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普通
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なみ
ふりがな文庫
“
普通
(
なみ
)” の例文
障子も
普通
(
なみ
)
よりは幅が広く、見上げるような天井に、血の
足痕
(
あしあと
)
もさて着いてはおらぬが、
雨垂
(
あまだれ
)
が
伝
(
つたわ
)
ったら
墨汁
(
インキ
)
が降りそうな古びよう。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
普通
(
なみ
)
のものが其様な発狂者を見たつて、それほど深い同情は起らないね。起らない
筈
(
はず
)
さ、別に
是方
(
こちら
)
に心を
傷
(
いた
)
めることが無いのだもの。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
こういう有様であるから、とても
普通
(
なみ
)
の小供のように一通りの職業を習得するは思いも寄らず、
糊口
(
くちすぎ
)
をすることが
関
(
せき
)
の
山
(
やま
)
でありました。
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
... 一斤ずつも使うと随分高いものになります。
普通
(
なみ
)
の処は何で拵えますか」お登和嬢「普通のペースは牛の
生脂
(
なまあぶら
)
即ちケンネ脂で致します。 ...
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
木の枝に腰をかけたり、怪しいことばかりがあるのだからなあ……
普通
(
なみ
)
の人間の分け入るのを、
厭
(
いと
)
っているのだよ、この森はな。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
可哀
(
かわい
)
そうに!
普通
(
なみ
)
の者なら、何ぼ何でも
其様
(
そん
)
なにされちゃ、手を
下
(
おろ
)
せた
訳合
(
わけあい
)
のもんじゃございません、——ね、
今日
(
こんにち
)
人情としましても。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
お庭は随分お広うござんすから、夜の景色は中々
宜
(
よろ
)
しゅうございましょう、
併
(
しか
)
し貴方、アノ窓は
普通
(
なみ
)
の窓より
余
(
よ
)
ほど低く出来ていますから
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「どうしても
普通
(
なみ
)
の人間では無い。
不具
(
かたわ
)
では……
白痴
(
ばか
)
では無論ないけれども確に
普通
(
なみ
)
ではない。あれで人間としての價値があるだらうか。」
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
人情の花も
失
(
なく
)
さず義理の幹も
確然
(
しつかり
)
立てゝ、
普通
(
なみ
)
のものには出来ざるべき親切の相談を、一方ならぬ
実意
(
じつ
)
の有ればこそ源太の懸けて呉れしに
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
その庭は、かく半世紀以上も手を入れられずに放棄されていたので、
普通
(
なみ
)
ならぬ様になり一種の魅力を持つようになっていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
来る事は来るが、みんな驚いて逃げ出しちまいまさあ。全く
普通
(
なみ
)
のものの出来る
業
(
わざ
)
じゃありませんよ。悪い事は云わないから御帰んなさい。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鍋
(
なべ
)
から鍋へと
往
(
い
)
ったり来たりして、味をみ、意見を述べ、確信ある調子で料理の法を説明していた。
普通
(
なみ
)
の料理女はそれを
畏
(
かしこま
)
って聞いていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
戸の隙から、
一寸
(
ちょっと
)
覗いて見ると、やはり眼を
閉
(
つぶ
)
って何事をか念じているように、太い、白い眉は、何処か、
普通
(
なみ
)
の僧でないという感じを抱かせた。
僧
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
最前列には、口髭と
房髪
(
チューブ
)
をたくはへて、頤を剃りたてた、頸の太い貴族や
普通
(
なみ
)
の百姓たちが、ずらりと立ち並んでゐた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
普通
(
なみ
)
の絵具は生徒が買合せの安物の水絵具で辛抱してゐたが、緑青と
群青
(
ぐんじやう
)
とだけは、自分の
宅
(
うち
)
から
懐中
(
ふところ
)
へ
捻
(
ね
)
ぢ込んで来てそれを生徒に売つてゐた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
大錦君は下戸で四五杯も猪口を受けると全く紅くなる、それで居て飯もタント食はぬ。牛肉も半斤とは食はずして茶漬を
普通
(
なみ
)
茶碗に四杯軽く流し込んだ。
相撲の稽古
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
外國の美しい女優を見馴れた義男は、この平面な
普通
(
なみ
)
よりも顏立ちの惡るいみのるが舞臺に立つといふ事だけでも恐しい無謀だとしきや思はれなかつた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
泥棒
(
どろぼう
)
が
監獄
(
かんごく
)
をやぶつて
逃
(
に
)
げました。
