“ひきこ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
引込43.5%
引越17.7%
挽子11.3%
曳込11.3%
曳子6.5%
引子3.2%
輓子1.6%
挽粉1.6%
挽込1.6%
移転1.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
僧が引込ひきこんだので三左衛門はそこへ草履ぞうりを脱いであがった。庵の内にはわらを敷いて見附みつけ仏間ぶつまを設けてあったが、それは扉を締めてあった。
竈の中の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
肉体にくたいててこちらの世界せかい引越ひきこしたものになりますと、ほとんどすべての仕事しごとはこの仕掛しかけのみによりておこなわれるのでございます。
人力車だって、少し威勢のいい挽子ひきこなれば馬車鉄道を見失わない様に、あとをつけるなんぞ、訳なかったものでございますよ。
押絵と旅する男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
貞之進は門内へ曳込ひきこもうとする車を両三歩手前で下り、賃銭を払ったついでに会費と名刺とを取り出して一緒につかみ、それを玄関口に立って居た幹事に渡して
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
例の牛は土手にあがると、のそりのそりと曳子ひきこと一緒に歩いて行った。白の斑点ぶちはまるで雲のように鮮やかだった。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
遠慮のない大声で物を言いますが、人柄は素朴で、引子ひきこを二人位置き、子供は三人あって、口数の少ない、おとなしそうな妻とむつまじく暮らしていました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
重そうな荷を積んだ荷馬車の馬の手綱を引いて、輓子ひきこは呑気そうな鼻歌を歌いながら、彼の前を通り過ぎた。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
意外にも輓子ひきこ達は口を揃えて進んで事実を話して呉れた。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
参木は象牙の挽粉ひきこで手を洗う工人の指先を眺めながら、彼女にいった。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
車は病院所在地の横田の方から、この田畝を越して、城の裏通りを走ったが、つっかけ若竹座へは行くのでなく、やがて西草深へ挽込ひきこんで、楫棒かじぼうは島山の門の、例の石橋の際に着く。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
で、いろ/\思案の末が大家を説いて大杉氏を移転ひきこさすより外にはいゝすべが無かつた。