よすが)” の例文
一葉いちよう落ちてと云う句は古い。悲しき秋は必ず梧桐から手をくだす。ばっさりと垣にかかるあわせの頃は、さまでに心を動かすよすがともならぬと油断する翌朝よくあさまたばさりと落ちる。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分は天の冥加みょうがに叶って今かくとうとい身にはなったが、氏も素性もないものである、草刈りが成上ったものであるから、いにしえ鎌子かまこ大臣おとど御名おんなよすがにして藤原氏になりたいものだ。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)