鴟尾しび)” の例文
その代り又からす何處どこからか、たくさん集つて來た。晝間ひるまると、その鴉が何羽なんばとなく輪を描いて高い鴟尾しびのまはりをきながら、飛びまはつてゐる。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ひどく寸のつまっている大棟おおむねも、この夜は気にならず、むしろその両端の鴟尾しびの、ほのかに、実にほのかに、淡い金色を放っているのが、拝みたいほどありがたく感じられた。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
その代りまたからすがどこからか、たくさん集って来た。昼間見ると、その鴉が何羽となく輪を描いて、高い鴟尾しびのまわりを啼きながら、飛びまわっている。
羅生門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
大棟おおむねの両端にある鴟尾しびのはね返った形や、屋根の四隅くだむねの末端にある鬼瓦の巻き反ったようにとがった形が、言い現わし難いほど強い力をもって全体を引きしめているのに見てもわかる。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)