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転
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うた
ふりがな文庫
“
転
(
うた
)” の例文
旧字:
轉
予在外中しばしば屠場近く住み、多くの牛が一列に歩んで殺されに往くとて交互哀鳴するを窓下に見聞して、
転
(
うた
)
た
惨傷
(
さんしょう
)
に
勝
(
た
)
えなんだ。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
平凡なる私の如きものも六十年の生涯を回顧して、
転
(
うた
)
た水の流と人の行末という如き感慨に堪えない。私は北国の一寒村に生れた。
或教授の退職の辞
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
野田山に墓は多けれど
詣来
(
もうでく
)
る者いと少なく墓
守
(
も
)
る法師もあらざれば、雑草
生茂
(
おいしげ
)
りて
卒塔婆
(
そとば
)
倒れ
断塚壊墳
(
だんちょうかいふん
)
算を乱して、満目
転
(
うた
)
た荒涼たり。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
奥殿
(
おくどの
)
の風雲
転
(
うた
)
た急なる時、
襖
(
ふすま
)
しとやかに外より開かれて、
島田髷
(
しまだまげ
)
の小間使
慇懃
(
いんぎん
)
に手をつかへ「旦那様、海軍の官房から電話で御座いまする」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
この間も朝鮮人の密航船が玄海灘で難破して、一行二三十名が
藻屑
(
もくず
)
となったという報道を読んで、
転
(
うた
)
た感深いものがあった。
玄海灘密航
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
▼ もっと見る
読み到りて当時を追想すれば
転
(
うた
)
た
悚然
(
しようぜん
)
たらずんばあらず、
然
(
しか
)
も今之を誌上に掲載して、昔日の夢を笑ふが如き、
蓋
(
けだ
)
し天の幸のみ。碧梧桐附記。
牡丹句録:子規病中記
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そうすると先生は
背向
(
うしろむ
)
きに椅子にかけて正面の大きな書き物机にもたれて、ガックリとこう
転
(
うた
)
た寝でも遊ばしているような恰好なんでしょう。
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
あの低能児の鼻が、それも人並よりは余程低い鼻が私の一生にこういう大影響を及ぼしたかと考えると、
転
(
うた
)
た感慨に堪えないものがありますよ
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
転
(
うた
)
て
思
(
おぼ
)
すらむ。然れども昼牟子を風の吹き開きたりつるより見奉るに、更に
物
(
もの
)
不
レ
思
おぼえず
罪
(
つみ
)
免
(
ゆる
)
し給へ
云々
(
うんぬん
)
」とある。
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ああこれを思い、彼を想うて、
転
(
うた
)
た
潸然
(
さんぜん
)
たるのみ。ああいずれの日か
儂
(
のう
)
が素志を達するを得ん、ただ儂これを怨むのみ、これを悲しむのみ、ああ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
空想勝なる自分の胸は今しもこの山中にも猶絶えない人生の
巴渦
(
うづまき
)
の烈しきを想像して
転
(
うた
)
た一種の感に
撲
(
うた
)
れたのであつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
この心なる宮はこの一月十七日に会ひて、この一月十七日の雪に会ひて、いとどしく貫一が事の
忍
(
しの
)
ばるるに
就
(
つ
)
けて
転
(
うた
)
た悪人の夫を厭ふこと
甚
(
はなはだし
)
かり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それから新聞の拾ひ読みをしてゐる間に昼間の疲れが襲うて、其のまゝ
転
(
うた
)
た
寝
(
ね
)
をしさうになると二階へ上つて床を敷いて直ぐ寝込んでしまふのが例だ。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
かりそめに敷いた
蒲団
(
ふとん
)
の上、箱枕と
小掻巻
(
こがいまき
)
だけの
転
(
うた
)
た
寝
(
ね
)
の姿のまま、主人の白石屋半兵衛は死んでいたのです。
銭形平次捕物控:089 百四十四夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
モムゼン(Mommsen)は外蕃の人であるといい、フシュケ(Huschke)はローマ人であると主張し、吾人をして
転
(
うた
)
たその適従に苦しましめる。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
添乳をしたまま
転
(
うた
)
た
寝
(
ね
)
したので、おふじの胸がすっかりはだかっていた。半鐘はとぎれとぎれに鳴り続けた。
鋳物工場
(新字新仮名)
/
戸田豊子
(著)
