日田ひた)” の例文
仲間の抜荷買連中と共に逸早いちはやく旅支度をして豊後国、日田ひたの天領に入込み、人の余り知らない山奥の川底かわそこという温泉にひたっていた。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これらの窯と共に、なおも驚くのは日田ひた皿山さらやまであります。豊後ぶんごの国の山奥にあるため、今日までほとんど誰からも知られずにいました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
また信州〔長野県〕軽井沢の原にもあり、また遠く九州豊後ぶんご〔大分県〕の日田ひた地方にもあるといわれている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
我郷わがさと(豊後日田ひた郡)に伏木という山村あり。民家の子五六歳にて、夜きてまず。戸外に追出す。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
薩摩の士で、浦和県が埼玉県となった時、日田ひた県知事から転じて埼玉県知事に任ぜられた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
先日、日田ひたへ行く機会があったので、広瀬ひろせ淡窓先生の旧屋、秋風庵しゅうふうあんを訪ねた。
淡窓先生の教育 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
筑後川日田ひたよりくだる白き帆も見ゆるおもむきの話をぞ聞く
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
だが私の心が急ぐのは国を一つ越えた先の日田ひたである。平野の尽きたところに筑後川がはしる。河は急に二つの山を引きつけて岩を砕きながら私の方に走る。
日田の皿山 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
彼方かなたに隠れ、此方こなたに現はれ、昼ね、夜起きて、抜けつ潜りつ日を重ね行くうちに、いつしか思ひの外なる日田ひたの天領に紛れ入りしかば、よきついでなれと英彦山ひこさんに紛れ入り
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ツクボウ 豊後日田ひた
また大分県の水郷日田ひた町に近い大鶴おおつる村で竹製の飯櫃を作ります。珍らしい品といえましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)