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創
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きず
ふりがな文庫
“
創
(
きず
)” の例文
吉田は刺客に立ち向つて、肩先を深く切られて、
創
(
きず
)
のために命を
隕
(
おと
)
したが、横井は刺客の袖の下を
潜
(
くゞ
)
つて、都筑と共に其場を逃げた。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
噛まれた
創
(
きず
)
や
摺創
(
すりきず
)
で
血塗
(
ちまみ
)
れになりつつ、
当途
(
あてど
)
もなく犬鎌を振り廻して騒ぎ立つ有様は、犬よりも人の方が狂い出したようであります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
不思議な事に、黒くなって集った支那人はいずれも口も
利
(
き
)
かずに老人の
創
(
きず
)
を眺めている。動きもしないから至って静かなものである。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ、何か頸へずんと音を立てて、はいったと思う——それと同時に、しがみついたのである。すると馬も
創
(
きず
)
を受けたのであろう。
首が落ちた話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
どうも
危
(
あぶな
)
いので、
思
(
おも
)
ふやうに
動
(
うご
)
かせませなんだが、それでもだいぶ
創
(
きず
)
が
附
(
つ
)
きましたやうで、
鏡
(
かゞみ
)
は
見
(
み
)
ませんが、
血
(
ち
)
が
浸染
(
にじ
)
んで
居
(
を
)
りますか。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
創
(
きず
)
は心臓のいくぶん上方で、おそらく上行大動脈を切断しているものと思われたが、円形の何か金属らしい、径一
糎
(
センチ
)
ほどの刺傷だった。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
人の目にかからぬ木立の間を索めて身に受けた
創
(
きず
)
を調べ、この寂しい処で、人を怖れる心と、人を憎む心とを養うより外はない。
犬
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
只今の迫合に
創
(
きず
)
を蒙りて
復
(
また
)
戦うこと成り難し。然る故、貴殿の
蒐引
(
かけひき
)
に妨げならんと存じ人衆を脇に引取候。かくして横を討たんずる勢いを
真田幸村
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
以前から善く聴きなれている「
業突張
(
ごうつくばり
)
」とか「
穀潰
(
ごくつぶ
)
し」とかいうような
辞
(
ことば
)
が、彼女のただれた心の
創
(
きず
)
のうえに、また新しい痛みを与えた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
婦人は指先に一寸
切
(
き
)
り
創
(
きず
)
をしてゐたのに過ぎなかつたが、医者が丁寧に
心
(
しん
)
の臓まで診察しようとしたので
大分
(
だいぶん
)
時間が手間どつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
創
(
きず
)
は下腹部に一か所、その他二か所、いずれも
椅子山
(
いすざん
)
砲台攻撃の際受け候弾創にて、今朝まで知覚
有之
(
これあり
)
候ところ、ついに絶息いたし候由。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
血まぶれになって闘ったといっていい。私も母上もお前たちも幾度弾丸を受け、刀
創
(
きず
)
を受け、倒れ、起き上り、又倒れたろう。
小さき者へ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
先妻はその村正を右手に持って、頸部を横に切ったのですが、
創
(
きず
)
は脊椎骨に達するくらいで、検屍の人もびっくりしました。
猫と村正
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
手代の喜三郎は
後袈裟
(
うしろげさ
)
に斬られたもので、その外、右脇腹に深々と突き
創
(
きず
)
があるところを見ると、後ろと右と兩方から敵を受けたものでせう。
銭形平次捕物控:302 三軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
木葉を巻きてその
創
(
きず
)
を
塞
(
ふさ
)
ぐ、芝嘆じてわれ物の性に
違
(
たが
)
えり、それまさに死せんとすと、すなわち弩を水中に投じたがやがて
俄
(
にわか
)
に死んだという。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
乳母
其
(
その
)
創
(
きず
)
を
見
(
み
)
ましたが、
此眼
(
このめ
)
で
見
(
み
)
ましたが……
南無
(
なむ
)
さんぼう!……ちょうど
此
(
この
)
お
立派
(
りっぱ
)
な
胸元
(
むなもと
)
に。いた/\しい、
無慚
(
むざん
)
な、いた/\しい
死顏
(
しにがほ
)
