“ひた”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒタ
語句割合
70.5%
10.0%
3.6%
日田3.0%
3.0%
2.7%
0.9%
0.6%
火焚0.6%
火焼0.6%
0.3%
0.3%
日足0.3%
0.3%
0.3%
密接0.3%
0.3%
引板0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この壁柱かべはしら星座せいざそびえ、白雲はくうんまたがり、藍水らんすゐひたつて、つゆしづくちりばめ、下草したくさむぐらおのづから、はなきんとりむし浮彫うきぼりしたるせんく。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その意味で、それがおそれを滲ませているかぎり、画布はいのちの中にひたり、いのちの中に濡れているともいえよう。ハイデッガーはいう。
絵画の不安 (新字新仮名) / 中井正一(著)
こゝろつて、おもはず、ひたつたひざが、うつかり、そでおも掻巻かいまき友染いうぜんれると、白羽二重しろはぶたへ小浪さゞなみが、あをみづのやうにえりにかゝつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これらの窯と共に、なおも驚くのは日田ひた皿山さらやまであります。豊後ぶんごの国の山奥にあるため、今日までほとんど誰からも知られずにいました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
黄海! 昨夜月を浮かべて白く、今日もさりげなく雲をひたし、島影を載せ、睡鴎すいおうの夢を浮かべて、悠々ゆうゆうとしてよりも静かなりし黄海は、今修羅場しゅらじょうとなりぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
風呂場にれば、一箇ひとりの客まづ在りて、燈点ひともさぬ微黯うすくらがり湯槽ゆぶねひたりけるが、何様人のきたるにおどろけるとおぼしく、はなはせはしげに身を起しつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そのままにひたと思入るのみなりし貫一も、やうやなやましく覚えて身動みじろぐとともに、この文殻ふみがら埓無らちなき様を見て、ややあわてたりげに左肩ひだりがたより垂れたるを取りて二つに引裂きつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
二筋の流れは両岸の緑をひたし、空の色を映して、走って行く、日は錫のような冷たい光を放射して、雲は一団の白い炎になり、ぎらぎらと輝く、私たちは路を狭めるやぶき分けて行く、笹の葉から
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
その時に火焚ひたきの少年が二人かまどの傍におりました。依つてその少年たちに舞わしめますに、一人の少年が「兄上、まずおいなさい」というと、兄も「お前がまずいなさい」と言いました。
さうして其そとは、広い家の外廓になつて居て、大炊殿おほいどのもあれば、火焼ひたき屋なども、下人の住ひに近い処に立つてゐる。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
十六人の女たちは、時々彼を奪い合って、互に嬌嗔きょうしんを帯びた声を立てた。が、大抵は大気都姫が、妹たちの怒には頓着なく、酒にひたった彼を壟断ろうだんしていた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼は酒にひたりながら、洞穴の奥にうずくまって、一夜中ひとよじゅうよい泣きの涙を落していた。彼の心は犬に対する、燃えるような嫉妬しっとで一ぱいであった。が、その嫉妬の浅間あさましさなどは、寸毫すんごうも念頭にはのぼらなかった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
入道相國にふだうしやうこく非道ひだう擧動ふるまひ御恨おんうらみを含みて時のみだれを願はせ給ふ法住寺殿ほふぢゆうじでんゐんと、三代の無念を呑みてひたすら時運の熟すを待てる源氏の殘黨のみ、内府ないふ遠逝ゑんせいを喜べりとぞ聞えし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
今は屋島やしまの浦にいかりを留めて、ひたすら最後の日を待てるぞ哀れなる。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
また命詔したまはく「いかにして日足ひたしまつらむ」とのりたまへば、答へて白さく、「御母みおもを取り、大湯坐おほゆゑ若湯坐わかゆゑを定めて、日足しまつるべし」
かれその后のまをしたまひしまにまに、日足ひたしまつりき。
へいげんこのゆうべまた愛妾を携えて門前に出でぬ。出でて快げに新開地を歩み行けば、松の木蔭に雨宿りして、ひたれに濡れたる一個の貧翁あり。
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼奴等あいつら可憐いとしいヂュリエットの白玉はくぎょくつかむことも出來でくる、またひめくちびるから……その上下うへしたくちびるが、きよ温淑しとやか處女氣をぼこぎで、たがひに密接ひたふのをさへわるいことゝおもうてか
兼ね備えたこれらの紙漉かみすき機械のあらゆる細部の機関、細きもの、ひたたきもの、円き、綱状の、腕型の、筒の、棒の、針金の、調革しらべかわの、それらがひとしく動いて、光って、流れて、揺れて、廻って
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
鳴子なるこ引板ひたも、半ば——これがためのそなえだと思う。むかしのものがたりにも、年月としつきる間には、おなじ背戸せどに、孫もひこむらがるはずだし、第一椋鳥むくどりねぐらを賭けて戦う時の、雀の軍勢を思いたい。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
したがって『隋書』に〈真臘国カンボジアに浮胡魚あり、その形䱉に似る、嘴鸚䳇おうむのごとく八足あり〉、また『類函』四四九に『紀聞集』を引いて天宝四載広州海潮に因って一蜈蚣をひたし殺す
訴へ「近代、長門守殿内検地詰存外の上、あまつさへ高免の仰付けられ、四五年の間、牛馬書子令文状、他を恨み身を恨み、落涙袖をひたし、納所なっしよつかまつると雖も、早勘定切果て——」
島原の乱雑記 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
立待岬たちまちさきから汐首しほくびの岬まで、諸手もろてを擴げて海を抱いた七里の砂濱には、荒々しい磯の香りが、何はばからず北國の強い空氣にひたつて居る。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
懷中時計くわいちうどけい海水かいすいひたされて、最早もはやものようにはらぬが、とき午前ごぜんの十と十一とのあひだであらう、此時このとき不圖ふと心付こゝろづくと、今迄いままでは、たゞなみのまに/\たゞよつてるとのみおもつてつた端艇たんてい
柄になく、思い出にひたっているところ……どうもお金がなくなると思い出にふけるのが、この長庵先生の習癖くせのようで。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
然れども後には、その伺見かきまみたまひし御心を恨みつつも、ふる心にえへずして、その御子をひたしまつるよしに因りて、そのいろと玉依毘賣に附けて、歌獻りたまひき。その歌