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転
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まろ
ふりがな文庫
“
転
(
まろ
)” の例文
旧字:
轉
二度目にさけんだ時は、武蔵はもう前後も
弁
(
わきま
)
えなかった。ただ燃え苦しむ火のかたまりのように駈け
転
(
まろ
)
んで行って、愚堂の
跫
(
あし
)
もとへ
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
殊に青木原一帯の丸尾(先人の説によれば「
転
(
まろ
)
び」のなまりならんという)を超越して、多くの
側火山
(
そくかざん
)
と噴気口を行列させている。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
蔭凉軒の跡と
思
(
おぼ
)
しきあたりも激しい
戦
(
いくさ
)
の跡を
偲
(
しの
)
ばせて、焼け焦げた兵どもの屍が十歩に三つ四つは
転
(
まろ
)
んでいる始末でございます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
桜子は部屋から
転
(
まろ
)
び出るように、続いて追い迫ろうとする父親の裾を犇と掴んだまま、絶え入るばかり、縁側の月光の中に泣き伏しました。
新奇談クラブ:03 第三夜 お化け若衆
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして、
扉
(
ドア
)
が一杯に開ききられたとき、その薄明りの中から、法水は自分の眼に、
眩
(
くら
)
み
転
(
まろ
)
ばんばかりの激動をうけたのだった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
▼ もっと見る
あとをも見ずしていっさんに走り出ずれば、
心急
(
こころせ
)
くまま手水口の縁に横たわる
躯
(
むくろ
)
のひややかなる
脚
(
あし
)
に
跌
(
つまず
)
きて、ずでんどうと
庭前
(
にわさき
)
に
転
(
まろ
)
び
墜
(
お
)
ちぬ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「夜は誰と寝ん、常陸の介と寝ん、寝たる肌もよし、(これが末いと多かり、又)男山の峯の紅葉は、さぞ名に立つ/\」と、頭を
転
(
まろ
)
がし振る。
濫僧考補遺
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
低
(
ひくき
)
に
随
(
したがつ
)
て今来りたる方へ
乗下
(
のりくだ
)
りたるに、
一束
(
いつそく
)
の柴雪車より
転
(
まろ
)
び
落
(
おち
)
、谷を
埋
(
うづめ
)
たる雪の
裂隙
(
われめ
)
にはさまり(凍りし雪陽気を得て裂る事常也)たるゆゑ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
実雅は片足でそれを二、三度揺り動かしてみたが、兼輔は石のように
転
(
まろ
)
ばったままで、再び身動きをしそうもなかった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
糞を見ると羽を収めて地に降り、一銭銅貨の大きさに丸めた糞を後方から押して、
転
(
まろ
)
ばせながら地上を行くのである。
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
彼が宮を追ひて
転
(
まろ
)
び落ちたりし谷間の深さは、
正
(
まさ
)
にこの
天辺
(
てつぺん
)
の高きより投じたらんやうに、
冉々
(
せんせん
)
として虚空を
舞下
(
まひくだ
)
る
危惧
(
きぐ
)
の
堪難
(
たへがた
)
かりしを想へるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
なぜか相手は得物を捨てて、
昼雷
(
ひるかみなり
)
にでも打たれたかと思うばかり、あの沙門の足もとへ、
転
(
まろ
)
び倒れてしまいました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ほしいままに駕籠舁
風情
(
ふぜい
)
の命を取ることを好まなかった。こけつ
転
(
まろ
)
びつ彼等が上野の山蔭に逃げて行くに任せて、さて十五人の
刃
(
やいば
)
は一つの乗物に向う。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼は窓に近づきぬ、窓の顔は一たび消えて戸をあけて
転
(
まろ
)
び出でたり、「佐太郎主今がお帰り、して宿の主は」と
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
兄上先にお渡りなされ、弟よ先に渡るがよいと譲り合いしが、年順なれば兄まず渡るその時に、
転
(
まろ
)
びやすきを気遣いて弟は端を揺がぬようしかと
抑
(
おさ
)
ゆる
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
四方の木々から庭を目がけ、
飛礫
(
つぶて
)
のように十、二十、百、二百と無数の猿が、飛び下り馳け下り
転
(
まろ
)
び落ちて来た。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
可哀さうに王は地に
転
(
まろ
)
んで、最後の一瞥をバルキスの上に投げると、其儘視力を失つて仕舞つたのである。
バルタザアル
