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並
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なみ
ふりがな文庫
“
並
(
なみ
)” の例文
旧字:
竝
そのときのようすなどが
目
(
め
)
にうつると、
日
(
ひ
)
ごろから、一つの
風船球
(
ふうせんだま
)
にも、
貧
(
まず
)
しい
人
(
ひと
)
たちの
並
(
なみ
)
ならぬ
労力
(
ろうりょく
)
が、かかっていると
思
(
おも
)
った。
おさくの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
並
(
なみ
)
の
状袋
(
じょうぶくろ
)
にも入れてなかった。また並の状袋に入れられべき分量でもなかった。半紙で包んで、封じ目を
鄭寧
(
ていねい
)
に
糊
(
のり
)
で
貼
(
は
)
り付けてあった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しょっちゅう
後
(
うしろ
)
から、戸に頭をぶつけてまで、「あのう、
並
(
なみ
)
の食卓で召し上りますか、それとも、別にお一人分の食卓に致しましょうか」
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
並
(
なみ
)
の大きさの、しかも、すらりとした
脊丈
(
せたけ
)
になって、しょんぼりした肩の処へ、こう、
頤
(
おとがい
)
をつけて、
熟
(
じっ
)
と客人の方を見向いた、その美しさ!
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
アッチもコッチもとお菓子を
慾張
(
よくば
)
って
喰
(
た
)
べこぼすのを野枝さんが一々拾って世話する処はやはり世間
並
(
なみ
)
のお母さんであった。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
とたんに、この大広間の一方から、手に手に大きな菓子折りを捧げたお坊主が多勢、ぞろぞろ出てきて、一つずつ、
並
(
なみ
)
いる一同の前へ置いた。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
これは
凡兆
(
ぼんてう
)
の付け方、
未
(
いまだ
)
しきやうなり。されどこの芭蕉の句は、なかなか世間
並
(
なみ
)
の才人が
筋斗
(
きんと
)
百回した所が、付けられさうもないには違ひなし。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その晩、それを思い出すと、腹がたってたまらず、よし、
俺
(
おれ
)
でも、大人
並
(
なみ
)
の遊びをするぞと、
覚悟
(
かくご
)
をきめていた訳です。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
ソンナ事を議論したり理窟を述べたりする学者も、
矢張
(
やは
)
り同じことで、世間
並
(
なみ
)
に俗な
馬鹿毛
(
ばかげ
)
た野心があるから
可笑
(
おか
)
しい。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
早速
(
さつそく
)
停車場
(
ステエシヨン
)
から遠くない「
伊太利亜
(
イタリア
)
ホテル」へ
入
(
はひ
)
つて行つた。ベデカアで読んで置いた
中位
(
ちゆうぐらゐ
)
のホテルだ。
二日
(
ふつか
)
以上なら下宿
並
(
なみ
)
にすると主婦が言ふ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
子孫は、三河の松井田村で、
土器師
(
かわらけし
)
をしていたが、見出されて、江戸に移り、旗本
並
(
なみ
)
、
目見得格
(
めみえかく
)
に取立てられて、屋敷を
入谷
(
いりや
)
に、地を今戸に受けた。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
瓦斯
(
ガス
)
と、水道が停ったことだけは、被害地
並
(
なみ
)
であるけれども、此処の家には水道の外に井戸もあって、飲料その他の使い水には不自由をしないので
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
これじゃあ俺もきっと船のボーイ
並
(
なみ
)
に扱われるだろうからねえ。だが、さあ、出かける用意をし給え。こうしちゃいられねえ。義務は義務だ、なあ君。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
関翁は過日来
足痛
(
そくつう
)
で
頗
(
すこぶる
)
行歩
(
ぎょうぶ
)
に
悩
(
なや
)
んで居られると云うことをあとで聞いた。それに少しも其様な
容子
(
ようす
)
も見せず、若い者
並
(
なみ
)
に四里の往復は全く恐れ入った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
新吉原江戸町一丁目玉屋山三郎の方へ申こみ
目見
(
めみ
)
えを致させけるに
容貌
(
かほかたち
)
も十人
並
(
なみ
)
に
優
(
すぐ
)
れしかば大いに氣に
入
(
いり
)
だん/\
懸合
(
かけあひ
)
の
末
(
すゑ
)
年
(
ねん
)
一ぱい金五十兩と相談を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
いや、金魚はよろしい。ぜひやらせなさい。
並
(
なみ
)
の金魚はたいしたこともありますまいが、改良してどしどし新種を
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その人はいかなる人かと問うに、自分には
並
(
なみ
)
の人間と見ゆれど、ただ
丈
(
たけ
)
きわめて高く眼の色少し
凄
(
すご
)
しと思わる。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
然れども堺町役者共、町人
並
(
なみ
)
