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口惜
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くやし
ふりがな文庫
“
口惜
(
くやし
)” の例文
もうとても……大慈大悲に、腹帯をお守り下さいます、観音様の前には、
口惜
(
くやし
)
くって、もどかしくって
居堪
(
いたたま
)
らなくなったんですもの。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
未練らしく此の間も来て
酷
(
ひど
)
い事を言って、私の
髻
(
たぶさ
)
を
把
(
と
)
って引摺り倒し、散々に
殴
(
ぶ
)
ちましたから、私も
口惜
(
くやし
)
いから了簡しませんでしたが
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
言懸
(
いひかけ
)
られお菊は
口惜
(
くやし
)
きこと限りなく
屹度
(
きつと
)
膝
(
ひざ
)
を立直し是は思ひも依ぬ事を
仰
(
おほ
)
せらるゝもの
哉
(
かな
)
云掛
(
いひかゝり
)
されるも程がある
勿體
(
もつたい
)
ない母樣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
キクッタは折角、自分が見付けた
熊
(
くま
)
をチャラピタの
為
(
ため
)
に打取られ、おまけに
生命
(
いのち
)
までも救つてもらつたことになつたので、
口惜
(
くやし
)
くてたまりません。
熊捕り競争
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
口惜
(
くやし
)
いから
撲
(
なぐ
)
って
与
(
や
)
ろうと思ったけれども、
対手
(
あいて
)
が大勢だから我慢していると、そこへお葉さん、お前が出て来たんだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
何か気に
喰
(
く
)
わぬことを言われた
口惜
(
くやし
)
まぎれに、
十露盤
(
そろばん
)
で番頭の頭をブン
擲
(
なぐ
)
ったのは、宗蔵が年季奉公の最後の日であった。流浪はそれから始まった。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
陸軍の主計官とかで、その人が細君を
妾
(
めかけ
)
の
為
(
た
)
めに、非常に虐待したものから、細君は常に夫の無情を恨んで、
口惜
(
くやし
)
い
口惜
(
くやし
)
いといって
遂
(
つい
)
に死んだ、その細君が
女の膝
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
貞之進は
魂
(
たまし
)
いを赤の絞り放しのしょい揚に
縋
(
すが
)
らせ、ぼんやり後影を
目送
(
みおく
)
って
口惜
(
くやし
)
いような気がする間に、あとから来た段通織の下着もまた起って行ったので
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
こんな
口惜
(
くやし
)
いことは御座いません、
此儘
(
このまゝ
)
死にましては草葉の蔭の奥様に御合せ申す顔が無いので御座います
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
田熊社長は、電話で話は盗めても、その
人肉
(
じんにく
)
の入った壜を盗視できないことをたいへん
口惜
(
くやし
)
がった。
人間灰
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
藤野さんは、豐吉に敗けたのが
口惜
(
くやし
)
いと言つて泣いたと、富太郎が
言囃
(
いひはや
)
して歩いた事を
憶
(
おぼ
)
えてゐる。
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そして
家
(
うち
)
には帰らず、直ぐ
田甫
(
たんぼ
)
へ出た。止めようと思うても涙が止まらない。
口惜
(
くやし
)
いやら情けないやら、前後夢中で川の岸まで走って、
川原
(
かわら
)
の草の中に
打倒
(
ぶったお
)
れてしまった。
画の悲み
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
自分は
口惜
(
くやし
)
くなった。なぜこんな猿の真似をするように
零落
(
おちぶ
)
れたのかと思った。倒れそうになる
身体
(
からだ
)
を、できるだけ前の方にのめらして、梯子に
倚
(
もた
)
れるだけ倚れて考えた。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
梵妻の態度がいつまでも心に残っていて、楽しい食事の間にも、おときは
口惜
(
くやし
)
がっていた。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「まだ云ってやがる、なに云ってやがるのだ、こんな
旨
(
うま
)
い鮒をおいてってたまるものけい、ふざけやがるな。
狸
(
たぬき
)
か、
狐
(
きつね
)
か、
口惜
(
くやし
)
けりゃ、一本足の唐傘にでもなって出て来やがれ」
おいてけ堀
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
如何
(
いか
)
に相馬小次郎が勇士でも心臓が
筑波御影
(
つくばみかげ
)
で出来てゐる訳でもあるまいから、落さうと思つた妻子を殺されては、涙をこぼして
口惜
(
くやし
)
がり、拳を握りつめて怒つたことであらう。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
