きず)” の例文
そのご奉公にきずのないようにするためには、いささかでも家政に緩みがあってはなりません、あるじのご奉公が身命をしているように
日本婦道記:梅咲きぬ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「その方なかなかに心利いた奴じゃな。小姓共のおらぬがちと玉にきずじゃ。ふっくらいたして、なかなか坐り心地がよいわい」
買つてくれとはれないやうにきず見出みいだして、をしことにはうもぢくににゆうがりますとつてにゆうなぞを見出みいださなくツちやアいかねえ。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
奧方お高樣が、人手にかゝつて相果てたと、大公儀の耳に入つたら最後、三千石の家に、きずがつかずには濟みません。
余りにきずのない茶盌ちゃわんは、かえって風情がないとかいうが、どうも、わが主君にも、困ったきずがある。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もちさへ致すと女郎買ぢよらうかひにばかり行きます是が誠にたまきずと申のでこまりきりますとしきりにわけもなきことを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかしながらにはそらごともまじへざればそのさまあしきもあるべけれど、あまりにたがひたれば玉山の玉にきずあらんもをしければ、かねて書通しよつうまじはりにまかせて牧之がつたなき筆にて雪の真景しんけい種々かず/\うつ
私は今思い出しても誠にい心持がします。くあの時に金をもらわなかった、貰えば生涯気掛りだが、い事をしたと、今日までも折々思い出して、大事な玉にきずを付けなかったような心持がします。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あらわな肩から胸は誇らかにかたく、しかも弾力をもって盛り上る双の乳房まで、一点のきずもない眩しいほどの美しさだった。
明暗嫁問答 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「そこ、そこ、そこじゃ、流れの狭いがちと玉にきずじゃな。いや、曲乗きょくのり致したか。見事じゃ、見事じゃ、ほめとらするぞ」
清「是はうも恐れ入ります、残らず拝借致しても他の物と違いまして、瀬戸物や塗物はきずを付けた位で済みますが、着類きるいは着れば切れるもので」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
色白の細面で、女の子にさわがれさうなのはきずですが、こんな男が思ひの外の激情家にある型です。
きゝ烈火れつくわの如くいきどほりにつくき重四郎が擧動ふるまひかな娘と不義せしなどと沙汰ある時は家にきずを附るの道理だうりなり此上は重四郎を寄附よせつけぬ事こそ肝要かんえうなれと早速番頭を始め皆々へ重四郎は斯樣々々のわけあるゆゑ足を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
俗子ぞくしは是を 菅神の怨灵おんりやうとするは是又 菅神の賢行けんかうきずつけるなり。
杢「あゝ、そんなに煙管で青磁の火入ひいれを敲いてはきずがついていけないよ、そして其の煙管は私のじゃないか」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
嫁女の名にきずのつかぬようおひきとり下さいましたら、双方のしあわせと存じます
日本婦道記:春三たび (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
俗子ぞくしは是を 菅神の怨灵おんりやうとするは是又 菅神の賢行けんかうきずつけるなり。
も見ずしてにげ歸りけり扨又長兵衞はお常にむかひ此事訴へなば怪我人けがにんも多く出來る故何分なにぶん穩便をんびん取扱とりあつかひ白子屋の家名にきずの付かぬやう我々が異見いけんしたがひ給へと云へどもお常は少しも承知せざれば長兵衞も今は是非ぜひなく又七を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ひげするんではない、吾身わがみいやしめるんだ、うすると先方むかうでは惚込ほれこんだと思ふから、お引取ひきとり値段ねだんをとる、其時そのとき買冠かひかぶりをしないやうに、掛物かけものきずけるんだ。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
家中かちゅうの評にのぼっても、家名にきずがつくからと云った。それからの二人はそれまでの二人とは違ってきた。みんながにらんでいる、みんなが仲をさこうとしている、もうおおっぴらには逢えない。
葦は見ていた (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
誠に結構けつこうなおしなでございますと、めながらきずけるんだ、しい事には揚物あげものでございますつて。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
新左衛門は酒肴のぜんを見て、憂鬱に眼をそらし、「うん」といってそこへ坐った。彼は七十郎が酒を飲むことを好まない。七十郎はまた義兄が酒を飲まないことを、玉にきずだというのであった。
貴方がいつまでもお眼が悪いとたった一人のお嬢様が夜中やちゅうに出て神詣かみまいりをなさるのは宜しいが、深夜に間違いでもあれば、これ程お堅い結構な方にきずを付けたらうなさる
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それならよそでも聞いてごらんなさい、世間にはもっとひどいことさえ伝わっているのよ、あんたは男だから、そんな噂もみえの一つかも知れないけれど、おんなのあたしには一生のきずにもなりかねないことよ」
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
千「御覧遊ばせ、わたくし先刻さっき検めました通りきずは有りゃアしません」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)