商売見世等を出し、奉公人抔も常に人を抱へ、役者とて一通りの町人等、下輩に取扱ふ事もならず、大概常の挨拶は同輩なり。
俗法師考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
「竹内君のを私達の
並
(
なみ
)
に下げよとは言はないから、私達のを竹内君並に引き上げなさい。よしか、判つたね。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
一
百
(
そく
)
仕方
(
しあ
)
げたに教育せられ
薫陶
(
くんとう
)
せられた中から
良妻賢母
(
れうさいけんぼ
)
も
大袈裟
(
おほげさ
)
だが
並
(
なみ
)
一人前の
日本
(
にほん
)
婦人が出て来る
訳
(
わけ
)
なら
芥箱
(
ごみばこ
)
の玉子の
殻
(
から
)
もオヤ/\
鶏
(
とり
)
に
化
(
くわ
)
さねばならない
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
並
(
なみ
)
の席より
尺余
(
しゃくよ
)
床
(
ゆか
)
を高くして置いた一室と
離屋
(
はなれ
)
の茶室の一間とに、家族十人の者は
二分
(
にぶん
)
して寝に就く事になった。幼ないもの共は茶室へ寝るのを非常に悦んだ。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
清岡は始めて君江を見た時、女給をした事がないというならば、どこかで芸者をしていた女だろうと想像した。容貌はまず十人
並
(
なみ
)
で、これと目に立つ処はない。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ほんとうに、
何
(
な
)
んて
因果
(
いんが
)
な
人
(
ひと
)
なんだろうね。
顔
(
かお
)
を
見
(
み
)
りゃ、十
人
(
にん
)
なみの
男前
(
おとこまえ
)
だし
絵
(
え
)
も
上手
(
じょうず
)
だって
話
(
はなし
)
だけど、してることは、まるッきり
並
(
なみ
)
の
人間
(
にんげん
)
と
変
(
かわ
)
ってるんだからね
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
その見にくい手紙を書き
記
(
しる
)
いたものも人
並
(
なみ
)
に眼が二つで耳まで口がさけて居らなんだが不思議じゃ。
胚胎
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
阿關
(
おせき
)
の
事
(
こと
)
なれば
並
(
なみ
)
大底
(
たいてい
)
で
此樣
(
こん
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
しさうにもなく、よく/\
愁
(
つ
)
らさに
出
(
で
)
て
來
(
き
)
たと
見
(
み
)
えるが、して
今夜
(
こんや
)
は
聟
(
むこ
)
どのは
不在
(
るす
)
か、
何
(
なに
)
か
改
(
あら
)
たまつての
事件
(
じけん
)
でもあつてか
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ハンコ代の五百円や六百円、何とも思つてやしませんから、町のハンコ屋より二割安くするなんて、そんな弱いことおつしやらないで、よそ
並
(
なみ
)
にお代はおとんなさいよ。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
唯ちよいと何時までも奉公人
並
(
なみ
)
では可哀想だから、後添に直すものなら直して、それからお菊さんの祝言も、母親といふことで世話をし度いと言つただけぢやありませんか。
銭形平次捕物控:185 歩く死骸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
段々準備が手おくれになって済まないが、
並
(
なみ
)
の飯の方を好む人は、もう折詰の支度もしてあるから、別間の方へ来て貰いたいと云う事であった。一同鮓を食って茶を飲んだ。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
狐
(
きつね
)
のふしぎな
宝物
(
たからもの
)
を
授
(
さず
)
かったせいでしょうか、
狐
(
きつね
)
の
子供
(
こども
)
の
阿倍
(
あべ
)
の
童子
(
どうじ
)
は、
並
(
なみ
)
の
子供
(
こども
)
と
違
(
ちが
)
って、
生
(
う
)
まれつき
大
(
たい
)
そう
賢
(
かしこ
)
くて、八つになると、ずんずんむずかしい
本
(
ほん
)
を
読
(
よ
)
みはじめ
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
城
(
しろ
)
のまわりには、小石を
並
(
なら
)
べたような町
並
(
なみ
)
が、
遠
(
とお
)
くまで
続
(
つづ
)
いていました。その
末
(
すえ
)
は広々とした
野
(
の
)
になって、一
面
(
めん
)
に、ぼうと
霞
(
かす
)
んでいました。王子はただうっとりと
眺
(
なが
)
めていました。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
ゆえに余は余の日本国を愛すというはこれ決して余の徳を賞讃するにあらずして一人
並
(
なみ
)
の人間として余の真情を
表
(
ひょう
)
するなり、余は米国が日本に
勝
(
まさ
)
りて富を有し技芸の
盛
(
さかん
)
なるを知る
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
「
上手
(
じょうず
)
」とか「
下手
(
へた
)
」とかいう言葉は、直ちに手の技を語ります。「手
堅
(
がた
)
い」とか「手
並
(
なみ
)
がよい」とか、「手柄を立てる」とか、「手本にする」とか皆手に
因
(
ちな
)
んだ言い方であります。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
相当
(
さうたう
)
な
身柄
(
みがら
)
の
家
(
いへ
)
に
育
(
そだ
)
つただけに青木さん
夫婦
(
ふうふ
)