主人も王成のために
口惜
(
くやし
)
がってくれたがどうすることもできない。王成はもう金がなくなってしまったので、故郷へ帰ろうにも帰れない。いっそ死んでしまおうと思いだした。主人は慰めて
王成
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「ああ
欺
(
だま
)
された。嘘の電話でおびき出されたのだ、
口惜
(
くやし
)
い」
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
わたしや
口惜
(
くやし
)
い
極楽とんぼ
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
私もつい
口惜
(
くやし
)
紛れに、(写真の儀はお見合せ下されたく、あまりあまり人につけても)ッさ。何があまりあまりだろう、
可笑
(
おかし
)
いね。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
口惜
(
くやし
)
くって
堪
(
たま
)
らないからおあさの足へかじり付きますと、ポーンと
蹴
(
け
)
られたから
仰向
(
あおむけ
)
に
顛倒
(
ひっくりかえ
)
ると、
頬片
(
ほっぺた
)
を二つ
三
(
み
)
つ
打
(
ぶ
)
ちました。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
妾
(
わたし
)
一人が罪をかぶせられて、根も葉もない讒言を構えたと云うことになる。それもあんまり
口惜
(
くやし
)
いと
彼女
(
かれ
)
は思った。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その親の子だからしてに、源さも
矢張
(
やっぱり
)
あの通りだ、と人に後指をさされるのが、私は
何程
(
どのくれえ
)
まあ
口惜
(
くやし
)
いか知んねえ
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
たゞもう父に死なれた
口惜
(
くやし
)
まぎれに、今思へば
無考
(
むかんがへ
)
な話ですけれども、十五錢程買つたのですもの。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
何故
(
なぜ
)
。私は
口惜
(
くやし
)
いことよ、よく解りもしないことを左も見て来たように言いふらしてさ。」
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
駕籠
(
かご
)
より出し手早く
後
(
うしろ
)
へ
隱
(
かく
)
して
楯
(
たて
)
になり
嗚呼
(
あゝ
)
殘念
(
ざんねん
)
なるかな斯る惡人とも知らず己れ等如きに
欺
(
あざむ
)
かれ此所まで來しこと
口惜
(
くやし
)
けれとは云ふものゝ
刀
(
かたな
)
の
手前
(
てまへ
)
假令
(
たとへ
)
命
(
いのち
)
は
捨
(
すて
)
るとも
汝
(
おのれ
)
がまゝに
爲
(
さ
)
すべきや覺悟を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
無暗
(
むやみ
)
に
駈
(
か
)
け出して甲府へ行ったっていけないということは、お前の
母様
(
おっかさん
)
の
談
(
はなし
)
でよく
解
(
わか
)
っているから、そんな事は思ってはいないけれど、
余
(
あんま
)
り家に居て食い潰し食い潰しって云われるのが
口惜
(
くやし
)
いから
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
わたしや
口惜
(
くやし
)
い
雨情民謡百篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
いやしくも大東京市内においては、橋の上で煙草を
喫
(
の
)
む時世ではないのである、と云うのも、年を取ると、
口惜
(
くやし
)
いが愚痴に聞える。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と亀の甲より年の功、
流石
(
さすが
)
老巧
(
ろうこう
)
の親身の意見に孝助はかえす言葉もありませんで、
口惜
(
くやし
)
がり、
唯
(
たゞ
)
身を震わして泣伏しました。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
たゞもう父に死なれた
口惜
(
くやし
)
まぎれに、今思へば無考な話ですけれども、十五銭程買つたのですもの。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
愛犬の骨を敵に渡すのは、何だか
口惜
(
くやし
)
い
様
(
よう
)
にも思われるので、市郎は
到頭
(
とうとう
)
トムを抱えて帰った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
火の燃えつかざるを
口惜
(
くやし
)
く思い、かの年かさなる童のみは、
後
(
あと
)
振りかえりつつ馳せゆきけるが、砂山の
頂
(
いただき
)
に立ちて、まさにかなたに走り下らんとする時、今ひとたび振向きぬ。
たき火
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「いえ——ナニ——」と稲垣は
苦笑
(
にがわらい
)
して、正直な、気の短かそうな調子で、「少しばかり衝突してネ……
彼女
(
あいつ
)
は
口惜
(
くやし
)
紛
(
まぎ
)
れに
笄
(
こうがい
)
