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今日此頃
打つて變りし瀧口が
今日此頃の有樣に、あれ見よ、當世嫌ひの
武骨者も一度は折らねばならぬ我慢なるに、笑止や
日頃吾等を尻目に懸けて輕薄武士と言はぬ計りの顏
今日此頃の
全盛に
父母への
孝養うらやましく、お
職を
徹す
姉が
身の、
憂いの
愁らいの
數も
知らねば、まち
人戀ふる
鼠なき
格子の
呪文、
別れの
背中に
手加减の
秘密まで、
唯おもしろく
聞なされて
お
腹のよれるやうな
可笑しき
事をば
眞面目に
成りて
仰しやりし
物なれども、
今日此頃のお
人の
惡るさ、
憎くいほどお
利口な
事ばかりお
言ひ
遊して、
私のやうな
世間見ずをば
手の
平で
揉んで
丸めて