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転
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こ
ふりがな文庫
“
転
(
こ
)” の例文
旧字:
轉
まだ薄暗い方丈の、朝露に濡れた
沓脱
(
くつぬぎ
)
石まで
転
(
こ
)
けつまろびつ走って来た一人の老婆が、
疎
(
まば
)
らな歯をパクパクと噛み合わせて
喘
(
あえ
)
いだ。
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「へえエ、昨夜は玉井家の
厄日
(
やくび
)
たい。勝則君も、ごりょんも、
転
(
こ
)
けたといいよった。親子三人揃うてこけるちゅうのは珍しか」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
折柄
荒増
(
あれまさ
)
る風に連れて、石滝の森から思いも懸けず、橋の上へ
真黒
(
まっくろ
)
になって、
転
(
こ
)
けつ、まろびつ、
人礫
(
ひとつぶて
)
かと
凄
(
すさま
)
じい、物の姿。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お信さんは更に続けて言ひかけたが、その時突然石段に
躓
(
つまづ
)
いて、あはや前にのめり
転
(
こ
)
けようとした。丁度坂の中途だつた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
伝二郎は
跣足
(
はだし
)
のまま半
破
(
こわ
)
れの寮を飛び出して、田圃の
畔
(
あぜ
)
を
転
(
こ
)
けつまろびつ河内屋の隠居の家まで走り続けて、さてそこで彼は気を失ったのである。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
親類のところへ追い出される迄
転
(
こ
)
ろげこんで居れ、それも駄目になったら、男さ身体売ったってえゝと云うんです。
母たち
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
荷を負ったり手に手をつないで行く老幼が馬蹄にかけられて
転
(
こ
)
けまろんでいるなどは、めずらしくない
巷
(
ちまた
)
であった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
松村はあっけにとられて、笑い
転
(
こ
)
ける私を見ていた。そして、一寸変なものにぶっつかった様な顔をして云った。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
不意に
辷
(
すべ
)
り
転
(
こ
)
けた すると頭の上にあった荷物が横になって片手で上げにゃあならんようになった。もう
杖
(
つえ
)
は間に合わぬようになってずんずん流された。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
こわれた竹垣の端に歪んで立っている街燈が、その下に
転
(
こ
)
ろがっている太い土管をボンヤリと照し出している。
乳房
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
気も魂も身に添わずというのは全くこの事で、三人は文字通りに
転
(
こ
)
けつ
転
(
まろ
)
びつ、息のつづく限り駈け通すうちに、伝兵衛は石につまずいて倒れて、
脾腹
(
ひばら
)
を強く打って気絶した。
半七捕物帳:52 妖狐伝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
補祭はとても笑い上戸で、つまらぬことをいちいち、横腹の痛くなるまで笑い
転
(
こ
)
ける。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「雪」の
衣裳
(
いしょう
)
の着附がすっかり出来上ったところで、
転
(
こ
)
けないように右手で床柱に
掴
(
つか
)
まりながら、立ったままでお春に足袋を
穿
(
は
)
かせて
貰
(
もら
)
っていた妙子は、
潰
(
つぶ
)
し
嶋田
(
しまだ
)
の首は動かさずに
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
足溜
(
あしだま
)
りなく
転
(
こ
)
ける
機会
(
はづみ
)
に手の物を取落して、一枚はづれし溝板のひまよりざらざらと
翻
(
こぼ
)
れ入れば、下は
行水
(
ゆくみづ
)
きたなき
溝泥
(
どぶどろ
)
なり、
幾度
(
いくたび
)
も
覗
(
のぞ
)
いては見たれどこれをば何として拾はれませう
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ややありて
吸競
(
すいくら
)
べたる膏薬練の、西なる
方
(
かた
)
吸寄せられて、ぶざまに
転
(
こ
)
けかかりたる
状
(
さま
)
いと
可笑
(
おかし
)
きに、われ思わず笑いぬ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
七人の
雛妓
(
おしゃく
)
ばかりが、二台の馬車につまっていた。馬車がゆれるたびに、雛妓たちはキャッキャと笑い
転
(
こ
)
けた。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「御用筋が
忙
(
せわ
)
しくて他町の騒動を外にしていた親分もこれじゃあいかさま
出張
(
でば
)
らにゃなるめえ。ほい来た
奴
(
やっこ
)
、それ急げ! 三度に一度あ
転
(
こ
)
けざあなるめえ!」
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
昨夜
(
ゆうべ
)
、踊りを観に行ったかえりに、安養寺の坂で、
転
(
こ
)
けましてねえ」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
随分氷で
辷
(
すべ
)
り
転
(
こ
)
けたりあるいは雪の深い中へ足を突込むこともある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
鋸屑
(
おがくず
)
だらけの道を
転
(
こ
)
けつまろびつ逃げて行った。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「こんな所で
転
(
こ
)
けて死んだら往生や。」
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
眼元の酔いを、お蔦は、ちょっと
蒼
(
あお
)
くしたが、ふいに、
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の細長い体をしなやかに曲げて笑い
転
(
こ
)
けた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それが、裾を蹴りひらいて、
転
(
こ
)
けつまろびつ、佐吉の伏さっているほうへ駈けて来るのだ。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
叫ぶ声、廊下をとどろと走る音、
襖
(
ふすま
)
の
開閉
(
あけたて
)
騒がしく、屋根を
転覆
(
かえ
)
した混雑に、あれはと驚く家令の前へ、腰元一人
転
(
こ
)
けつ、まろびつ、蒼くなりて走り
出
(
い
)
で、いきせき奥を指さして
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、高氏は一騎打する武者みたいに、
転
(
こ
)
けつつもすぐ組ンで、そのまま放ち門の内へ駈け入った。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
度をうしなった足利勢は、ただ
一
(
ひと
)
すじの退路
渡辺橋
(
わたなべばし
)
へ、われがちにどっと
乗
(
の
)
しかかったが、馬は狂い、人と人はもつれあい、かき落されて
淀川
(
よどがわ
)
の激流へ
転
(
こ
)
け落ちたものが何百人かしれなかった
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、笑い
転
(
こ
)
けて、とめどもなく、また笑った。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女は、何がおかしいのか、下品に笑い
転
(
こ
)
けた。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
斧四郎もお喜代も、誘われて笑い
転
(
こ
)
けた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
転
(
こ
)
けけるわ
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
転
常用漢字
小3
部首:⾞
11画
“転”を含む語句
転覆
移転
転々
寝転
転倒
転生
廻転
回転
運転手
突転
一等運転士
転寝
自転車
輾転
有為転変
転輾
化転
転手古舞
寐転
宛転
...