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らん
ふりがな文庫
“
爛
(
らん
)” の例文
その面を魯粛は「
度
(
ど
)
し
難
(
がた
)
き大将」と
蔑
(
さげす
)
むように睨みつけていた。その
爛
(
らん
)
たる
白眼
(
はくがん
)
にも刻々と生暖かい風はつよく吹きつのってくる。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
爛
(
らん
)
として
輝
(
かがや
)
くこと落日の赤き程度にして、周囲暗黒なるがために特に燦然たり、他の火は水平に
連
(
つらな
)
りて
蕩漾
(
とうよう
)
するも、この火球は更に動かず。
地震なまず
(新字新仮名)
/
武者金吉
(著)
例えば、夜間、
爛
(
らん
)
たる星の光の無数なるを見るけれども、ひとたび太陽が昇ってからは、一つだに見られぬと同じことです。必ず昼間でも星はあるべきです。
妖怪談
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
蒼白い顏は激怒に顫へて、
爛
(
らん
)
とした眼は、中腰になつた平次と、その背に負はれたガラツ八を睨み据ゑます。
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今日
(
こんにち
)
まで分離して運行した軌道と軌道の間が
隙間
(
すきま
)
なく
充
(
み
)
たされた時、今の秩序ある太陽系は
日月星辰
(
じつげつせいしん
)
の区別を失って、
爛
(
らん
)
たる一大火雲のごとくに
盤旋
(
ばんせん
)
するだろう。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
さて、犬殺しが犬潜りから入って来た時分に、ムク犬の眼が
爛
(
らん
)
としてかがやきました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
前者の奥には
爛
(
らん
)
として輝く美わしき色彩が潜んでいるらしいけれど、いかんせん灰色の霧の閉じ
籠
(
こ
)
めて探る手先きの心もとない、後者の裏には心喜び顫える懐しきものの
匿
(
かく
)
れていて
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
東方
(
ひがし
)
より
金芒
(
きんぼう
)
爛
(
らん
)
として飛ぶ、槍も穂高も、半肩以上は微黄となり、以下は大天井岳をはじめ、その一帯山脈の影が、かぶさるので
闇
(
くら
)
い衣を
被
(
き
)
ている、日の昇るに伴れて、附近の大山岳
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
爛
(
らん
)
として輝いた眼と、
凜
(
りん
)
として冴えた音声とを持った、いかにも生き生きした俳優で、師匠の将軍太郎や仲光を向うに廻して、活気のある力強い芸をみせたのが大いに観客の注意をひいた。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その中に童子が『何故帰らんか?』と言ったから、立って斧を取って見ると、柄が朽っていた。
爛
(
らん
)
は朽ちるの意味、
柯
(
か
)
は斧の柄のことだ。つまり斧の柄が朽ってしまうまで見物していたんだね。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
爛
(
らん
)
とした眼の向くところ、タジタジと
退身
(
ひけみ
)
に動く相手の気配が、敵ながらもどかしそうであった。——と弦之丞は一方の物かげへ向かって
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蒼白い顔は激怒に
顫
(
ふる
)
えて、
爛
(
らん
)
とした眼は、中腰になった平次と、その背に負われたガラッ八を
睨
(
にら
)
み据えます。
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
仰げば無量無数の惑星恒星、
爛
(
らん
)
として、
吁嗟
(
ああ
)
億兆何の
悠遠
(
いうえん
)
ぞ、月は夜行性の
蛾
(
が
)
の如く、
闌
(
た
)
けて
愈
(
いよい
)
よ白く、こゝに
芙蓉
(
ふよう
)
の蜜腺なる雲の糸をたぐりて、天香を吸収す、脚下紋銀白色をなせる雲を透かして
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
と叫んで、
天満
(
てんま
)
の万吉、土橋の欄干を飛び離れたが、その一方には、
眼
(
まなこ
)
を
爛
(
らん
)
とかがやかして身を屈している者がある。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この平和な空気に臨んで、玄徳は心にほっとしていたが、彼のうしろには、
爛
(
らん
)
たる眼をくばり、大剣を
佩
(
は
)
いて
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
