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檻
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おり
ふりがな文庫
“
檻
(
おり
)” の例文
血も涙も無い優勝劣敗掴み取りのタダ中に現在の日本が飛込むのは
孩子
(
あかご
)
が猛獣の
檻
(
おり
)
の中にヨチヨチと歩み入るようなものであります。
父杉山茂丸を語る
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
檻
(
おり
)
の戸をあけてそっと
内部
(
なか
)
にはいると、見かけは鈍重そうな氷原の豹どもも、たちまち牙を
露
(
む
)
きだし、野獣の本性をあらわしてくる。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
檻
(
おり
)
の中の囚人どもは、おかずの贅沢ばかりをいい、ときには、酒も注文した。ちびちびやりながら、中で、一日、将棋をさしている。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
そして
圧
(
お
)
し潰されたような厭な気分で、飯を食いに出るほかは、狭い
檻
(
おり
)
のような自分の書斎のなかに、黙って閉じ籠ってばかりいた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
檻
(
おり
)
の鉄棒につかまって、ものすごい目で機械人間の方をみつめていた、サルの谷博士が、がてんがいかないというふうにたずねた。
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
おう、
坂部十郎太
(
さかべじゅうろうた
)
か。たかが
稚児
(
ちご
)
どうような
伊那丸
(
いなまる
)
と
六部
(
ろくぶ
)
の一人や二人が、
檻
(
おり
)
をやぶったとて、なにをさほどにうろたえることがある。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「……さて、いよいよあれなる二つの
檻
(
おり
)
を、ピッタリと密着いたし、あいだの
扉
(
とびら
)
をひらきまして、
虎
(
とら
)
と熊とを一つにいたしまする」
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
古木
(
こぼく
)
の
樣
(
やう
)
な
醜
(
みにく
)
き
腕
(
うで
)
を
延
(
のば
)
して、
鐵車
(
てつしや
)
の
檻
(
おり
)
を
引握
(
ひきつか
)
み、
力任
(
ちからまか
)
せに
車
(
くるま
)
を
引倒
(
ひきたほ
)
さんとするのである。
猛犬稻妻
(
まうけんいなづま
)
は
猛然
(
まうぜん
)
として
其
(
その
)
手
(
て
)
に
噛
(
か
)
み
付
(
つ
)
いた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
どうかした拍子に
檻
(
おり
)
を破った猛獣の大群のように、自然があばれ出して高楼を倒壊せしめ堤防を
崩壊
(
ほうかい
)
させて人命を危うくし財産を滅ぼす。
天災と国防
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
御主人は時々振り返りながら、この家にいるのは
琉球人
(
りゅうきゅうじん
)
だとか、あの
檻
(
おり
)
には
豕
(
いのこ
)
が飼ってあるとか、いろいろ教えて下さいました。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それは、大八車が一つ、この宿屋の
店前
(
みせさき
)
についていて、そこに穀物類が片荷ばかり積み載せてあるその真中に、四角な鉄の
檻
(
おり
)
が一つある。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
戸板を舁き捨て、素早く逃げ出した五郎蔵の二人の
乾児
(
こぶん
)
であった。二人の走って行く様は、
檻
(
おり
)
から解放された獣かのように軽快であった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
午前の一時ごろ、暗夜ではあったが、雨と台風との中の屋根を伝って、彼の
檻
(
おり
)
と向かい合ってる軒窓の前を、二つの影が通るのが見えた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一方、又、景岡にとっては、この放心したような、自由な姿体を持った裸の群れを、彼の
檻
(
おり
)
の中に置いて、どんなに狂喜したことでしょう。
足の裏
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
それから外へ出て、熊の仔の
檻
(
おり
)
のところへいった。あれからまもなく、弥六が檻を作って、その中へ熊の仔は入れられていた。
月の松山
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
名高い
狒々
(
ひひ
)
のいた近辺に、母と子との猿を一しょに入れてある
檻
(
おり
)
があって、その前には例の
輪切
(
わぎり
)
にした
薩摩
(
さつまいも
)
芋が置いてある。
牛鍋
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
水禽の大鉄傘を過ぎて、おっとせいの水槽のまえを通り、小山のように巨大なひぐまの、
