トップ
>
機
>
おり
ふりがな文庫
“
機
(
おり
)” の例文
と、ふとした
機
(
おり
)
に、彼はその大きな柳の樹の根元の
草叢
(
くさむら
)
の中に
雲雀
(
ひばり
)
の巣を見つけ出したのであった。彼は躍り上るようにして喜んだ。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
機
(
おり
)
があったらどうかしてと、ちょい/\ほのめかして見るのですが、先方ではまるで馬鹿にし切って、てんで相手にしてくれません。
幇間
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
今までにだって、
機
(
おり
)
を見ては何度となく意中を伝えてあるのだが、お妙はそのたびに
外方
(
そっぽ
)
を向いて、いつもつれない様子を見せて来た。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
木末
(
こぬれ
)
の上」は、繁っている樹木のあたりの意、万葉の題には、「時に
臨
(
のぞ
)
める」とあるから、或る
機
(
おり
)
に臨んで作ったものであろう。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
だが、信長が死を急いで、自身わが砦へかかって来たのは、まさに、絶好の
機
(
おり
)
。武門の運をとり逃がすな。信長の首を打って取れや
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
よい
機
(
おり
)
を見てドクトル・ラッパチーニの名を言い出すと、教授は彼が想像していたほどには、こころよく答えなかった。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
身投げに
駈出
(
かけだ
)
す
機
(
おり
)
がなくッて、ついぐずぐずで
活
(
い
)
きてたが、芳ちゃん、お前に逢ってから、私ゃ死にたくなくなったよ。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それで今こちらの親方から聴いたとおり、しかたがない好い
機
(
おり
)
の来るまで辛抱しているつもりでいるから、あんたもその気でいてもらわねばならぬ
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
長二も
予
(
かね
)
て
機
(
おり
)
もあらば和尚にだけは身の上の
一伍一什
(
いちぶしじゅう
)
を打明けようと思って居りました所でございますから、幸いのことと、自分は
斯々
(
かく/\
)
の
棄児
(
すてご
)
にて
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ホルンは吹き出す
機
(
おり
)
をそらして、一小節だけ
後
(
おく
)
れていた。そしてなお数分間吹きつづけたが、次には平気でやめてしまって、その持ち場に穴を
開
(
あ
)
けた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
こんな事を話して
機
(
おり
)
をまつ。九郎右衛門衛の腹では、うまく行ったら金もさらってと——四月六日の夜、闇。
相馬の仇討
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
登城を要して討つは、刺客共にとって一番目的を遂げ易い
機
(
おり
)
である。十五日であるかどうかを諄うきいたのもそのためじゃ。決断を急いだのもそれゆえじゃ。
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
冗談も休み休み、
機
(
おり
)
を見ていうがいいんだ。時もあろうに、自分らの首の運命の決していようという時に。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
夜でも
機
(
おり
)
をみて、聞かねばなるまいとひとり考えるミネの気持を知ってか知らずにか、閑子は立ち上り
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
機
(
おり
)
を見ては又何万石かを貰える様になるのは、分り切っているのであるから、その前に宿屋の娘と馴れ親んでいたなど、少しでも不行跡を認められては工合が悪い。
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
滝人もまた、それに狂的な偏執を持つようになって、おそらくこれが、永遠に解けぬ謎であろうとも、どうして脳裡から、離れ去る
機
(
おり
)
があろうとは思われなかった。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
同時に少し強すぎるような語調が懸念でもあった。倉地の心底をすっかり見て取ったという自信を得たつもりでいながら、葉子の心は何か
機
(
おり
)
につけてこうぐらついた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
私のお父様が官途に
就
(
つ
)
いて、
西域
(
せいいき
)
の方へいくことになって、明日お母さんを
伴
(
つ
)
れて出発するのですから、それまでに好い
機
(
おり
)
を見て、お父さんとお母さんの許しを受けて
