沈のき目にいぬ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
来往無昼夜 来往らいおうすること昼夜ちゅうやなみするや
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
りそそげ。生命いのちなみ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
與之助が立身の機は一度うしなひて又の日の量り難きに、我れはいさゝかも優しく脆ろく通常なみ一とほりの婦女をんな氣を出だすべからず、年來馴れたる中のたがひに思ふ事も同じく
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
噸數とんすう一千とんくらゐ二本にほん烟筒えんとつ二本にほんマストその下甲板げかんぱんには大砲たいほう小銃等せうじうとうめるにやあらん。いぶかしきまで船脚ふなあしふかしづんでえたそのふねが、いま闇黒あんこくなる波浪なみうへ朦朧ぼんやりみとめられたのである。
やが本艦ほんかん間際まぎはになつたが、うみ盤水ばんすいうごかすがごとく、二千七百とん巨艦きよかんゆらり/\とたかく、ひくく、端艇たんていあきのごとく波浪なみをどつて、とて左舷々梯さげんげんてい寄着よりつこと出來できない。
なみがすっかりしずまっていた。
楢ノ木大学士の野宿 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
崖のあしには多分はなみ
楢ノ木大学士の野宿 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
まるで切札なんか一枚もなく、やつと並札なみの十が上々で、揃札くつつきひとつないのに、妖女ウェーヂマの方では後からあとから二二一ピャチェリクばかり揃へやがる。
あなたを並等なみな状態にかえすためには少しつらいかもしれないけど、こんなふうな即物的な療法が必要だと思うのよ。まず
よ、巨浪なみいかりててんき。 黒雲こくうんひくうみる。
墨を流した空の下に、怪物のような巨濤なみが起伏して、その大穴へ船がちこんでゆくときは、今にも一呑みにされるかと思われた。
と、いうようなかんじもした。また、あの黒い鳥はなみの鳥でない、あの鳥が来てから何か自分の家に不幸が起るようなことがあるまいかとも思った。
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
僕の論は平常なみの人にはきっと悪くいわれるよ。ダカラ愚論でないのサ。愚論でないから分らないのサ。人間に分るような浅薄の議論は仕方がないのサ。
ねじくり博士 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
普常なみの職業に従事してゐるのなら、分別盛り働き盛りの年輩だつた。けれども今の儘の彼は、舞台で絶えず道化を演じてゐるに過ぎなかつた。真面目な役は一つも振られなかつた。
(新字旧仮名) / 久米正雄(著)
あなたの二階の硝子窓がらすまどおのずから明るくなれば、青簾あおすだれ波紋なみうつ朝風に虫籠ゆらぎて、思い出したるように啼出なきだ蟋蟀きりぎりすの一声、いずれも凉し。
銀座の朝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
弦月丸げんげつまるして航路かうろ海波なみてらしつゝ、ずん/″\と前方かなたはしつた。
いと忠實まめ/\しくはたらさま如何にも孝子と見えけるゆゑ九助も不便ふびんに思ひ勝手元迄かつてもとまで手傳てつだひて少しなが母公はゝごに何ぞまゐらせられよと錢一貫文くわんもんやりければ母子は有難なみだを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
笑うのも無理はない、王の前には大きい酒のかめが幾つも並んでいて、どの甕にも緑の酒があふれ出しそうになみなみと盛ってあった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
遠く砂濱を打つ濤聲なみの騷がしさに、曉風の靜まる迄一睡もなし能はざりし其の夜わが腦裡に成りし一幕物なり。
しかるに彼はこの志士が血の涙の金を私費しひして淫楽いんらくふけり、公道正義を無視なみして、一遊妓の甘心かんしんを買う、何たる烏滸おこ白徒しれものぞ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
通例なみの歩き方で、二歩というところが一歩というぐあいで、その間隔あいだが非常に遠いのじゃ、それで、なにか考えながら歩いておったとわしは推測したのだが……
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
男は無論例の野武士のぶしである。相手は? 相手は女である。那美なみさんである。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
部下の御家人で那見なみ市右衛門という老人を仮親かりおやに立て、名を園絵と改めさせて、牛込築土うしごめつくどまんに近い神尾方へ送り込んだのだった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
美のこゝろを碎いて理に入るべきことをば、われなみせしことなし。これを非せしやうにおもはれたるは、沒理想を無理想とおもはれたるがためなりと。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
一三一豊臣の威風四海をなみし、一三二五畿七道一三三ややしづかなるに似たれども、一三四亡国の義士彼此をちこちひそかくれ、或は大国のぬしに身をせて世のへんをうかがひ、かねて一三五こころざしげんとはかる。