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ころ
ふりがな文庫
“
転
(
ころ
)” の例文
旧字:
轉
少年
(
しょうねん
)
は
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
に
思
(
おも
)
って、
坂
(
さか
)
を
上
(
のぼ
)
るときに、その
車
(
くるま
)
の
後
(
あと
)
を
押
(
お
)
してやりました。すると
車
(
くるま
)
の
上
(
うえ
)
から、
小
(
ちい
)
さな
石
(
いし
)
ころが一つ
転
(
ころ
)
げ
落
(
お
)
ちました。
石をのせた車
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
やつと彼の帰つた後、僕はベツドの上に
転
(
ころ
)
がつたまま、「暗夜行路」を読みはじめた。主人公の精神的闘争は一々僕には痛切だつた。
歯車
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
土間へ
転
(
ころ
)
げ落ちたまま動かなくなった、宿の者がすぐに医者を呼んだところ、もう絶息していたし、脳卒中という診断だったそうです
醜聞
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
十五町歩の林檎園に、
撰屑
(
よりくず
)
の林檎の
可惜
(
あたら
)
転
(
ころ
)
がるのを見た。種々の林檎を味わうた。夜はY君の友にして村の重立たる人々にも会うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
道路の真中に
煉瓦
(
れんが
)
の欠けらが
転
(
ころ
)
がっていた。そこへ重い荷物を積んだ自動荷車が来かかって、その一つの車輪をこの煉瓦に乗り上げた。
鑢屑
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
これを聞いてピューは方向を間違えていたのに気がつき、きゃっと叫んで向を変え、溝の方へまっすぐに走って、その中へ
転
(
ころ
)
げ込んだ。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
とうとう
怺
(
こら
)
えきれなくなったらしい。女は、ふきだして、
竹婦人
(
かごまくら
)
を残して、茶の間の
内緒暖簾
(
ないしょのれん
)
の蔭へ
転
(
ころ
)
げこむように、隠れてしまった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし一方彼はまたそこに他の疑念をも
抱
(
いだ
)
かざるを得なかった。なぜあれほどまでの残虐を忍んでも宗門を
転
(
ころ
)
んではならないのか。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
一昨昨日捕えたつくつく法師の死骸であった。すっかり乾いていて、羽は片方もげていた。私の掌の上で
転
(
ころ
)
がすと、がさがさと鳴った。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
ある時、一本歯の九里丸は
躓
(
つまず
)
いて彼は倒れた。金らんの帽子はそのはずみで飛んでしまい、つるつるの禿頭が私の前へ
転
(
ころ
)
がったものだ。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
「それなれア気楽なもんだ。女一人くらい、どこへどう
転
(
ころ
)
がったって、まさか
日干
(
ひぼ
)
しになるようなことはありゃしませんからね。」
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
カピはそのときまですみっこに
静
(
しず
)
かに考えこんで
転
(
ころ
)
がっていたが、はね上がって後足で立ちながら、わたしたちの間に
割
(
わ
)
りこんで来た。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
その世界では
煙硝
(
えんしょう
)
の
臭
(
にお
)
いの中で、人が働いている。そうして赤いものに
滑
(
すべ
)
って、むやみに
転
(
ころ
)
ぶ。空では大きな音がどどんどどんと云う。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのとき、彼は、ふと自分の足許に
転
(
ころ
)
がっている紙包に気がついた。それは、監獄を出るとき、看守から渡されたものであった。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして器械的に種々な駅の名を読んで、自分がたつた今
転
(
ころ
)
ばうとした梯子段を、可笑しがつて見てゐる人のやうな顔をしてゐた。
駆落
(新字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
以前は王子
傅育
(
ふいく
)
官を務めて、今も嬢の頭の中を
転
(
ころ
)
がっている、フィリップ殿下の御幼少時代は、この人が御養育したのだという。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
グラチアは我慢しかねて彼をきびしくしかった。すると彼は泣き叫びじだんだ踏み
転
(
ころ
)
がり回った。そして神経の発作を起こした。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そして自ら
