一波ひとなみ)” の例文
わつといつたかほ一波ひとなみかぶつて、呼吸いきをひいて仰向あをむけにしづむだから、めんくらつてたうとするとまたたふれてがくらむで、アツとまたいきをひいて
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わっといった顔へ一波ひとなみかぶって、呼吸いきをひいて仰向あおむけに沈んだから、面くらって立とうとすると、また倒れて、眼がくらんで、アッとまたいきをひいて
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
途端に思うさま半身を乗出したので反対の側なる舷へざぶりと一波ひとなみあびせたが、あわよく手先がかかったから、船は人とともに寄って死骸に密接することになった。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ごほんと、乾咳からぜきいて、掻巻かいまきの襟を引張ひっぱると、暗がりの中に、その袖が一波ひとなみ打ってあおるに連れて、白いおおいに、襞襀ひだが入って、何だか、呼吸いきをするように、ぶるぶると動き出す。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)