阿霞
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
ただ心は、焼くように思い
焦
(
こが
)
れても、
所詮
(
しょせん
)
は
機
(
おり
)
を待つより外はないと、
諦
(
あきら
)
めている内に、二十の声を聞くや聞かずに、そなたは清兵衛殿の思われ人となってしまわれた。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それを
質
(
かた
)
に伊賀屋から幾らか借り出そうとして、仏事の晩にそれを
厨子
(
ずし
)
に納めて持ち込んだのですが、ほかに大勢の人がいたので云い出す
機
(
おり
)
がなくって一旦は帰ったのです。
半七捕物帳:25 狐と僧
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
吉
(
きち
)
ちゃんおせんちゃんと、
呼
(
よ
)
び
交
(
か
)
わす
機
(
おり
)
はまったくないままに、
過
(
す
)
ぎてしまったのであった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
高座に渇仰の的が姿を現わすと、神妙に静まりかえって、邪魔にならぬほどのよい
機
(
おり
)
を見て、語り物の乗りにあわせて、
下足札
(
げそくふだ
)
で拍子をとり、ドウスル、ドウスルと連発する。
竹本綾之助
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
機
(
おり
)
にかないて
語
(
かた
)
る
言
(
ことば
)
は
銀
(
ぎん
)
の
彫刻物
(
ほりもの
)
に
金
(
きん
)
の
林檎
(
りんご
)
を
嵌
(
は
)
めたるが
如
(
ごと
)
し、という聖書の
箴言
(
しんげん
)
を思い出し、こんな優しいお母さまを持っている自分の幸福を、つくづく神さまに感謝した。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
我等遠く進みし時、わが師は昔姿美しかりし者を我にみすべき
機
(
おり
)
いたれるをみ 一六—一八
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
ああした事情で、親しく令嬢に会う
機
(
おり
)
を喪ったけれども、彼女が一度でも自分如きに会ってやろうと思ってくれた事だけは確であったに違いない。それだけでも私は嬉しかった。
日蔭の街
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
機
(
おり
)
にふれ、時に従ってきれぎれに語られたもので、それも、君子がものごころのつく頃に多くは寝床のなかで聞いた話であるから、いまでは遠い記憶のかなたにかすんでしまって
抱茗荷の説
(新字新仮名)
/
山本禾太郎
(著)
汝なお彼に報ゆるの時をも
機
(
おり
)
をも有せり、彼の汝に尽せしは汝より
報
(
むくい
)
を得んがためにあらず、汝をして内に顧みざらしめ汝の全心全力を以て汝の神と国とに尽さしめんがためなり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
されどこの病児を産みてよりは、全くその楽しみを捨てたるに、福田は気の毒がりて、
機
(
おり
)
に触れては勧め
誘
(
いざな
)
いたれど、既に無形の娯楽を得たり、
復
(
ま
)
た
形骸
(
けいがい
)
を要せずと
辞
(
いな
)
みて応ぜず。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
紙の上の
天理教
(
てんりきょう
)
は見て居るが、教会を
覗
(
のぞ
)
いた事は
未
(
ま
)
だ無い。好い
機
(
おり
)
だ。往って見る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
……なぜかといふに彼はルスヴン卿が今日は打明けて話してくれるか、明日は打明けて話してくれるかと、その時の来るのを心待ちに待つてゐたのである。だが、そんな
機
(
おり
)
は一向来なかつた。
吸血鬼
(新字旧仮名)
/
ジョン・ウィリアム・ポリドリ
(著)
御上京の
機
(
おり
)
は、来月になさって下さいますようにとのことでございます。
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
機
(
おり
)
を見て別々に一人々々、討って取らなければならなかった。
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
てめえの心持ちはよく分っている。だから、何かいい
機
(
おり
)
があったら、生涯食えるだけの金を持たせて、おれと結んだ悪い渡世の縁を
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何とかして
家
(
うち
)
の中へはいり込んでゆく方法はないものかとさまざまに心を砕きながら、好い
機
(
おり
)
の来るのを待っていた。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
と飯島平左衞門は孝心に感じ、
機
(
おり
)
を見て
自
(
みずか
)
ら孝助の
敵
(
かたき
)
と
名告
(
なの