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
をたよりにして、
山
(
やま
)
の
山
(
やま
)
の
山奥
(
やまおく
)
の、やつと
深
(
ふか
)
い
谿間
(
たにま
)
にかくれました。
普通
(
なみ
)
、
大抵
(
たいてい
)
の
骨折
(
ほねを
)
りではありませんでした。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
たった一軒の漁師の
家
(
うち
)
がある、しかし一軒が
普通
(
なみ
)
の漁師の五軒ぶりもある
家
(
うち
)
でわれら一組が山賊風でどさどさ
入
(
はい
)
っていくとかねて
通知
(
しらせ
)
してあったことと見え
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
あれは
卵
(
たまご
)
の
中
(
なか
)
にあまり
長
(
なが
)
く
入
(
はい
)
っておりましたせいで、からだつきが
普通
(
なみ
)
に
出来上
(
できあが
)
らなかったのでございます。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
恐らく
生来
(
うまれつき
)
であらう、左の方が前世に死んだ時の儘で堅く眠つて居る。右だつて完全な目ではない。何だか
普通
(
なみ
)
の人とは黒玉の置き所が少々違つて居るやうだ。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
普通
(
なみ
)
の
汁粉
(
しるこ
)
へ
唯
(
た
)
だちよいちよいと
焼塩
(
やきしほ
)
を
入
(
い
)
れるだけの事だ、
夫
(
それ
)
から
団子
(
だんご
)
、
道明寺
(
だうみやうじ
)
のおはぎ
抔
(
など
)
があるて。
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
假初ながら十日ごしも見馴れては
他處
(
よそ
)
の人ともおもはれぬに、歸るに家なしとかいひし一言のあやしさをおもへば、いづれ
普通
(
なみ
)
ならぬ悲しき
境界
(
さかい
)
をさまよふにこそ
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
有り難いことには
普通
(
なみ
)
ものを作るので、手荒い仕事で終っているのである。この事情が仕事を救っている秘密である。特に
高台
(
こうだい
)
の削りの如き昔風で、他に例を見ない。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
あきないのことなどわからない
普通
(
なみ
)
の女であると思っているだけに、集まっている和泉屋の者一同にとっては、かなり迷惑なことでもあり、また
業腹
(
ごうはち
)
にも感じられた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私は私があの方に見すてられて
空虚
(
うつろ
)
となった心持ちをあの鼓の
音
(
ね
)
にあらわしたのだ。だから生き生きとした音を出させようとして作った
普通
(
なみ
)
の鼓とは音色が違う筈である。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
女に「何を飲むか」と僕が問ふと「茶を」と云つた。女は
普通
(
なみ
)
の女で無くて近頃
此
(
この
)
街の
寄席
(
よせ
)
で
折折
(
をりをり
)
踊る踊子であつた。無邪気な若い女で僕等の問ふ
儘
(
まゝ
)
に
色色
(
いろいろ
)
の事を話した。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
尤
(
もっと
)
も、それは、きん坊とあんぽんたんだけで、あとの人は
普通
(
なみ
)
に、器楽の方を主にして教えはしたが、二人の子供は歌の方が三日、
琴
(
きん
)
の方は一日で自分から弾けてしまった。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それから白木へ行って、大島絣の
普通
(
なみ
)
のを一反買った。柄は河野が見立ててくれた。
未来の天才
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
見ると、脊は
普通
(
なみ
)
より高い、痩形で、黒羅紗のチヤンとした正服を着て居る。
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
もお話した様なわけでネ、自分ながら思案に暮れましたの、どうせ泥水商売してるからにや、
普通
(
なみ
)
の
女
(
ひと
)
の様なこと思つたからとて、
詮
(
せん
)
ないことなんだから、
寧
(
いつ
)
そ松島と云ふ
男
(
ひと
)
の所へ行つて
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
それは実に見事なもので、大道を
普通
(
なみ
)
の人が歩くのと異らなかった。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
娘はもう意識がもうろうとしているらしく、片方の足をいま一方の足へのせていたが、その上げ方が
普通
(
なみ
)
よりもずっと高かった。あらゆる点から見て、往来にいることさえも意識していないらしい。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
普通
(
なみ
)
の人なら
彼
(
あ
)
の鰻で気絶してからは来なくなるのが
当然
(
あたりまえ
)
だ。井上さんなんか乃公が眼を
突
(
つっつ
)
いて見てからは死んだか生きたかさえ分らなくなってしまった。然るに此教師は全く
性
(
しょう
)
も
懲
(
こり
)
もない奴である。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
丑松が
根津村
(
ねづむら
)
の学校へ通ふやうになつてからは、もう