而して私共はこの大海のただ中の甲板上に立って、私共を出口まで引張って来た所の三人の恩人を顧みて、
転
(
うた
)
た感謝の念を
熾
(
さかん
)
にせざるを得ないのであります。
琉球史の趨勢
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
わたくしはこの年から五、六年、
図
(
はか
)
らずも
覉旅
(
きりょ
)
の人となったが、明治四十一年の秋、重ねて来り見るに及んで、
転
(
うた
)
た
前度
(
ぜんど
)
の
劉郎
(
りゅうろう
)
たる思いをなさねばならなかった。
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
マダケの花は図上に示すが如くその円錐花散漫せずして緊縮しその外部には苞を以てこれを擁しその苞には頂端に卵形の葉を
具
(
そな
)
えてその状
転
(
うた
)
た人目を惹くに足る。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
分けても大阪は現在の私に縁故が深くなつたせゐか道頓堀川の水を見ても
転
(
うた
)
た懐旧の情に堪へない。
青春物語:02 青春物語
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
して
転
(
うた
)
た
深趣
(
しんしゅ
)
の感に堪えざらしめましたゆえ、そのつど感想上に浮んだ事を詩文に作って居りました
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
何の被害も
蒙
(
こうむ
)
らずに、あの時のままですが、今晩この夜中に、天地が
寂寥
(
せきりょう
)
として、焼野が原の跡が
転
(
うた
)
た荒涼たる時、その柳の木の下に、ふと一つの姿を認められたのは
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
就中
(
なかんづく
)
編輯長ミハイル・イワノヰツチユ君はそんな大人物かと、
転
(
うた
)
た景慕の念に
勝
(
た
)
へなかつた。
板ばさみ
(新字旧仮名)
/
オイゲン・チリコフ
(著)
予も又胸に一種の淋しみを包みつつある此際、
転
(
うた
)
た旅情の心細さを彼が
為
(
ため
)
に増すを覚えた。
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
いまの児童の読物のあまりに
杜撰
(
ずさん
)
なる、不真面目なる、そして調子の低きなどは、児童の人格を造る上に幾何の影響あるかを考えて、
転
(
うた
)
た感慨なからざるを得ないのであります。
新童話論
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
前日来の
艱酸
(
かんさん
)
と
辛労
(
しんろう
)
とは茫乎として
転
(
うた
)
た
夢
(
ゆめ
)
の如し、一行皆沼岸に
坐
(
ざ
)
して
徐
(
おもむ
)
ろに風光を
賞嘆
(
しやうたん
)
して
已
(
や
)
まず、
遠
(
とほ
)
く対岸を
見渡
(
みわた
)
せば無人の一小板屋
忽
(
たちま
)
ち双眼鏡裡に
映
(
えい
)
じ来る、其
距離
(
きより
)
凡そ二里
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
書して
茲
(
ここ
)
に至り吾人は実に
悵然
(
ちやうぜん
)
として
転
(
うた
)
た大息を禁ずる能はざる者に候。
渋民村より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
違警罪
(
いけいざい
)
者街上に充ち、
転
(
うた
)
た
寒心
(
かんしん
)
すべきこと多かりし。
東京市騒擾中の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
余は彼等野人の口より此の真率沈痛の語を聴きて
転
(
うた
)
た
虔敬
(
けんけい
)
の念に堪へざるなり。此語を伝へて政府と国民とに通達するは則ち、吾人の責任なり。
鉱毒飛沫
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
漫
(
そゞろ
)
に
昨夜
(
さくや
)
を
憶起
(
おもひおこ
)
して、
転
(
うた
)
た恐怖の念に
堪
(
た
)
へず、斯くと知らば日の
中
(
うち
)
に辞して斯塾を去るべかりし、よしなき好奇心に駆られし身は臆病神の犠牲となれり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
いと淡き今宵の月の色こそ、その哀にも似たるやうに
打眺
(
うちなが
)
めて、
他
(
ひと
)
の憎しとよりは
転
(
うた
)
た
自
(
みづから
)
を悲しと思続けぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
徒
(
いたず
)
らに歳月矢の如く
逝
(
ゆ
)
きて今は全くの白頭になったが、その間何一つでかした事もないので、この年少時代に書いた満々たる希望に対して
転
(
うた
)
た
忸怩
(
じくじ
)
たらざるを得ない。
牧野富太郎自叙伝:02 第二部 混混録
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
恋愛の実境はそんな言では
悉
(
つく
)
し得ない、すべて少年は
縹緻
(
きりょう
)
を重んじ中年は意気を
尚
(
たっと
)
