おり)” の例文
心のおり——それが消そうとすればするほど、却って一杯にひろがってきてしまうのをどうすることもできなかったのだった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
魚釣りのおりが水底に沈んで純粋な目的だけがのこるようになるには一千回もここに通わなければなるまい。だが、そういう浄化の作用は絶えずおこなわれているのであろう。
この夢の酔いごこちは永遠の悲しみのおりを大将の胸に残したようである。
源氏物語:41 御法 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そして興奮がおりのやうに殘つてゐた。
受験生の手記 (旧字旧仮名) / 久米正雄(著)
それはビーアのおりをよどませ
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
底なるおりに醉はんとて
天地有情 (旧字旧仮名) / 土井晩翠(著)
おりらぬ新造酒にひみき
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
もういまはなんの心のおりもなく、ああ、師匠のお蔭で新しい道が拓けた。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
こゝのうま酒おりにがし
天地有情 (旧字旧仮名) / 土井晩翠(著)