かわ)” の例文
旧字:
鳰鳥はハッと身をかわし、危く初太刀しょだちを遁がれたが、そのままバタバタと大岩の上を山手の方へ逃げて行った。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
中から誰か黒い石片いしきれの様な者を投げ附けた、余は大いに用心して居る際ゆえ手早く身体をかわして何の怪我もせなんだが、後で見たら危ない哉、石片の様に見えたは古い手斧の頭であった
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
本庄恒夫つねお辰馬久たつまひさしは篠突く雨の中を夢中で逃げた。体を二つにへし折り、風に追われながら、夜の市街をひた走りに走った。その時、一緒に馳けていた辰馬久が、ふいと身をかわして横町へ折れた。
黒猫十三 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
また山之助の突掛つきかける所を引外ひっぱずして釣瓶形つるべがたの煙草盆を投付け、続いて湯呑茶碗を打付ぶッつけ小さい土瓶を取って投げる所を、横合よこあいからお繼が、親の敵覚悟をしろと突掛けるのを身をかわして利腕きゝうでを打つと
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)