。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
これを一に
腐刑
(
ふけい
)
ともいうのは、その
創
(
きず
)
が腐臭を放つがゆえだともいい、あるいは、
腐木
(
ふぼく
)
の実を生ぜざるがごとき男と成り果てるからだともいう。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
創
(
きず
)
を
裹
(
つつ
)
み歯を
切
(
くいしば
)
って
闘
(
たたか
)
うが如き経験は、
未
(
いま
)
だ
曾
(
かつ
)
て積まざりしなれば、燕王の笑って評せしもの、実に
其
(
その
)
真を得たりしなり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
嘴
(
くちばし
)
および
咽
(
のど
)
辺などに爪牙にかけられし
創
(
きず
)
を受け得て、その景状はすべて夢中にありし事柄と
毫
(
ごう
)
も異なることこれなし。
妖怪報告
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
丁度相手の女学生が、頸の
創
(
きず
)
から血を出して
萎
(
しな
)
びて死んだように絶食して、次第に体を萎びさせて死んだのである。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
夢ではないかとおもったが、夢ではない証拠に、左胸部の
創
(
きず
)
が、
烈
(
はげ
)
しく痛んでいる。
咽喉
(
のど
)
が渇いて、相当に高熱だ。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
昨夜熊害は仔馬一頭を
傷
(
いた
)
めたるのみなり。
創
(
きず
)
は
裂創
(
れっそう
)
にして、熊の爪にかけられたるも逃げ出して無事なりと。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
「でも、あの
薄刃
(
うすば
)
で斬ったような
創
(
きず
)
はどうしたもんでしょう。鷲や鷹ならば、爪でグサリと掴みかかるにちがいないから、一つや二つの爪傷ではすみますまい」
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それから又坂ア下って又登って向山まで
往
(
い
)
く
間
(
ま
)
にゃア向うの奴は逃げて仕舞うから
打
(
ぶた
)
れ損で、此の体に
創
(
きず
)
を
出来
(
でか
)
したら貴方其の創を癒す事は出来ねえだろうが
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
だって
何程
(
いつかばち
)
のこともあるめえ。と落着く八蔵。得三は
頭
(
こうべ
)
を振り、いや、
他
(
ほか
)
の奴と違う。ありゃお前、倉瀬泰助というて有名な探偵だ。見ろ、あの
頬桁
(
ほおげた
)
の
創
(
きず
)
の
痕
(
あと
)
を。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
豚のお尻の
創
(
きず
)
あとは、ちやんと治つてをりました、以前にもまして
脂肪
(
あぶら
)
がキラキラと光つてをりました。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
創
(
きず
)
は6センチ。盲腸は一部ユ着していて、腰髄麻酔で手術したが、ユ着をはがすとき胆汁を吐きました。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ケートはニュージーランド
河畔
(
かはん
)
にしげっているはんのきの葉をつんで、それをついてこう薬をつくり、二人の
創
(
きず
)
に塗りつけた。これは痛みをとるに
特効
(
とっこう
)
があった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
丁度向うで女学生の頸の
創
(
きず
)
から血が流れて出るように、胸に満ちていた喜が逃げてしまうのである。
女の決闘
(新字新仮名)
/
ヘルベルト・オイレンベルク
(著)
唯
(
ただ
)
一列の
嶄岩
(
ざんがん
)
——或者は縦横に切りさいなまれて
創
(
きず
)
だらけの胴体が今にも一片一片剥がれ墜ちようとし、或者は堅硬な岩面に加えられた風雨の鑿氷雪の
鉋
(
かんな
)
に抉られ削られて
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
明治二十四年五月十一日、滋賀県の巡査津田三蔵なる者が、当時我邦に御来遊中なる露国皇太子殿下(今帝陛下)を大津町において要撃し、その
佩剣
(
はいけん
)
をもって頭部に
創
(
きず
)
を負わせ奉った。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
また私の体は
創
(
きず
)
をしても滅多に
膿
(
うみ
)
を持たず癒るのが頗る早いので、小さい創は何んの手当てもせず何時もその
儘
(
まま
)
に
投
(
ほう
)
り放しで置きます。つまり私の体は余り黴菌が繁殖せぬ体質とみえます。
牧野富太郎自叙伝:02 第二部 混混録
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
已
(
すで
)
にして逐一口を開きしに、幕にて一円知らざるに似たり。
因
(
よ
)
って
意
(
おもえ
)
らく、幕にて知らぬ所を
強
(
し
)
いて申立て、多人数に株連