檻
(
おり
)
のまえにさしかかったころ、佐竹は語りはじめた。
ダス・ゲマイネ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
成経
重盛
(
しげもり
)
が
懇願
(
こんがん
)
したからです。しかし結果は
残酷
(
ざんこく
)
ないたずらと同じになりました。ちょうど中を
隔
(
へだ
)
てた一つの
檻
(
おり
)
に親子の
獣
(
けもの
)
をつなぐように。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
それは奥ゆき六歩ばかりのちっぽけな
檻
(
おり
)
で、方々壁から離れてぶら下っている埃まみれの黄色い壁紙のために、いかにもみすぼらしく見えた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
二
匹
(
ひき
)
の
雌雄
(
しゆう
)
の
虎
(
とら
)
がううと
唸
(
うな
)
りながら、一つ
檻
(
おり
)
のなかで荒れ狂っているような思い出が、千穂子の躯を熱く煮えたぎらせた。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
敬二郎は固い決心をもって胸を
顫
(
ふる
)
わせながら、正勝の来るのを待った。彼は顔を伏せて、露台の上をこつこつと
檻
(
おり
)
の中の
熊
(
くま
)
のように歩き回った。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
その動物性は、幾世紀もの文明によって
馴養
(
じゅんよう
)
され、
檻
(
おり
)
の中のみじめな
獅子
(
しし
)
ほどに愚鈍にされてはいるが、それでもやはり
餌食
(
えじき
)
にあこがれている。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
つやつやした、まるまる肥った食用豚は、
檻
(
おり
)
のなかでのんびりと、ほしいままに
餌
(
えさ
)
を食べながら、ぶうぶういっていた。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ちょうど野獣の
檻
(
おり
)
の番人が野獣を挑発するように森の空気をかきたて、ついにすべての谷の茂みや丘の中腹からうなり声を引き出したのであった。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
黒橇
(
くろそり
)
や、荷馬車や、徒歩の労働者が、きゅうに
檻
(
おり
)
から放たれた家畜のように、自由に嬉々として、氷上を
辷
(
すべ
)
り、
頻
(
ひん
)
ぱんに対岸から対岸へ往き来した。
国境
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
その日の午後、二階の居間に閉じ
籠
(
こも
)
った父は、
何
(
ど
)
うしたのであろう。
平素
(
いつも
)
に似ず、
檻
(
おり
)
に入れられた
熊
(
くま
)
のように、部屋中を絶間なしに歩き廻っていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ちっぽけな
檻
(
おり
)
の中で変に神経を鋭くして生きたくなったり死にたくなったり怒ったりしてみたところで仕様もない。
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
よく見ると、近所の動物園の
檻
(
おり
)
の中にゐる
虎
(
とら
)
さんが、
爪
(
つめ
)
をとんがらかして、お鼻の先にくひついてゐました。お猫さんは、びつくりして目がさめました。
お鼻をかじられたお猫さん
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
社会の耳目を
攲
(
そば
)
だたせたおりに——無気力無抵抗につくりあげられた因習の
殻
(
から
)
を切り裂いて、多くの女性を
桎梏
(
しっこく
)
の
檻
(
おり
)
から引出そうとしたけなげなあなたを
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
母親の親戚は町にあるというが、来て顧みてくれる者もなかった。
気狂
(
きちがい
)
は、時々、
檻
(
おり
)
を破って外に逃げ出した。
僧
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一日例のごとく
聞
(
きこ
)
し召し過ぎ、例の
打擲
(
ちょうちゃく
)
がうるさいから
檻
(
おり
)
の戸を開けて六脚の豕を出してその跡に治まり返る。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
両側に積み上げられた
陋
(
むさ
)
くるしい獣の
檻
(
おり
)
……
湿
(
じ
)
め湿めとした細長い土間……高い光も届かぬ天井……そして戸を
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「人間はね、相手が狐だと解ると、手袋を売ってくれないんだよ、それどころか、
掴
(
つか
)
まえて
檻
(
おり
)
の中へ入れちゃうんだよ、人間ってほんとに
恐
(
こわ
)
いものなんだよ」
手袋を買いに
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
諏訪
(
すわ
)
神社の縁日に虎の見世物が出て、非常な人気を博したことはついその十日ほど前のことであった。孫四郎の絵ではその虎の