嘲
(
あざけ
)
るように笑って、
終
(
しまい
)
にはもう腹を
抱
(
かか
)
えて
転
(
ころ
)
げるほど笑ったかと思うと、悲しげな涙がその後からさめざめと流れた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
すると、梯子段を上りきった僕の足もとに、異様な品物が——その刹那は、本当にそう思ったのです——
転
(
ころ
)
がっているのです。
島原心中
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
お
軒下
(
のきした
)
を
少々
(
せう/\
)
拝借
(
はいしやく
)
致
(
いた
)
します……
就
(
つ
)
きまして
私
(
わたくし
)
は
新入
(
しんまい
)
の
乞食
(
こじき
)
でございまして
唯今
(
たゞいま
)
其処
(
そこ
)
で
転
(
ころ
)
びましてな、足を
摺破
(
すりこは
)
しまして血が出て困りますが
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
蹴倒されたお浜は、むっくりと起き直るや、前に用意して明けておいたと見える表の戸から外の闇へ
転
(
ころ
)
げ出してしまいました。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
波がそれをごろごろ
転
(
ころ
)
がすように押して来て、とうとう、ハーキュリーズの立っているすぐ近くの岸に、その底がつきました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
心得ましたと
先刻
(
さき
)
より
僕人部屋
(
おとこべや
)
に
転
(
ころ
)
がりいし
寺僕
(
おとこ
)
ら立ちかかり引き出さんとする、土間に坐り込んで
出
(
いだ
)
されじとする十兵衛。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その大きな体はみごとにとんぼがえりを打って、なんのことはない大きな
毬
(
まり
)
のように、ころころと線路の上に
転
(
ころ
)
がり落ちた。
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
わたしは少しく朝寝をしたので、発車まぎわに駈けつけて、
転
(
ころ
)
げるように車内へ飛び込むと、乗客はかなりに混雑している。
深見夫人の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
矢頃
(
やごろ
)
あまりに近かりしかば、銃をすてて熊に
抱
(
かか
)
えつき雪の上を
転
(
ころ
)
びて、谷へ下る。
連
(
つれ
)
の男これを救わんと思えども力及ばず。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
渋沢は、眼球を
剥出
(
むきだ
)
して、顔中を
痙攣
(
けいれん
)
させながら、
膝
(
ひざ
)
を突いて、土方へ倒れかかった。土方が避けたので、打伏しに
転
(
ころ
)
がると、動かなくなった。
近藤勇と科学
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
春もいくらか深くなって、そこの紅梅がむせるように匂う頃、寺の上の明るい雑木山に
転
(
ころ
)
がって居ると、鳥がチチと暗き、日は
燦々
(
さんさん
)
とふりそそぐ。
鰯
(新字新仮名)
/
岩本素白
(著)
万斛
(
ばんこく
)
の玉を
転
(
ころ
)
ばすような音をさせて流れている谷川に沿うて登る小道を、温泉宿の方から数人の人が登って来るらしい。
杯
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
追々に飲むに従って熱くなって
吼
(
ほ
)
ゆる事獅子に同じ。飲んで飲みまくった
揚句
(
あげく
)
は、ついに泥中に
転
(
ころ
)
げ廻ってその穢を知らず、
宛然
(
さながら
)
猪の所作をする。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
街燈一つないその
路
(
みち
)
は曲りくねっているので、一歩あやまれば
転
(
ころ
)
がって
尻端折
(
しりはしょり
)
にしている
単衣
(
ひとえもの
)
を
赭土
(
あかつち
)
だらけにするか
馬の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
常住
湿
(
しめ
)
り気の乾ききらないような黒土と混って、大小の丸石が歩む人の足を妨げるようにおびただしく
転
(
ころ
)
がっていた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
何
(
ど
)
うかしたか、お
浦
(
うら
)
。はてな、
今
(
いま
)
転
(
ころ
)
んだつて、
下
(
した
)
へは
落
(
おと
)
さん、
怪我
(
けが
)
も
過失
(
あやまち
)
も
為
(
し
)
さうぢやない。
何
(
なん
)
だか
正体
(
しやうたい
)
がないやうだ。
矢張
(
やつぱ
)
り
一時
(
いちじ
)
に
疲労
(
つかれ
)
が
出
(
で
)
たのか。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
