)” の例文
そこに吾々は有限の形につて無限の生命に接觸し到達することを感ずる。有限固定の物質の中に、無限の生命の躍動を感ずる。
生みの力 (旧字旧仮名) / 片上伸(著)
心のみにつてあらゆることが起つて来る。その心が果して宇宙の心につゞいてゐるか、何うか。永遠の生命につゞいてゐるか、何うか。
大阪で (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
然らざればすなわけんたのみてこうを争い、然らざれば則ち衆を擁して入朝し、はなはだしければ則ちかんりて而してたんに、之を防ぐも及ぶ無からん。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
渠はいかにしてかなきそでを振りける? 魚は木にりて求むべからず、渠は他日の興行を質入れして前借りしたりしなり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
外台秘要が既に旧面目を存せぬとすると、学者は何につて李唐以上の事を窮めようぞ。只一の医心方あるのみである。蘭軒はかう云つてゐる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
この『半肯定論法』は『全否定論法』或は『木につて魚を求むる論法』よりも信用を博し易いかと思ひます。
侏儒の言葉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
たはわざなせそ」は、たわわざをするな、巫山戯ふざけたまねをするな、というので、「うちしなりてぞ妹は、たはれてありける」(巻九・一七三八)の例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
今より後われ爾曹なんじらしもべいわず。そは僕は其の主のなすことを知らざれば也。我さきに爾曹を友と呼べり。我爾曹に我が父より聞きし所のことを尽くつげしにる。
イエスキリストの友誼 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
樹にって上下し、追えども去らず、陳その妻子に言いしは、衆人言う、白鼠ある処には伏蔵ありと、これを掘って白金五十錠を獲たと(『淵鑑類函』四三二)。
彼は何にりてここに悟るところありしか。彼が見しこと聞きしこと時に触れ物に触れて、残さず余さずこれを歌にしたるは、杜甫とほが自己の経歴をつまびらかに詩に作りたるとあい似たり。
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
貫一はその相貌そうぼう瞥見べつけんりて、ただちに彼の性質をうらなはんとこころむるまでに、いと善く見極みきはめたり。されども、いかにせん、彼の相するところは始に疑ひしところとすこぶる一致せざる者有り。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あたかも木にって魚を求むるが如きものであって、むしろ退いて網を結び、大いに法律学を起して国民精神を明確にし、おもむろに民族の権利思想の統一を待つには如かないのであると論じた。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
獄を出でてもる辺なき身となってしまっては、折角一旦改悛せんとしても進んで正業に就くの方便なく、再び罪科を犯さねばならぬ事にもなるのは、実際やむをえない場合が多かったに相違ない。
放免考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
目は此の如し、鼻は此の如しと云はんも、到底これにりて其眞相を想像するに由なからん。だ君の識る所の某に似たりと云ふに至りて、僅にこれを彷彿すべきのみ。山水を談ずるも亦復かくの如し。
貧者何にってか仏力をこうむらん
令狐生冥夢録 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
この『半肯定論法』は『全否定論法』或は『木にって魚を求むる論法』よりも信用を博し易いかと思います。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし詩の変体としてこれをれば、脚本、小説の価値も認めずには置かれず、脚本にって演じいだす劇も、高級芸術として尊重しなくてはならなくなる。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「降る雪の」は正月のめでたい雪にってこの語があるのだが、「白髪」の枕詞の格に用いた。「白髪までに」は白髪になるまでということで簡潔ないいかたである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
太祖にしてこの詔をのこすとせば、太祖ひそかにしりぞけて聴かざりし葉居升しょうきょしょうの言の、諸王衆を擁して入朝し、はなはだしければすなわかんりてたんに、これを防ぐも及ぶ無きなり
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
鑑三郎は嫡子京水善直ぜんちよくの廃せられた後、其父錦橋の門人中より出でて宗家を継いだ霧渓晋むけいしんの後裔である。鑑三郎につて分家京水の事を知ることは困難であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
梓弓あづさゆみすゑはし知らず然れどもまさかは君にりにしものを」(巻十二・二九八五)、「しらがつく木綿ゆふは花物ことこそは何時いつのまさかも常忘らえね」(同・二九九六)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
酒は水に因つて体を成し、茶は水につて用を発す。灘の酒は実に醸醞の技の巧を積み精を極むるによつて成るといへども、其の佳水を得るによつて、天下に冠たるに至れるもまた争ふべからず。
(新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
逍遙子は想にりて派を立て、これを梅櫻の色ことなるに比べ、類想派の作家に向ひて、個想派の作を求めむは、ふりたる梅園に向ひて其花の櫻ならざるを笑ふ如しといひ
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
○先づ四道に拠り、角を保ち傍に依り、辺にり列を遮り、往〻相望む。
囲碁雑考 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
或は榛軒は前に進言する所があつて、己酉の禁令は此につて発せられたかも知れぬのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
これは抽斎の本領を道破したもので、考証なしには六経に通ずることが出来ず、六経に通ずることが出来なくては、何にって修養していか分からぬことになるというのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その作の自然に似たるは、作者の才、樣に依りて胡盧ころを畫く世の類想家に立ち超えたりければなり。早稻田文學はこれにりて、シエクスピイヤを沒理想なりとす。われは其意を取りて其言を取らず。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)