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波浪
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なみ
噸數一千
噸位、
二本烟筒に
二本檣、
其下甲板には
大砲小銃等を
積めるにやあらん。
審かしき
迄船脚の
深く
沈んで
見えた
其船が、
今や
闇黒なる
波浪の
上に
朦朧と
認められたのである。
頓て
本艦の
間際になつたが、
海は
盤水を
動かすがごとく、二千七百
餘噸の
巨艦ゆらり/\と
高く、
低く、
我が
端艇は
秋の
木の
葉のごとく
波浪に
跳つて、
迚も
左舷々梯に
寄着く
事が
出來ない。
此軍艦、
排水噸數二千七百ばかり、
二本烟筒の
極めて
壯麗なる
裝甲巡洋艦である。
今しも
波浪に
揉まれて、
此方に
廻りし
其艦尾には、
赫々たる
日輪に
照されて「日の出」の三
字が
鮮かに
讀まれた。