を折ちまやがった……馬鹿な……何処の家にもよくあるやつだが……」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
口惜
(
くやし
)
や口惜や
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
私は中に立つて、其の夫人と、先生とに
接吻
(
キッス
)
をさせるために生れました。
而
(
そ
)
して、
遙々
(
はるばる
)
東印度
(
ひがしインド
)
から渡つて来たのに……
口惜
(
くやし
)
いわね。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
砂埃が眼に入って長二は物を見る事が出来ませんが、余りの
口惜
(
くやし
)
さに手探りで幸兵衞の足を
引捉
(
ひっとら
)
えて起上り
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
稚い時から極く
穏
(
おとな
)
しい性質で、人に
抗
(
さから
)
ふといふ事が一度もなく、
口惜
(
くやし
)
い時には物蔭に隠れて泣くぐらゐなもの、年頃になつてからは、村で一番老人達の気に入つてるのが此お定で
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お住は苦しいと
口惜
(
くやし
)
いに心も乱れたと見えて、いつかその池の
畔
(
ほとり
)
へ這寄って、水底深く沈んで
了
(
しま
)
ったとは、如何にも無惨極まる次第で、その時代の事であるから何事も内分に済せて
お住の霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
自分
(
じぶん
)
は
學校
(
がくかう
)
の
門
(
もん
)
を
走
(
はし
)
り
出
(
で
)
た。そして
家
(
うち
)
には
歸
(
かへ
)
らず、
直
(
す
)
ぐ
田甫
(
たんぼ
)
へ
出
(
で
)
た。
止
(
と
)
めやうと
思
(
おも
)
ふても
涙
(
なみだ
)
が
止
(
と
)
まらない。
口惜
(
くやし
)
いやら
情
(
なさ
)
けないやら、
前後夢中
(
ぜんごむちゆう
)
で
川
(
かは
)
の
岸
(
きし
)
まで
走
(
はし
)
つて、
川原
(
かはら
)
の
草
(
くさ
)
の
中
(
うち
)
に
打倒
(
ぶつたふ
)
れてしまつた。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「蛸とくあのくたら。」しかり、これだけに対しても、三百三もんがほどの
価値
(
ねうち
)
をお認めになって、
口惜
(
くやし
)
い事はあるまいと思う。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
伊之助さんと若草の
位牌
(
いへえ
)
と婚礼して、若草に沙汰なしで持った
嫁子
(
よめっこ
)
を離縁してくんなせえまし、影も形もねえけんども、
口惜
(
くやし
)
いと云う執念は残ってるだから
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
妾
(
あたし
)
あの
騒動
(
さわぎ
)
じゃア
酷
(
ひど
)
い目に逢って
了
(
しま
)
った。」と、お葉が
口惜
(
くやし
)
そうに云った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
雲飛
(
うんぴ
)
は
足
(
あし
)
ずりして
口惜
(
くやし
)
がつたが
如何
(
どう
)
することも
出來
(
でき
)
ない。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
いかに、大の男が手玉に取られたのが
口惜
(
くやし
)
いといって、親、兄、姉をこそ問わずもあれ、
妙齢
(
としごろ
)
の娘に向って、お商売? はちと思切った。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
茂之助は三八郎の
計
(
はから
)
いで、手切金を出しお瀧を離縁しましたが、面当に近所へ
世帯
(
しょたい
)
を持ったので
口惜
(
くやし
)
くって、寝ても覚めても忘られず、残念に心得て居りました。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
とちょうど寄合わせた時、少し
口惜
(
くやし
)
いようにも思って、
突懸
(
つっかか
)
って言った、が、胸を
圧
(
おさ
)
えた。
可厭
(
いや
)
なその
臭気
(
におい
)
ったら無いもの。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
初めて出来た子は
堕胎
(
おろ
)
され、私も死に、親子諸共に死ぬような事になるも、内儀さんのお蔭じゃ、
口惜
(
くやし
)
い残念と十一日の間云い続けて到頭死にました、その死ぬ時な
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
拭
(
ふ
)
くたびにだんだんお顔がねえ、小さくなって、
頸
(
えり
)
ン処が細くなってしまうんですもの、ひどいねえ、私ゃお医者様が、
口惜
(
くやし
)
くッてなりません。
誓之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
口惜
(
くやし
)
いと思って死んだから、其の念が来たのだ、死んで念の来る事は昔から幾らも聞いている
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
惜
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“口惜”で始まる語句
口惜涙
口惜紛