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波濤
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なみ
ふりがな文庫
“
波濤
(
なみ
)” の例文
其時大鈴の音が響き渡つた。教室々々の戸が開いた。他の組の生徒も教師も一緒になつて、
波濤
(
なみ
)
のやうに
是方
(
こちら
)
へ
押溢
(
おしあふ
)
れて来た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
こんな処でイクラ
法螺
(
ほら
)
を吹いても、あの
波濤
(
なみ
)
のスバラシサばっかりは説明が出来ないと思うが、何もかも無い。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
富は有利化されたるエネルギー(力)であります。しかしてエネルギーは太陽の光線にもあります。海の
波濤
(
なみ
)
にもあります。吹く風にもあります。噴火する火山にもあります。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
しかるにその船が南太平洋の
波濤
(
なみ
)
にもまれているうち、大暴風にでも遭ったものか、それとも海賊に襲われたものか、まったく行方不明になって、南太平洋の
波濤
(
はとう
)
は黙して語らず。
南極の怪事
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
中には
活々
(
いき/\
)
と
青草
(
あをくさ
)
の
生
(
は
)
えている古い
頽
(
くづ
)
れかけた屋根を見える。屋根は恰で
波濤
(
なみ
)
のやうに高くなツたり低くなツたりして
際限
(
さいげん
)
も無く續いてゐた。日光の具合で、處々光ツて、そして
黯
(
くろ
)
くなツてゐる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
▼ もっと見る
方様は首尾よく予備門を卒業したまひしかば、これにいよいよ力を得て、これよりは今一際の辛抱にて、我は名誉ある学士の奥様といはれ。母様も、年頃うき世の、
波濤
(
なみ
)
を凌ぎたまひし甲斐ありて。
葛のうら葉
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
私が出た岡の上は可成
眺望
(
ちょうぼう
)
の好いところで、大きな
波濤
(
なみ
)
のような傾斜の下の方に小諸町の一部が
瞰下
(
みおろ
)
される位置にある。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ガチャリと電話が切れたと思うと、やがて
船腹
(
ふなばら
)
を
震撼
(
しんかん
)
する
波濤
(
なみ
)
の
轟音
(
おと
)
が急に高まって来た。タッタ二
節
(
ノット
)
の違いでも波が倍以上大きくなったような気がする。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
往昔
(
むかし
)
から
世界
(
せかい
)
第
(
だい
)
一の
難所
(
なんしよ
)
と
航海者
(
かうかいしや
)
の
膽
(
きも
)
を
寒
(
さむ
)
からしめた、
紅海
(
こうかい
)
一
名
(
めい
)
死海
(
しかい
)
と
呼
(
よ
)
ばれたる
荒海
(
あらうみ
)
の
血汐
(
ちしほ
)
の
如
(
ごと
)
き
波濤
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
を
駛
(
はし
)
つて、
右舷
(
うげん
)
左舷
(
さげん
)
より
眺
(
なが
)
むる
海上
(
かいじやう
)
には、
此邊
(
このへん
)
空氣
(
くうき
)
の
不思議
(
ふしぎ
)
なる
作用
(
さよう
)
にて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
此の屋根の
波濤
(
なみ
)
は、大きな東京の
蓋
(
ふた
)
だ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
然し深い
風趣
(
おもむき
)
に乏しい——起きたり伏たりして居る
波濤
(
なみ
)
のやうな山々は、不安と混雑とより外に何の
感想
(
かんじ
)
をも与へない——それに
対
(
むか
)
へば唯心が
掻乱
(
かきみだ
)
されるばかりである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
それから三日ばかりした真夜中から、
波濤
(
なみ
)
の音が急に違って来たので眼が
醒
(
さ
)
めた。アラスカ沿岸を洗う暖流に乗り込んだのだ……と思ったのでホッとして万年
寝床
(
ベッド
)
の中に
起上
(
たちあが
)
った。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
機關室
(
きくわんしつ
)
に
働
(
はたら
)
く
事
(
こと
)
も
能
(
あた
)
はず、
詮方無
(
せんかたな
)
きまゝ、
立
(
た
)
つて
見
(
み
)
つ、
居
(
ゐ
)
て
見
(
み
)
つ、
艦首
(
かんしゆ
)
から
縹渺
(
へうべう
)
たる
太洋
(
たいやう
)
の
波濤
(
なみ
)
を
眺
(
なが
)
めたり、「ブルワーク」の
邊
(
ほとり
)
から
縱帆架
(
ガーフ
)
に
飜
(
ひるがへ
)
る
帝國軍艦旗
(
ていこくぐんかんき
)
を
仰
(
あほ
)
いで
見
(
み
)
たり、
機關砲
(
きくわんほう
)
を
覗
(
のぞ
)
いて
見
(
み
)
たり
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
明るい
波濤
(
なみ
)
は
可畏
(
おそろ
)
しい音をさせて、二人の
眼前
(
めのまえ
)
へ来ては砕けた。白い泡を残して引いて行く砂の上の潮は見る間に乾いた。復た押寄せて来た浪に乗って、多勢の船頭は
艀
(
はしけ
)
を出した。
船
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“波濤”の意味
《名詞》
波 濤(はとう)
大波。
(出典:Wiktionary)
波
常用漢字
小3
部首:⽔
8画
濤
漢検準1級
部首:⽔
17画
“波濤”で始まる語句
波濤洶涌