は
相方
(
さうはう
)
共に品のいい十人
並
(
なみ
)
な
容姿
(
ようし
)
の
持主
(
もちぬし
)
で、
善良
(
ぜんりやう
)
な
性格
(
せいかく
)
ながらまた
良家
(
りやうか
)
の子らしい、矜
持
(
ぢ
)
と、
幾
(
いく
)
らか
見
(
み
)
えを
張
(
は
)
るやうな
氕質
(
きしつ
)
もそなへてゐた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
十人
並
(
なみ
)
の容貌を具えたるにいとど
可憫
(
ふびん
)
の加わりて、
如何
(
いか
)
で無事出獄の日には、わが郷里の家に養い取りて、
一身
(
いっしん
)
の方向を授けやらばやと、両女を左右に置きて、同じく読書習字を教え
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
「なにが変っているもんか。凧屋へ行きゃ、ひとつ二文で売っている
並
(
なみ
)
凧だ」
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
並
(
なみ
)
のお百姓では、そんなにチョイチョイ出て歩けるものではありません」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それと同じく人の
容貌
(
ようぼう
)
を評するにも、よく十人
並
(
なみ
)
という言葉を使う。これはすなわち
美醜
(
びしゅう
)
の一人前という意味であるが、美醜の割り出しなどは、
眼鼻
(
めはな
)
や
顔形
(
かおかたち
)
の寸法を
計
(
はか
)
って出来得るものでない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
市民が爆弾を避けるには
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も都合のよいところだし、それから又、外国の探偵小説
並
(
なみ
)
に、地下鉄を取扱った面白い創作探偵小説が諸作家によって生れて来ることであろうし、結構なことである。
科学時潮
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
人世の困難に
遭遇
(
であっ
)
て、独りで苦悩して独りで切抜けると云うは
俊傑
(
すぐれもの
)
の
為
(
す
)
る事、
並
(
なみ
)
や
通途
(
つうず
)
の者ならばそうはいかぬがち。自心に苦悩が有る時は、必ずその由来する所を自身に求めずして他人に求める。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
いわば骨董が好きになって、やっと人間
並
(
なみ
)
になったので、豚だの牛だのは骨董を
捻
(
ひね
)
くった例を見せていない。骨董を捻くり出すのは趣味性が長じて来たのである。それからまた骨董は証拠物件である。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「あれ程のお方になると、
並
(
なみ
)
の生活は、なさりかねると見えるの」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
並
(
なみ
)
ならぬ悪寒は繰返し襲つて来ました、⦅私は死にます……⦆
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
一茶の句に「余所
並
(
なみ
)
に面並べけり馬糞茸」というのがある。
植物一日一題
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
今ここへ来るのは
並
(
なみ
)
の物ではありません。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
それほど
並
(
なみ
)
はずれた
容貌
(
ようぼう
)
の持主でした。
力餅
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ところで、さて働くとなると、
並
(
なみ
)
の働き方よりも第二に近い方がいい、一歩進めて云えば第一に縁故のある方が望ましい。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
濱
(
はま
)
の
方
(
はう
)
へ五六
間
(
けん
)
進
(
すゝ
)
むと、
土橋
(
どばし
)
が
一架
(
ひとつ
)
、
並
(
なみ
)
の
小
(
ちひ
)
さなのだけれども、
滑川
(
なめりがは
)
に
架
(
かゝ
)
つたのだの、
長谷
(
はせ
)
の
行合橋
(
ゆきあひばし
)
だのと、おなじ
名
(
な
)
に
聞
(
きこ
)
えた
亂橋
(
みだればし
)
といふのである。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
身長
並
(
なみ
)
、痩せ形、髪くろく色白、右の眉尻に
黒子
(
ほくろ
)
、他に特徴なし、年二十四、当時無宿、
江戸浅草孔雀長屋人別
(
えどあさくさくじゃくながやにんべつ
)
、
紋日
(
もんび
)
の
虎
(
とら
)
五
郎
(
ろう
)
娘、女賊見返りお綱。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれども半之丞に関する話はどれも多少
可笑
(
おか
)
しいところを見ると、あるいはあらゆる大男
並
(
なみ
)
に
総身
(
そうみ
)
に
智慧
(
ちえ
)
が廻り兼ねと言う
趣
(
おもむき
)
があったのかも知れません。
温泉だより
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
余の家にも他の若い者
並
(
なみ
)
に仕事に来ることがある。五十そこらの、
瘠
(
や
)
せて力があまりなさそうな無口な人である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
並
常用漢字
小6
部首:⼀
8画
“並”を含む語句
並木道
家並
並木路
人並
門並
月並
軒並
歯並
並居
押並
並立
日並
並等
相並
並木
世間並
居並
並行
並々
世並
...