蔓延
(
まんえん
)
せば善類を
傷
(
そこな
)
う事少なからず、毛を吹いて
創
(
きず
)
を求むるに
斉
(
ひと
)
しと。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
余は何故に、何者に、斯くは刺されたのであろう、是既に容易ならぬ疑問であるが、是よりも猶怪しいは余が
創
(
きず
)
の小さい割合に痛みが強く、爾して其の痛みの為に全身が
痺
(
しび
)
れて了った一事である。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
槍刀
創
(
きず
)
を、体じゅうに十二ヵ所も受けられ、瀕死の容態でございます
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
咽喉
(
のど
)
元へ斬りつけられたと見えて、鋭い刃物の
創
(
きず
)
が二筋ほどえぐるように引ッ掻かれていた。あたり一面の血の海だ。その血の池の端のほうに、窓に近く血にまみれた日本剃刀が投げ捨てられていた。
銀座幽霊
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「この脚部の
創
(
きず
)
はドウ思うね。君が今連れて来た候補生だが……」
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そのとき手指にできた小さな
創
(
きず
)
から死毒が入ったのである。
四年間
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
創
(
きず
)
いたしかなし鋭しまたさびし
狂人
(
きちがい
)
の部屋に啼ける鈴虫
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
創
(
きず
)
を
瘥
(
い
)
やし、病人を救って遣られる。その心身共に
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「これで洗いますと、
創
(
きず
)
がなおりますよ。」
翩翩
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
摧折
(
ひしお
)
れたる
創
(
きず
)
の今に
疼
(
いた
)
むこと
頻
(
しき
)
りにして
鬼桃太郎
(新字新仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
丁度
(
ちょうど
)
あの
Zola
(
ゾラ
)
の
Lourdes
(
ルウルド
)
で、汽車の中に乗り込んでいて、足の
創
(
きず
)
の直った霊験を話す小娘の話のようなものである。
花子
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「僕はなんだか、兜の重量に何か関係があるような気がするんだ。無論、
創
(
きず
)
と窒息の順序が顛倒してりゃ、問題はないがね……」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
寺沢の陣でも騒動したが、三宅藤右衛門、白柄の
薙刀
(
なぎなた
)
を揮って三人を斬り、
創
(
きず
)
を被るも戦うのを見て諸士亦奪戦して斥けた。
島原の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「お蔭で
創
(
きず
)
が
癒
(
なほ
)
つてからは、人間も一段と悧巧になり、
従来
(
これまで
)
のやうに
鬱々
(
くさ/\
)
しないで、その日その日を
娯
(
たの
)
しむやうになつた。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
大した
創
(
きず
)
ではないが
容体
(
ようだい
)
が思わしくないから、お浜が引続き郁太郎を
介抱
(
かいほう
)
している間に、竜之助は一室に
閉籠
(
とじこも
)
ったまま
咳
(
せき
)
一つしないでいるから
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
欧州で中古盛んに読まれた教訓書『ゲスタ・ロマノルム』一三九譚に、アレキサンダー王大軍を率いある城を囲むに、将士多く
創
(
きず
)
を
蒙
(
こうむ
)
らずに死す。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
両軍相争い、一進一退す、
喊声
(
かんせい
)
天に震い
飛矢
(
ひし
)
雨の如し。王の馬、三たび
創
(
きず
)
を
被
(
こうむ
)
り、三たび之を
易
(
か
)
う。王
善
(
よ
)
く射る。射るところの
箭
(
や
)
、三
箙
(
ふく
)
皆尽く。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
馬は、
創
(
きず
)
の痛みで
唸
(
うな
)
っている
何小二
(
かしょうじ
)
を乗せたまま、
高粱
(
こうりょう
)
畑の中を
無二無三
(
むにむさん
)
に駈けて行った。どこまで駈けても、高粱は尽きる
容子
(
ようす
)
もなく茂っている。
首が落ちた話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
創
常用漢字
小6
部首:⼑
12画
“創”を含む語句
創造
創傷
創痍
草創
創痕
絆創膏
切創
創業
創作
創立
銃創
創所
創底
擦創
金創薬
創口
金創
手創
古創
刀創
...