傍から、忠一も顔を出し、暫くそれを見ていたと思うと、彼はいきなりくるりとでんぐり返りを打って、とろとろ、ころころ砂の斜面を
転
(
ころ
)
がり落ちた。
明るい海浜
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
遺骸の供をして来た女房たちはまして夢の中に
彷徨
(
ほうこう
)
しているような気持ちになっていて、車から
転
(
ころ
)
び落ちそうに見えるのを従者たちは扱いかねていた。
源氏物語:41 御法
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
周章
(
あわ
)
てて急坂を
駈下
(
かけお
)
りて
転
(
ころ
)
がるように停車場に飛込みざま切符を買った処へ、終列車が地響き打って突進して来た。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
夕方、家へ帰ってくると、私は窓をすっかり開けて、その窓の近くに負傷をした小さな獣のように
転
(
ころ
)
がっていた。
三つの挿話
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
すると、兄貴のフェリックスとにんじんとが、しまいには地べたの上を
転
(
ころ
)
がりまわる。彼らはそんなにはしゃぐ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
かれは頭上高き球をジャンプしてとった、左側に打たれた難球を
転
(
ころ
)
んでつかんだ、つかむやいなや二塁に送った。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「
人
(
ひと
)
の
転
(
ころ
)
ぶことなんぞ、
遠慮
(
えんりょ
)
してたまるもんかい。
速
(
はや
)
く
行
(
い
)
って
触
(
さわ
)
らねえことにゃ、おせんちゃんは
帰
(
かえ
)
ッちまわァ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そこは農家の離れを次兄が借りたのだったが、私と妹とは避難先からつい皆と一緒に
転
(
ころ
)
がり込んだ形であった。牛小屋の
蠅
(
はえ
)
は遠慮なく部屋中に群れて来た。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
「なあに、人はドッとしなくっても、俺はちょいとこう、目の縁を赤くして
端唄
(
はうた
)
でも
転
(
ころ
)
がすようなのが好きだ」
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
おかみさんはきいきい
言
(
い
)
って、
火箸
(
ひばし
)
でぶとうとするし、
子供達
(
こどもたち
)
もわいわい
燥
(
はしゃ
)
いで、
捕
(
つかま
)
えようとするはずみにお
互
(
たが
)
いにぶつかって
転
(
ころ
)
んだりしてしまいました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
小芝居の楽屋へ
転
(
ころ
)
がり込んだという、前身が
贔屓
(
ひいき
)
筋ではあるし、今も
守住
(
もりずみ
)
さんで通っている亭主だったのだ。
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
というのは二つ割りにしたために木の形が
蒲鉾型
(
かまぼこがた
)
になったから、
崖
(
がけ
)
から下へ
転
(
ころ
)
がり落とせなくなったのです。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
門の戸は重い音を立てゝ
開
(
あ
)
けられた。瑞木を車夫が下へ
降
(
おろ
)
すのと一緒に鏡子は
転
(
ころ
)
ぶやうにして門をくゞつた。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
巌角
(
いわ
)
の
突出
(
つきい
)
で
巌石
(
がんせき
)
の砕けて一面に
転
(
ころ
)
ばっている坂道は、
草鞋
(
わらじ
)
の底を破って足の裏の痛きこと
夥
(
おびただ
)
しく、折から雲霧は山腹を包んで、雨はザアザア降って来れば
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
皆の話を聞いていると、金がそのままゴロゴロ
転
(
ころ
)
がっているようなカムサツカや北樺太など、この辺一帯を、行く行くはどうしても日本のものにするそうだ。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
感心したように
訊
(
き
)
いたのは、家主の半九郎だ。バタバタバタ、廊下を
転
(
ころ
)
げ去って行く侍女の
跫音
(
あしおと
)
がしていた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
わが
切尖
(
きつさき
)
にかゝりて板の間へ落ち
転
(
ころ
)
めけば、和尚悪獣の如き悲鳴を揚げ、方丈の
方
(
かた
)
へ逃げ行かむとするに、
彼
(
か
)
の若衆、隔ての障子を物蔭より詰めやしたりけむ。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
転
常用漢字
小3
部首:⾞
11画
“転”を含む語句
転覆
移転
転々
寝転
転倒
転生
廻転
回転
運転手
突転
一等運転士
転寝
自転車
輾転
有為転変
転輾
化転
転手古舞
寐転
宛転
...