うつ)” の例文
旧字:
幾年いくとせ聞かざりしその声ならん。宮は危みつつも可懐なつかしと見る目を覚えず其方そなたうつせば、鋭くみむかふる貫一のまなこ湿うるほへるは、既に如何いかなる涙の催せしならん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
一二二けんぞくのなすところ、人のさいはひを見てはうつしてわざはひとし、世のをさまるを見てはみだれおこさしむ。
かくて不毛をアバラケ、それよりカハラケとうつして呼ぶに及んだでなかろうか。
いと好く咲きたる枝を飽かず見上げし母の目は、この時漸く娘にうつりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
妻の足のいたみたちまち下腹にうつりて、彼は得堪へず笑ふなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)