“しび”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シビ
語句割合
80.8%
麻痺4.6%
3.8%
痲痺3.1%
鴟尾1.2%
志毘0.8%
0.8%
痙攣0.8%
侈靡0.4%
嘛痺0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
紫微0.4%
0.4%
0.4%
首尾0.4%
0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
……こっちは酔いしびれてうらがなしくなって、だからこそつけ元気でやけくそな歌をうたったり傲慢ごうまんなことを喚いたりしているんだ。
陽気な客 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「その悪漢めが俺にポイズンを飲ませたのだ! 人がいやだと言うのに、無理に毒を飲ませてしまったのだ! あ、手が麻痺しびれる」
葛根湯 (新字新仮名) / 橘外男(著)
蘇我ノ蝦夷えみし平群へぐりしび、蘇我ノ赤魚あかお押返おさかえ毛屎けくそ阿曇あずみ蛍虫ほたる——などはまだよいが、巨勢こせ屎子くそこという女性がある。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女の心から一刹那いっせつな悲しみの影が消え去った。身も心も痲痺しびれようとした。「死んでもよい」という感情が、人の心へ起こるのは、実にこういう瞬間である。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ひどく寸のつまっている大棟おおむねも、この夜は気にならず、むしろその両端の鴟尾しびの、ほのかに、実にほのかに、淡い金色を放っているのが、拝みたいほどありがたく感じられた。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
そしてすぐに軍勢を集めて志毘しびの家をお取り囲みになり、目あての志毘しびを難なく切り殺しておしまいになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
内儀かみさんの厄介やつけえりあんしたつけが、あれもいまぢや大層たえそうえゝ鹽梅あんべいでがしてない、四人目よつたりめやつとそんでもをとこでがすよ、お内儀かみさんにあれたときにやわしもはあしびれえてたんでがしたが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「俺といえどもそうなんだよ、痙攣しびれるような思い出ばかりが、頭の一所に残っているばかりで、そのほかのことは覚えていない。……しかし俺はどうしても求める! あの恍惚うっとりとした夢を求める!」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
愚衲ぐのう熟〻既往現今吾国宗教の幻象を想像するに、清僧社会に噉肉蓄妻だんじきちくさいの弊事浸入せしより、清浄の練者は変じて汚穢の醜場と成り、僧侶活溌勇進の気風は、たちまち怠惰侈靡しびの姿と化し
洪川禅師のことども (新字新仮名) / 鈴木大拙(著)
恐ろしさとにえかねて、跳起はねおきようとしたが、からだ一躰いったい嘛痺しびれたようになって、起きる力も出ない、丁度ちょうど十五分ばかりのあいだというものは、この苦しい切無せつなおもいをつづけて
女の膝 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
絶えて久しい心のふるさと寄席への郷愁——全身全魂が、まるで南蛮渡りの秘薬の匂いでも嗅がされたよう、うれしく、悲しく、ただぼんやりと憑かれたようにしびれてきてしまっていた。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
クーロアールは西向きで、午後の太陽をまともに受けた雪の反射で、ぴったりくっ付けた顔や手先は、しびれるばかりにびりびり痛む。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
お由は二三度唸つて、立上つた気勢けはひ。下腹がしびれて、便気の塞逼そくはくに堪へぬのだ。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
横笛今は心を定め、ほとほととかどを音づるれども答なし。玉をべたらん如き纖腕しびるゝばかりに打敲うちたゝけども應ぜんはひも見えず。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
この登山に唯一のおそろしきものゝやうに言ひす、胸突むなつき八丁にかゝり、暫く足を休めて後をかへりみる、天は藍色に澄み、霧は紫微しびに収まり、領巾ひれの如き一片の雲を東空に片寄せて
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
銀糸で縫いをしてある黄いろい繻子しゅすの着物は、彼女のしびれている足もとへ落ちた。
道路に雪のある間は足も暖かであったが、そのうちに黄ばんだ泥をこねて行くような道に成って、冷く、足の指もしびれた。親切な飯山の宿で、爪掛つまかけを貰って、それを私は草鞋わらじの先に掛けて穿はいて来た。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
なにはゞかりての御遠慮ごゑんりよぞやくわんずれば御恨おうらみも未練みれんなにもあらずお二かたさま首尾しびとゝのひしあかつきにはいさぎよく斯々かう/\して流石さすが貞操みさをたつるとだけきみさまにられなばそれ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
朱は僅かに腹のあたりがしびれるばかりであった。ふと見ると陸の置いた肉塊が案の上にあった。朱は怪しんで
陸判 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)