爛
(
らん
)
とした眼で、武蔵は近づいた者を見つめた。彼の眼に縛り寄せられたように、賊も武蔵を
睨
(
ね
)
めすえたまま
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
縁
(
えん
)
の隅に身を
退
(
ひ
)
くなり、
爛
(
らん
)
としたひとみを伏せた
般若
(
はんにゃ
)
の顔——その
仮面
(
めん
)
の裏が、クスクス笑いました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ次第に烈々と火色を増してくる空に、その眸は、
爛
(
らん
)
として、同じ光を
湛
(
たた
)
えているだけだった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
例のごとく、大ざかもりとなって、将門がそろそろ
爛
(
らん
)
たる酔いを眸に燃やしかけたときである。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武蔵と聞くと、小次郎の眼には、ひとりでに
爛
(
らん
)
として燃えるものが
充
(
み
)
ちて来るのだった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この暗所に
棲
(
す
)
みなれている世阿弥の眸は、自然生理的に、闇の中でも見とおしが
利
(
き
)
く筈だが、お十夜には、皆目、
対手
(
あいて
)
の見当がつかない。ただ、
爛
(
らん
)
と射る
双
(
ふた
)
つの眼を感じるばかりだ。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御林の
旗幡
(
きはん
)
は整々と並び、氷雪をあざむく
戟
(
ほこ
)
や鎗は
凛々
(
りんりん
)
と
篝火
(
かがりび
)
に映え、
威厳
(
いげん
)
森々
(
しんしん
)
たるものがあるので、さすがの蛮王も身をすくめてただ
爛
(
らん
)
たる眼ばかりキョロキョロうごかしていた。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
町に女と子供の影が見えないので、淋しいのみか、ひどく
殺伐
(
さつばつ
)
である。太陽は
爛
(
らん
)
として、町の上にあるが、どこ一軒、商売をしている家もない。ただ
夜半
(
よなか
)
のような風が往来を通ってゆく。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
誰が何といっても今は観ないと聞くと、曹操は急に、眼を
爛
(
らん
)
とかがやかして
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戦々たる長髯を
靡
(
なび
)
かせ、
爛
(
らん
)
とした双眸を眉間へ寄せて唇固く息をのんだ。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鞘
(
さや
)
をはらって、静かに、肩のあいだに白刃を立てながら、せっぱから切先まで、ずっと眼をとおしているうちに、この男の眼は、どこからかべつな物を持って来て
篏
(
は
)
めこんだように、
爛
(
らん
)
として
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かえって、全身に
焔々
(
えんえん
)
の闘志を燃やし、
炬
(
きょ
)
の如き眼を
爛
(
らん
)
と射向けて
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
関羽は、沈勇そのものの眉に口を
緘
(
かん
)
し、
爛
(
らん
)
たる眼を向けていたが
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
爛
(
らん
)
たる眼をして、衆席を見まわすと、時に、彼の声に応じて
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
険
(
けわ
)
しい目が、いちどに
爛
(
らん
)
として弦之丞の身に集まる。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
国境と聞くと武蔵の眼は、急に、
爛
(
らん
)
として
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
爛
(
らん
)
と
眸
(
ひとみ
)
の
霞
(
かすみ
)
を払って敵を見澄ます。
剣の四君子:04 高橋泥舟
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
爛
(
らん
)
とした眼で
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
爛
漢検1級
部首:⽕
21画
“爛”を含む語句
燦爛
爛熟
腐爛
金色燦爛
爛々
絢爛
爛酔
燎爛
糜爛
天真爛漫
爛壊
赤爛
煮爛
焦爛
爛漫
霉爛
爛熳
不爛
爛然
爛醉
...