なみ)” の例文
なみの友達としてこだわりのない気持で居たけれ共母親は深々と肇を観察して居るのが自分の為にだとは思いながら折々千世子に不愉快に思われる事もあった。
千世子(二) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
生理的の欠陥があるとは自分で思ってはしませんが、兎に角、僕はなみ外れて性慾が弱いようです。所が、夫婦生活には、この性慾ということが可なり重大な条件らしいのです。
野ざらし (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
悪所通あくしょがよいのしたい放題ほうだいはしたし、なみの道楽者の十倍も余計に女のはだを知りつくして来はしたものの、いまだ、ただの一度もさいを争ったことはなし、まして人様の物を、ちり一本でも盗んだ覚えは
歌麿懺悔:江戸名人伝 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
あの変人がなみの人間に近よってきただけで、何処といって変った様子は見えなかった。
変な男 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)