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己
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おら
ふりがな文庫
“
己
(
おら
)” の例文
音「
上
(
かみ
)
の
繁右衞門
(
しげえもん
)
殿
(
どん
)
の宅で二十三回忌の法事があるんで、
己
(
おら
)
ア旦那様も往くんだが、
何
(
ど
)
うか尼さんにもというので
迎
(
むけ
)
えに
参
(
めえ
)
ったのだ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「へへ、何、ねえだよ、気の毒な事はちっともねえだよ。嫁さんが食べる方が、
己
(
おら
)
が自分で食べるより
旨
(
うま
)
いんだからな。」
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いくら訊いても、はつきりしたこたあ云はんし、
昨夜
(
ゆんべ
)
でん、
己
(
おら
)
あ、もう面倒臭うなつたけん、どぎやんでん、よかごつするがよかて、そぎやん云うてやつたたい。
牛山ホテル(五場)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「まご/\してると、
己
(
おら
)
が
家
(
とこ
)
もつん燃されて了ふかも知んねえだ。本当にまア、何うしたら好い事だか」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
どうしたか、
己
(
おら
)
さっぱり行って見もしねえ。これっきり来ねえけれア、なおいいと思っている。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
何、実はこの間死んだ、
己
(
おら
)
の娘が来たんだがの、
葬式
(
とむらい
)
の時、忘れて
千ヶ寺詣
(
せんがじまい
)
りのなりで
千ヶ寺詣
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
覗
(
のぞ
)
き見て
成
(
なる
)
ほど/\辨慶の云通り文めが今日の
身形
(
みなり
)
は何でも只事ではなしと
噂
(
うはさ
)
區々
(
まち/\
)
なるに辨慶は少し
鬱氣
(
ふさぎ
)
し樣子にて
己
(
おら
)
ア
日來
(
ひごろ
)
仲間の事ゆゑ文右衞門とは心安くして
度々
(
たび/\
)
酒も
飮合
(
のみあひ
)
しが
那
(
あ
)
んな
身形
(
みなり
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
オイ兄え(年配の男に)
己
(
おら
)
ア一足先き
帰
(
けへ
)
るよ
都会と田園
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
「
己
(
おら
)
あ知らんが直江津だんべえのう。」
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「
己
(
おら
)
あジャンボーなんか見たかねえよ」
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けど、
己
(
おら
)
の田はいい方なんだっし
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
『
己
(
おら
)
あ軍艦見たい、先生。』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
伴「
手前
(
てめえ
)
は熱い汗をかいたろうが、
己
(
おら
)
ア
冷
(
つめ
)
てえ汗をかいた、幽霊が裏窓から
這入
(
はい
)
って行ったから、萩原様は
取殺
(
とりころ
)
されて仕舞うだろうか」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
どこまで始末に
了
(
お
)
えねえか
数
(
すう
)
が知れねえ。
可
(
い
)
いや、地尻の番太と
手前
(
てめえ
)
とは、
己
(
おら
)
が
芥子坊主
(
けしぼうず
)
の時分から居てつきの厄介者だ。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「だが、
彼奴
(
やつ
)
もつまんねえだろうと思う。三日に挙げず
喧嘩
(
けんか
)
して、毒づかれて、
打撲
(
はりとば
)
されてさ。……
己
(
おら
)
頭から人間並みの
待遇
(
あつかい
)
はしねえんだからね。」と新吉は
空笑
(
そらわら
)
いをした。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
よね そるばツてん、
昨夜
(
ゆうべ
)
あるから、ここで寝てしもうなんのて、お
前
(
まい
)
も、よつぽど、呑気かね。
己
(
おら
)
あ、今朝、眼ん覚めつ時、
側
(
そび
)
あ、お前が寝とるもんだるけん、びつくりしたツばい。
牛山ホテル(五場)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「ほんにさア、今朝行く時、
己
(
おら
)
アでっくわしただアよ、網イ持って行くから、この寒いのに
日振
(
ひぶ
)
りに行くけえ、ご苦労なこっちゃなアッて挨拶しただアよ。わからねえもんただよなア」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「
己
(
おら
)
あ、小鳥を町へ
売
(
うり
)
に行くだ。」
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
食ふも知ず
困
(
こま
)
りしことと咄しければ
荒熊
(
あらくま
)
は聞て
然共々々
(
さうとも/\
)
文右衞門めが
召捕
(
めしとら
)
れなば手前は第一番の引合にて
同類
(
どうるゐ
)
同樣
(
どうやう
)
なりと云ければ辨慶は
勃然
(
むつ
)
として
其樣
(
そんな
)
