つゝ)” の例文
すると、ある日の事将軍家は皿の煮魚をつゝいてゐるうち、ふと膳部の上に好物の薑が載つてないのに気が付いて、不思議さうに給仕の者の顔を見た。
垂飾たれかざりをつけた日傘ひがさ花楸樹はなかまどよ、ジタナ少女をとめくびにある珊瑚玉さんごだま、その頸飾くびかざり柔肌やははだ巫山戲ふざけた雀が來てつゝく。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
しろはねにはとりが五六、がり/\とつめつちいてはくちばしでそこをつゝいてまたがり/\とつちいては餘念よねんもなく夕方ゆふがた飼料ゑさもとめつゝ田圃たんぼからはやしかへりつゝある。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
川面の處々にがあツた。洲には枯葦が淋しく凋落の影をせてゐて、ごみあくたもどツさり流寄ツてゐた。其の芥を二三羽の鴉がつゝき𢌞し、影は霧にぼかされてぽーツと浮いたやうになツて見えた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
雛鳥につゝかれて
しやうりの歌 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
それが代変りになつて、七代目のアンドリウ・ジヤクソンになると、またワシントン並に肉刀ナイフで皿をつゝつき出した。
たんとやいたとり餌料ゑさてはみんなかごからばさ/\とびおりてこツこツときながらつめき/\あらそうてつゝいた。勘次かんじつひとりかず不足ふそくしてることをたしかめざるをなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
もつともトルストイ嫌ひな男に言はせると、いつも夜になると、こつそり台所へひ出して来て、肉皿をつゝついたといふが、そんな事は神様にでもかない限り、嘘か、真実ほんとうか判らない。
かれあまりによろこんでさわいでひよつとするとあぶなもとでどぜうにはおとことがある。どぜうかわいたにはつちにまぶれてくるしさうにうごく。與吉よきちおさへようとするときにはとりがひよつとくちばしつゝいてけてつてしまふ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
で、梟のために散々につゝかれた。