普通
(
なみ
)
の
児童
(
こども
)
で、誰もこの可憐な新入生を穢多の子と思ふものはなかつたのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そこから東へ坂道を上れば、七面岩の上へ出ると、木場の人達が云っていたよ。
普通
(
なみ
)
の道に比べると、三分の一だということだよ
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
普通
(
なみ
)
の小さきものとは違いて、夏の宵、夕月夜、
灯
(
ひとも
)
す時、
黄昏
(
たそがれ
)
には
出来
(
いできた
)
らず。初夜すぎてのちともすればその翼もて人の
面
(
おもて
)
を
蔽
(
おお
)
うことあり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少しずつ入れては
展
(
の
)
ばして行って
普通
(
なみ
)
の味噌汁より濃い位なドロドロにしてそれをまたお鍋へ入れてザット煮て出すのだよ。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
あけた窓、しめた窓、暖炉のすみ、
肱掛椅子
(
ひじかけいす
)
、
普通
(
なみ
)
の椅子、
床几
(
しょうぎ
)
、腰掛け、
羽蒲団
(
はねぶとん
)
、綿蒲団、
藁蒲団
(
わらぶとん
)
、何にでもきまった金をかけておくことだ。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「外交官の試験に落第したって、ちっとも恥ずかしがらないんですよ。
普通
(
なみ
)
のものなら、もう少し奮発する訳ですがねえ」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
人情の花も
失
(
な
)
くさず義理の幹もしっかり立てて、
普通
(
なみ
)
のものにはできざるべき親切の相談を、一方ならぬ
実意
(
じつ
)
のあればこそ源太のかけてくれしに
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
なんでもない
普通
(
なみ
)
の嗅煙草を嗅ぎ始める様子を見ても、自然と頭が下るやうな人徳といふものが窺はれるのぢや。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:01 はしがき
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
普通
(
なみ
)
の犬ころなどと
異
(
ちが
)
って品の
好
(
よ
)
いものでなかなか賑やかで
愛嬌
(
あいきょう
)
がある。そこで第一に一つ彫り初めました。
幕末維新懐古談:53 葉茶屋の狆のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
第一君にも氣の毒だ。僕の働きなんてものは、
普通
(
なみ
)
の男の以下なんだから。僕はたしかに君一人養ふ力もないんだから一時別になつてくれたまへ。その代り君を
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
容色
(
きりょう
)
も悪くはなし年だって私と
同
(
おんな
)
じなら未だいくらだって嫁にいかれるのに、ああやって一生懸命に奉公しているんだからね。全く
普通
(
なみ
)
の
女
(
もの
)
にゃ
真似
(
まね
)
が出来ないよ。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
種々
(
いろん
)
な人に接触して居たし、随つて一寸
普通
(
なみ
)
の人には知れぬ種々な事が、目に見えたり、耳に入つたりする所から、「要するに釧路は慾の無い人と真面目な人の居ない所だ。」
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
これが
普通
(
なみ
)
の女であったらわア/\騒いで
屹度
(
きっと
)
人を呼びましょう、それでも助ける人がなければ可愛や
食物
(
くいもの
)
はなし棺の中で
飢死
(
うえじに
)
に死んで仕舞うだけ、実にどうも非道の致し方で
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
よって、貸した借りたとは申しても、
普通
(
なみ
)
の借銭とは、おのずから
理
(
ことわり
)
をべつにしておる
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私もそれは同じ想だ。泣出しそうな
面
(
かお
)
をして、バタバタと駆出し、声の聞えない処まで来て、漸くホッとして、
普通
(
なみ
)
の
歩調
(
あしどり
)
になる、
而
(
そう
)
して
常
(
いつ
)
も心の
中
(
うち
)
で
反覆
(
くりかえ
)
し反覆し
此様
(
こん
)
な事を思う
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
背丈けが
普通
(
なみ
)
の女以上にスラリとしているので、チエ子の手を引いて行くのはいくらか
自烈度
(
じれった
)
いらしかったが、それでも、二人とも新しいフェルトの
草履
(
ぞうり
)
を
穿
(
は
)
いて、イソイソとしていたので
人の顔
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“普通”の解説
普通(ふつう)とは、広く通用する状態のこと。普通の『普』は、「あまねく」「広く」を意味する字である。
対義語として、「特別」「特殊」「特異」「奇異」。類義語として、「一般」「通常」「平常」「平凡」「平庸」「凡庸」「平(ひら、なみ、つね)」「並(なみ、つね)」「庸(なみ、つね)」など。
(出典:Wikipedia)
普
常用漢字
中学
部首:⽇
12画
通
常用漢字
小2
部首:⾡
10画
“普通”で始まる語句
普通牌
普通着
普通人
普通名
普通大体
普通教育
普通民家
普通選挙
普通選擧
普通社会人