(新字旧仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
母君を何も残らぬ無にしておしまいになったことで、宮は伏し
転
(
まろ
)
んで悲しんでおいでになった。
源氏物語:39 夕霧一
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
岩に腰をかけて暁の霧を浴びながら吹いていますと、私の尺八の音でもって朝霧が晴れ、私の
転
(
まろ
)
ばす音につれて日がだんだん昇るようにまで思ったこともあったのでございます。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
橋が無ければ徒歩じゃ徒歩じゃと、一同ジャブジャブ水を漕いで渡るに、深さは腰にも及ばぬ程であるが、水流は石をも
転
(
まろ
)
ばす
勢
(
いきおい
)
なので、下手をすれば足
掬
(
すく
)
われて転びそうになる。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
躓
(
こ
)
けつ
転
(
まろ
)
びつ、裾踏み乱して
嗚咽
(
おえつ
)
しながら、門まで大次郎のあとを追って出て千浪の耳に聞えたのは、そこの練塀小路の町かどをまがって消えて行く、かれの詩吟の声のみだった。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その
度
(
たび
)
ごとに女の
群
(
むれ
)
はさもさも恨めし気に
此方
(
こなた
)
を眺めては、身も世もあられぬように声を立てて泣くのである。種彦も今は覚えず目がくらんでそのまま水中に
転
(
まろ
)
び落ちてしまった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
いうより早く隣席にありし武男が手をば
無手
(
むず
)
と握りて二三度打ちふりぬ。同時に一座は総立ちになりて手を握りつ、握られつ、皿は二個三個からからとテーブルの下に
転
(
まろ
)
び落ちたり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
本堂の
如来
(
によらい
)
さま驚きて台座より
転
(
まろ
)
び
落給
(
おちたま
)
はんかと危ぶまるるやうなり、
御新造
(
ごしんぞ
)
はいまだ四十の上を幾らも越さで、色白に髪の毛薄く、
丸髷
(
まるまげ
)
も小さく結ひて見ぐるしからぬまでの人がら
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
娘は姉に向ッて言うには,「このごろ江戸で名の高い馬琴という作者の書いた八犬伝という本を読みましたが、その本に出る人で……」とかの犬飼犬塚の両犬士が芳流閣上より
転
(
まろ
)
び落ちて
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
その高い通路の上を今、こけつ
転
(
まろ
)
びつ、小山の陰になって、見えつ隠れつ、全身
生
(
いき
)
不動のように
紅蓮
(
ぐれん
)
の焔を上げた三人の男女が、追いつ
逐
(
お
)
われつ狂気のようになって、走り狂っているのであった。
生不動
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「なに事とも知らず」と答えたるは、アーサーを欺けるにもあらず、また
己
(
おのれ
)
を
誣
(
し
)
いたるにもあらず。知らざるを知らずといえるのみ。まことはわが口にせる言葉すら知らぬ間に
咽
(
のど
)
を
転
(
まろ
)
び
出
(
い
)
でたり。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
珍しと土に
転
(
まろ
)
べるこがねむし手足うごくに拾ひて来たる
遺愛集:02 遺愛集
(新字新仮名)
/
島秋人
(著)
美奈子は、
堪
(
たま
)
らなくなって、寝台から
転
(
まろ
)
び落ちた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
あな、うち
転
(
まろ
)
ぶ人のむれ、
音
(
おと
)
もころころ。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
煉瓦塀をおし破つて
転
(
まろ
)
びにゆく青い草地
体操
(新字旧仮名)
/
仲村渠
(著)
その
疾
(
と
)
さあらめ、
宛
(
あたか
)
も
眠
(
ねぶ
)
り
転
(
まろ
)
び
機縁:(友なる画家の画稿に題す)
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
金
(
かね
)
堆
(
うずたか
)
く
転
(
まろ
)
がし出だせり。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
貝は
転
(
まろ
)
びて常に泣く。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
斬
(
や
)
られたと見えて苦しそう、京橋
堤
(
づつみ
)
をタタタタと逃げ
転
(
まろ
)
んできた。と、その影を追い慕って、波を泳いでくるような
銀蛇
(
ぎんだ
)
が見えた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蔭凉軒の跡と
思
(
おぼ
)
しきあたりも激しい
戦
(
いくさ
)
の跡を
偲
(
しの
)
ばせて、焼け焦げた兵どもの屍が十歩に三つ四つは
転
(
まろ
)