)
り、討たれてやろうと常に心に掛けて居りました。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
二三日来、小親われを見ては
憂慮
(
きづか
)
いて、かくは問うたりき。心なく言うべきことにあらねば語らでありしが、この
夜
(
よ
)
は
渠
(
かれ
)
とわれとのみ、
傍
(
かたわら
)
に人なき
機
(
おり
)
なり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
また彼の母の消息を告げてくれ、一
籠
(
かご
)
のりんごと一片の菓子パンとを送ってきて、それを自分のために食べてくれと言ってよこした。それはちょうどよい
機
(
おり
)
に到着した。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
さんざん壁越しに源右衛門の注意を
惹
(
ひ
)
いたのち、朝になると必ず子供に小判をもたせて出してやって、
機
(
おり
)
を見て子供の口から源右衛門へ吹き込ませたもので——女が良くて
早耳三次捕物聞書:03 浮世芝居女看板
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
却説
(
さて
)
、山田某。女共の軽い口からちらちら洩れる噂も気になるし、折柄の坂本警護を、いゝ
機
(
おり
)
に、彦根を
出
(
いで
)
、江洲へ行った。お俊が戻ると共に、この事を知ったのは勿論である。
新訂雲母阪
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
従って、自分達の恋が、正式に認められるような
機
(
おり
)
は、永久に来ないように思われた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
唯
(
ただ
)
心を
籠
(
こ
)
めて
浄
(
きよ
)
い心身を
基督
(
キリスト
)
に献じる
機
(
おり
)
ばかりを
窺
(
うかが
)
っていたのだ。その
中
(
うち
)
に十六歳の秋が来て、フランシスの前に懺悔をしてから、彼女の心は全く肉の世界から逃れ出る事が出来た。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
当然それは思い出されることにちがいないのだが、野村の妻や子供たちとは
相逢
(
あいあ
)
う
機
(
おり
)
もなく過ごしてその美しさを知らぬミネも、閑子の姿の上に現れた器量の悪さだけは大きく心に浮んだ。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
かくては前途のため
善
(
よ
)
からじと思案して、ある日
将来
(
ゆくすえ
)
の事ども相談し、かついろいろと運動する所ありしに、
機
(
おり
)
よくも朝鮮政府の法律顧問なる資格にて、かの地へ渡航するの
便
(
びん
)
を得たるを以て
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
兵二 手を下すべき
機
(
おり
)
もなく、空しく時を移し申した。
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この
機
(
おり
)
に、断乎、龍興を打ってしまうがよい。そして足下と国境の約を定めて、共に長く栄えるの計を立てようではないか。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、
国手
(
せんせい
)
に
大
(
おおい
)
に謝そうと思う処へ、五六人、学生とは覚えない、年配の、堂々たる同僚らしいのが一斉に入ってござったで、
機
(
おり
)
を考えて、それなりに帰ったです。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さあ、どないなっていますことどすか、私はこうしてあの
娘
(
こ
)
に養うてもろうてる身どすさかい、何もかもあの娘がひとりで承知してるのどすよって、あんたはんから、また
機
(
おり
)
を
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
あんたのいるところはやぐら下のまつ川といったな。ま、いずれそのうちには
他
(
よそ
)
ながら栄三郎どのに会う
機
(
おり
)
もあるであろうから、気を大きく持って……お! それから、何よりも身体を
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それで、選に
洩
(
も
)
れた連中と——内心、忠次を
怨
(
うら
)
むかも知れない連中と——そのまま、再会の
機
(
おり
)
も期し難く、別れてしまわねばならぬ事を考えると、忠次はどうしても、気が進まなかった。
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
器量を振ってみたい。それにはいい
機
(
おり
)
だ。又とない機だ。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
機
常用漢字
小4
部首:⽊
16画
“機”を含む語句
機会
機會
昇降機
機械
上機嫌
時機
起重機
機関
機智
動機
制動機
好機
機織
弾機
機構
機能
推進機
御機嫌伺
機関室
飛行機
...