ぶ、その半老以後に及んではその事疎にして情
転
(
うた
)
た
熾
(
さか
)
んに、日暮れ道遠しの事多し
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
儂思うてここに至れば、
血涙
(
けつるい
)
淋漓
(
りんり
)
、
鉄腸
(
てっちょう
)
寸断
(
すんだん
)
、
石心
(
せきしん
)
分裂
(
ぶんれつ
)
の思い、愛国の情、
転
(
うた
)
た切なるを覚ゆ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
縁側に
転
(
うた
)
た
寝
(
ね
)
している利助の眼を狙って、これだけ効果的に銭を叩き付けられるのは江戸広しといえども、投げ銭の手練で有名な、銭形の平次の外にあるはずはありません。
銭形平次捕物控:019 永楽銭の謎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
我邦
(
わがくに
)
現代における西洋文明模倣の状況を
窺
(
うかが
)
ひ見るに、都市の改築を始めとして家屋
什器
(
じゅうき
)
庭園衣服に
到
(
いた
)
るまで時代の趣味一般の
趨勢
(
すうせい
)
に徴して、
転
(
うた
)
た余をして日本文華の末路を悲しましむるものあり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一個の人間としての彼の悩みに
転
(
うた
)
た同情を
濺
(
そゝ
)
がざるを得ない。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
車輪は、
転
(
うた
)
た尊敬すべきものであると思わせました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
客心何事ぞ
転
(
うた
)
た
凄然
(
せいぜん
)
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
日露両国の間、風雲
転
(
うた
)
た急を告ぐるに連れて、梅子の頭上には結婚の回答を
促
(
うな
)
がすの声、
愈々
(
いよ/\
)
切迫し来れり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
これを
聞
(
き
)
ける貫一は
鉄繩
(
てつじよう
)
をもて
縛
(
いまし
)
められたるやうに、身の重きに
堪
(
た
)
へず、心の
転
(
うた
)
た
苦
(
くるし
)
きを感じたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
読書、弾琴、月雪花、それらのものは一つとして憂愁を
癒
(
いや
)
すに足らず、
転
(
うた
)
た懐旧の
媒
(
なかだち
)
となりぬ。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
悲しみ気遣いながら抵抗せず、予の
為
(
な
)
す
任
(
まま
)
に
順
(
したが
)
いしは
転
(
うた
)
た予をして
惻隠
(
そくいん
)
の情に堪えざらしめた。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
我邦
(
わがくに
)
現代における西洋文明模倣の状況を
窺
(
うかが
)
ひ見るに、都市の改築を始めとして家屋
什器
(
じゅうき
)
庭園衣服に到るまで時代の趣味一般の趨勢に
徴
(
ちょう
)
して、
転
(
うた
)
た余をして日本文華の末路を悲しましむるものあり。
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
静子は今まで
転
(
うた
)
た寝の夢を見ていたのだった。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
塀上の風趣
転
(
うた
)
た掬すべきものがある。
植物一日一題
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
転
(
うた
)
た更に堅く著す、国王夫人たる宝女地中より生じ、十頭の
羅刹
(
らせつ
)
のために大海を将ち渡され、王大いに憂愁するを智臣
諫
(
いさ
)
めて、王智力具足すれば夫人の還るは久しからざる内にあり
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
これを四十四年後に於ける
今日
(
こんにち
)
の時勢に比較すると、吾々は殊にミリタリズムの暴圧の下に萎縮しつゝある思想界の現状に
鑑
(
かんが
)
みて、
転
(
うた
)
た夢の如き感があると云つてもいゝ。然し自分は断つて置く。
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
いまだ
噉
(
く
)
うを得ず、奴戸に当り
倚
(
よ
)
って弓を張り
箭
(
や
)
を挟み刀を抜く、然、盤中の肉飯を以て狗に与うるに狗噉わず、ただ
睛
(
ひとみ
)
を注ぎ唇を
舐
(
ねぶ
)
り奴を
視
(
み
)
る、然、またこれを覚る、奴食を催す
転
(
うた
)
た急なり、然
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
転
常用漢字
小3
部首:⾞
11画
“転”を含む語句
転覆
移転
転々
寝転
転倒
転生
廻転
回転
運転手
突転
一等運転士
転寝
自転車
輾転
有為転変
転輾
化転
転手古舞
寐転
宛転
...