んでゐる始末でございます。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
地に
転
(
まろ
)
びてようよう
起
(
た
)
ち、力無ければ争い得ず、
悄然
(
しょうぜん
)
として立去るを、
先刻
(
さき
)
より見たる豆府屋は、同病相憐の情に堪えず
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
格闘中同人が
卓子
(
テエブル
)
と共に顛倒するや否や、首は俄然
喉
(
のど
)
の皮一枚を残して、鮮血と共に
床上
(
しょうじょう
)
に
転
(
まろ
)
び落ちたりと云う。
首が落ちた話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
思ひも懸けず宮の
入来
(
いりく
)
るを見て、
起回
(
おきかへ
)
らんとせし彼の
膝下
(
ひざもと
)
に、早くも女の
転
(
まろ
)
び来て、立たんと為れば
袂
(
たもと
)
を執り、
猶
(
なほ
)
も
犇
(
ひし
)
と寄添ひて、物をも言はず泣伏したり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
お妙は手をあわせながら、起きつ
転
(
まろ
)
びつ逃げまわりて、上のかたの竹薮へ逃げ込めば、おいよもあとを追って飛び込む。月また薄暗く、竹薮のざわざわと揺れる音。
人狼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
甲州へは帰れもすまい、どこへ落着いて誰を頼る——お浜の頭はまだそこまで行っていないので、ただ
無暗
(
むやみ
)
に口惜しい口惜しいで
伏
(
ふ
)
しつ
転
(
まろ
)
びつ
憤
(
いきどお
)
り泣いているのです。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
足を上げて蹴り、蹴られて、紙帳の裾に
転
(
まろ
)
び寄ったお浦を、帳中から手が出て、引き入れた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
過
(
あやま
)
てり過てり、告げずして往くべかりしに」と、返す返すも悔みたれど、早や
転
(
まろ
)
び
出
(
い
)
でたる玉いかんともするに由なければ、「サラバひそかに用意してよ人に知れては面倒なれば」
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
無礼
(
ぶれい
)
ものめと
肩
(
かた
)
をつきたるゆゑ
俵
(
たわら
)
を
脊負
(
せおひ
)
ていかでたまるべき、雪の中へよこさまに
転
(
まろ
)
び
倒
(
たふ
)
れしに、武士も又人に
投
(
なげ
)
られし
如
(
ごと
)
く
倒
(
たふ
)
れければ、田中の者は
早
(
と
)
く
起
(
おき
)
て
后
(
あと
)
も見ずしていそぎゆきけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
烈風
甍
(
いらか
)
を飛ばし、豪雨石を
転
(
まろ
)
ばし、
勢
(
いきおい
)
で、東都下町方面も多く水に浸され、この模様では今回の旅行も
至極
(
しごく
)
困難であろうと想像しているところへ、ここに今考えても
理由
(
わけ
)
の分からぬ事があった。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
馬鹿野郎めと
罵
(
ののし
)
りながら袋をつかんで裏の空地へ
投出
(
なげいだ
)
せば、紙は破れて
転
(
まろ
)
び出る菓子の、竹のあら垣打こえて
溝
(
どぶ
)
の中にも落込むめり、源七はむくりと起きてお初と一声大きくいふに何か御用かよ
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あまりの
凄愴
(
せいそう
)
さに、我々は思わずそこに
佇立
(
ちょりつ
)
しましたが、しかもその奥の部屋からは、
帷
(
とばり
)
を揚げて三人ばかりの侍女たちが、両手で顔を掩いつつ、声を放って泣きながら
転
(
まろ
)
ぶように出てきたのです。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
と泣き声とともにそこの角から
転
(
まろ
)
び出たのは、裾ふみ乱した萩乃だ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
手は刀を離さず、必死と
成
(
なっ
)
て
夢我
(
むが
)
夢中、きらめく
刃
(
やいば
)
は金剛石の燈下に
転
(
まろ
)
ぶ光きら/\
截切
(
たちき
)
る音は
空
(
そら
)
駈
(
かく
)
る
矢羽
(
やばね
)
の風を
剪
(
き
)
る如く、一足
退
(
すさ
)
って
配合
(
つりあい
)
を
見
(
み
)
糺
(
ただ
)
す時は
琴
(
こと
)
の糸断えて
余韵
(
よいん
)
のある如く、
意
(
こころ
)
糾々
(
きゅうきゅう
)
気
昂々
(
こうこう
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
白髪
(
しらが
)
ふり、
転
(
まろ
)
び、
袖
(
そで
)
とる
殊勝
(
しゆしやう
)
さや。——
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
転
常用漢字
小3
部首:⾞
11画
“転”を含む語句
転覆
移転
転々
寝転
転倒
転生
廻転
回転
運転手
突転
一等運転士
転寝
自転車
輾転
有為転変
転輾
化転
転手古舞
寐転
宛転
...