“しぶ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
38.1%
飛沫28.8%
22.3%
頻吹2.2%
繁吹1.4%
使部0.7%
0.7%
0.7%
四分0.7%
支部0.7%
時降0.7%
水吹0.7%
0.7%
渋汁0.7%
重吹0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
通して捺塗なぞって見て下さい。その幻の消えないうちに。色が白いか何ぞのように、胡粉ごふんとはいいませんから、墨ででも、しぶででも。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
掠奪結婚も、折々あるし、恋愛争奪戦争に、家人奴僕を武装させ、やじりを射つくし、ほこに血を飛沫しぶかす場合も稀ではない。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
んぼんでも、不意に二人でいんだら、うち喫驚びつくりしますがな。』と、お光は自家うちへ小池を伴なつて歸るのをしぶる樣子であつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
焔に頻吹しぶきひえびえと沁みにし歌も
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
私は、硝子窓を細く細くあけ、口をあけて繁吹しぶきと一緒に涼氣りやうきを吸ひ込んだ。十分にといひたいが、長くはあけてゐられないのは次の間に病む人がゐる。
夏の夜 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
奴国なこくの宮からは、面部の玦形けっけい刺青ほりものつぶされた五人の使部しぶが、偵察兵となって不弥うみの国へ発せられた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
広間の中では、君長ひとこのかみは二人の宿禰すくねと、数人の童男と使部しぶとを傍に従えて、前方の蒸被むしぶすまの方を眺めていた。数箇の燈油の皿に燃えている燈火は、一様に君長の方へ揺れていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
長絹はその性、これに触るるものに纏縛てんばくし、相手の力をしぶらせ、しびらせ、焦慮させる技能がある。
阿難と呪術師の娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そこにはあまりさはられないので身動きをしながらジツと赤ン坊を心ゆく計り洗つて乾いた手拭で拭いて、六平さんの出ししぶつた赤ン坊の最も善い着物をきさせて、棺——蜜柑箱に納めることにした。
象牙ぞうげの、丸味のある、外側を利用して、裂断さいた面の方に、幾分のくぼみを入れ、外側は、ほとんど丸味のあるままで、そして、つまさきの厚味は四分しぶもあるかと思われる、厚い、大きな爪だ。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そのあひだ彼女かのぢよは、無産者むさんしや××同盟どうめい支部しぶはたらかたはら、あるデパート專屬せんぞく刺繍ししう工場こうぢやうかよつて生活せいくわつさゝへた。そのうち、三・一五事件じけんとして有名いうめいな、日本にほん×××ゐん全國的ぜんこくてき大檢擧だいけんきよおこなはれた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
千万のうろこが水底できらめくように光っている、「へえこの雲じゃあ、時降しぶりにゃあなりっこなし、案じはねえ」
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
なみは彼等の足もとへ絶えず水吹しぶきを打ち上げに来た。彼等は濡れるのをおそれるようにそのたびにきっと飛び上った。こう言う彼等のたわむれはこの寂しい残暑の渚と不調和に感ずるほど花やかに見えた。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
午後二時の太陽が海面にしぶきを散らす金色の燦めきに、晴れやかな沈黙の笑を投げ乍ら、真弓は砂丘を下りて行つた。
水と砂 (新字旧仮名) / 神西清(著)
それは雁皮がんぴ紙縒こより渋汁しぶを引いた一種の糸で、袋のように編んだ物である。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大丸を過ぎると、先が白く重吹しぶいて見えないほどの大雷雨であった。山じゅうの笹を横なぐりにしてどっと吹き降るので、傘がパラシウトのように風を孕んで、伸子を体ごと吊り上げそうにした。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)