大阪でおおさかで
汽車で、東京の近郊に行く。麦の黄熟したさま、里川のたぷたぷと新芽をたゝえて流れてゐるさま、杜の上に晴れやかに簇がり立つた雲のさま、すべて心を惹かないものはない。『麦ははや刈り取るべくもなれる野にをりをり白し夏蕎麦の花』歌は平凡だが実景である …