檻
(
おり
)
が街頭に引き出されている。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
「あれ一枚で、細帯一つ締めていないんだから、大丈夫ですよ。まあ猛獣が
檻
(
おり
)
へ入れられたようなもんです」
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その隣の
檻
(
おり
)
の金網の中には
嬉戯
(
きぎ
)
する小猿が幾匹となく、
頓狂
(
とんきょう
)
に、その桃色の眼のまわりを動かすのである。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
私は虎の
檻
(
おり
)
の前に行って、
佇
(
たたず
)
んだ。スティイムの通っている檻の中で私から一米と隔たらない距離に、虎は前肢を行儀よく揃えて横たわり、眼を細くしていた。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
まるで獅子の
檻
(
おり
)
へ、じぶんから飛びこんだも同然で……こりゃア丹波、あわてるなといっても、無理です。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そんな赤ん坊用の大小のベットはおよそ四五十もあつたでせうが、それがみんな四方にかなり高い鉄の手すりの附いた、まるで
檻
(
おり
)
のやうな
恰好
(
かっこう
)
のベットなのでした。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
そして不思議な偶然の機会から殆ど命掛けの勇気を出して恋愛の自由を
贏
(
か
)
ち得たと同時に、久しく私の個性を監禁していた旧式な家庭の
檻
(
おり
)
からも脱することが出来た。
鏡心灯語 抄
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
好運を信じて、一度難を逃れた
獅子
(
しし
)
の
檻
(
おり
)
へまたはいり込んだのだが、今度は、生きては出なかった。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
すると、象は、
檻
(
おり
)
よりも高く立ち上る。そしておそろしく、どえらい、太古時代そのままの姿で、彼はひと声
唸
(
うな
)
りを発する。あたりの空気は水晶のように
罅
(
ひび
)
がはいる。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
その絶望的な瞳には、形容しようもない狂暴な復讐心が燃えるようでもあり、運命に
虐
(
しいた
)
げられて、反抗することのできない
檻
(
おり
)
の中の猛獣の
諦
(
あきら
)
めがあるようでもあります。
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
実は私も動物園の熊のようにあの鉄の
格子
(
こうし
)
の
檻
(
おり
)
の中に入って山の上へ上げられた一人であります。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
兵達は、皆のろのろと
大儀
(
たいぎ
)
そうに立ち上った。疲労がそうさせるのか、皆一様な単純な表情であった。考える力を喪失した、言わば動物園の
檻
(
おり
)
のけもののようであった。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
ただただ焦れたかぶるのみにて
御座候
(
ござそろ
)
、されば、若き身をとじこめ候
檻
(
おり
)
より、今日ようやくのがれいだし、古い乳母のもとをたより、その者の手にて、小石川
伝通院
(
でんずういん
)
裏の
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
大小無数の
水禽
(
すいきん
)
のさざめき、蛇のように、長い
頸
(
くび
)
をくねらして小さな
餌
(
えさ
)
をさがしてはついばんでいる
駝鳥
(
だちょう
)
、
檻
(
おり
)
の外には人間どもが、
樹陰
(
こかげ
)
のベンチの上に長々と寝そべったり
動物園の一夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
ここの舎房は
旧
(
ふる
)
いままので、鉄格子の、岩乗な舎房であった。まだ牢の感じの残っているものだった。
檻
(
おり
)
であった。そこにいて私は、そんな異様が心にくるでもなかったのだ。
その人
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
頑丈な金網をその周囲に高々と張りめぐらしている屋上運動場は、それだけで動物園の大きい
檻
(
おり
)
を連想させた。そこだけが日没まで彼らにとって唯一の遊び場所になっていた。
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
この
闘牛
(
トウロス
)
をいよいよ最後の運命地、市内の闘牛場へ運び入れるのがまた大変なさわぎだ。どこまでも猛獣という観念を尊重し、
巌畳
(
がんじょう
)
な
檻
(
おり
)
へ入れて特別仕立ての貨車で輸送する。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
檻
漢検1級
部首:⽊
18画
“檻”を含む語句
御折檻
檻車
鐵檻車
折檻
熊檻
自動鐵檻車
檻禁
檻房
責折檻
鉄檻
檻送
未決檻
罠檻
野獣檻
送檻
試験檻
檻舎
空檻
直欄横檻
猪檻
...