えに)” の例文
落し娘兩人は苦界へしづみ夫のみ成らで其身まで此世のえにし淺草なる此中田圃なかたんぼの露と共にきえて行身のあはれさはたとふるものぞなかりける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すぐれたところをあげれば、才もあり智もあり、物にたくみあり、悟道のえにしもある。ただ惜むところはのぞみが大きすぎて破れるかたちが見える。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
(この辺までは幕の開くまでに済んで)えにしも永き永代の、帰帆はいきな送り舟その爪弾きの糸による、情に身さえ入相の、後朝きぬぎぬならぬ山鐘も、ごんとつくだの辻占に、燃ゆるほむらの篝火や……
斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
みをつくし恋ふるしるしにここまでもめぐり逢ひけるえには深しな
源氏物語:14 澪標 (新字新仮名) / 紫式部(著)
にいささめのえにながら、空華くげにはあらじ。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
そつとさし置たち出しが又立もどり熟眠うまひせし其顏熟々つく/″\打ながめ偶々たま/\此世で親と子に成しえにしも斯ばかりうすちぎりぞ情なし然どなんぢを抱へては親子がつひゑ死に外にせんすべなきまゝに可愛いとし我が子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(この辺までは幕の開くまでに済んで)えにしも永き永代の、帰帆はいきな送り舟その爪弾きの糸による、情に身さえ入相の、後朝きぬぎぬならぬ山鐘も、ごんとつくだの辻占に、燃ゆるほむらの篝火や……
天狗外伝 斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
夕露にひもとく花は玉鉾たまぼこのたよりに見えしえにこそありけれ
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
にいささかのえにながら、空華くげにはあらじ。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
かぞへ丁字屋ならば娼妓おひらん澤山たくさんあるゆゑよからんと山口巴の案内にて江戸町二丁目丁字屋方へ一同どや/\登樓おしあがり千太郎には頃日このあひだたばかりなる小夜衣が丁度ちやうど似合にあひの相方と見立みたてられしが互ひのえにし如何につき合なればとてまだ日もくれぬきぬ/\に心殘せど一座の手前其の日は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)