薄暮の貌はくぼのかお
暦の上では、もう初秋だとは云ふものの、まだ残暑がきびしく、風流を心にたゝむ十数人の男女を打交へた一団にとつて、横浜の熱閙を避けた池廼家の句筵は、いくぶん重くるしさを感ぜしめた。細長い路地に、両側を楆かなにかの生籬にしてあるのはいゝとして、狭 …