に馬鹿にするな
己
(
おら
)
に
於
(
おい
)
ちやア憚りながら少しも
後
(
うし
)
ろ
暗
(
くら
)
い事など仕た事アネヘと彼是咄し
會
(
あひ
)
て
乞食
(
こつじき
)
仲間は
些少
(
ちと
)
妬
(
ねた
)
ましき心より種々に氣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
久「
己
(
おら
)
ア
此家
(
こっち
)
の旦那の身寄りだというので、
皆
(
みんな
)
に大きに
可愛
(
かわい
)
がられらア、この
家
(
うち
)
の
身上
(
しんしょう
)
は去年から金持になったから、おらも鼻が高い」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何じゃの、
己
(
おら
)
が嬢様に
念
(
おもい
)
が
懸
(
かか
)
って
煩悩
(
ぼんのう
)
が起きたのじゃの。うんにゃ、
秘
(
かく
)
さっしゃるな、おらが目は赤くッても、白いか黒いかはちゃんと見える。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
己
(
おら
)
ア飛んだ者を背負い込んじゃったい。全体和泉屋も和泉屋じゃねえか。友達がいに、少しは何とか目口の明いた女房を世話しるがいいや。
媒人口
(
なこうどぐち
)
ばかり利きあがって……これじゃ人の足元を
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「孫右衛門どんの
垣
(
かきね
)
の処の阪で、寝反つたまゝ何うしても起きねえだ。
己
(
おら
)
あ何うかして起すべい思つて、孫右衛門さん
許
(
とこ
)
へ頼みに行つただが、
少
(
ちひせ
)
い
娘
(
あま
)
つ
子
(
こ
)
ばかりで、何うする事も
為得
(
しえ
)
ねえだ」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
久「
然
(
そ
)
うよ、
己
(
おら
)
がやったっけ、何か
己
(
おれ
)
え……然うさ
通常
(
たゞ
)
の文をやっても、これ面白くねえから、何か
尽
(
づく
)
し
文
(
もん
)
でやりてえもんだなア」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何
(
なん
)
ぢやの、
己
(
おら
)
が
嬢様
(
ぢやうさま
)
に
念
(
おもひ
)
が
懸
(
かゝ
)
つて
煩悩
(
ぼんなう
)
が
起
(
お
)
きたのぢやの。うんにや、
秘
(
かく
)
さつしやるな、おらが
目
(
め
)
は
赤
(
あか
)
くツても、
白
(
しろ
)
いか
黒
(
くろ
)
いかはちやんと
見
(
み
)
える。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
爺様
(
とつさん
)
、
嘸
(
さ
)
ぞ無念だつたべい。この
仇
(
かたき
)
ア、
己
(
おら
)
ア、
屹度
(
きつと
)
取つて遣るだアから」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
多「圓次どんかえ、
何
(
なん
)
にねえ
己
(
おら
)
ア元村まで往った
帰
(
けえ
)
りだが、己ア青が此処で急に
動
(
いご
)
かなくなって、
打
(
ぶ
)
っても叩いても
後
(
あと
)
いべえ
退
(
さが
)
って困るだ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まだ
少
(
わか
)
かった——
縮緬
(
ちりめん
)
のお羽織で、膳を据えて下すって、(遠慮をしないで
召食
(
めしあが
)
れ、)と優しく言って下すった時にゃ、
己
(
おら
)
あ始めて涙が出たのよ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
せな「アレまア、
汝
(
われ
)
せえ云わなければ知れる
気遣
(
きづけ
)
えねえから云うじゃアねえよと、
己
(
おら
)
を
口止
(
くちどめ
)
して、自分からおッ
饒舌
(
ちゃべ
)
るって、
何
(
なん
)
てえこった」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
なあ姉さん、
己
(
おら
)
が嫁さんだって何だぜ、己が漁に出掛けたあとじゃ、やっぱり、
張
(
はり
)
ものをしてくんねえじゃ己
厭
(
いや
)
だぜ。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
清「手前は受合っても、本人が出て来て訳の解らねえうちは、
己
(
おら
)
ア寝ても
眠
(
ね
)
られねえから、御苦労だが早く行ってくんねえ」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
姉様
(
あねさん
)
、
己
(
おら
)
の号外だよ。今朝、号外に腹が痛んだで、稲葉丸さ号外になまけただが、直きまた号外に治っただよ。」
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
己
(
おれ
)
を突き出すべいとして、夫婦らしくもねえと言うのは、そりゃア
己
(
おら
)
が方でいう言葉だ、
汝
(
われ
)
の方で振付けて居るのじゃないか
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
己
(
おら
)
あ
恐怖
(
おっかな
)
かったのなんのって、お前様
対手
(
むこう
)
が天狗だと
名告
(
なの
)
るから
堪
(
たま
)
るめえじゃねえか、いまだに
震
(
ふるい
)
が留まらねえや。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
己
(
おら
)
がの方が暇になるのだから、何も
商売
(
しょうべい
)
を
止
(
と
)
めるじゃアねえが、仲間入をして帳元並みに売って
貰
(
もれ
)
えてえといったら解ろうに
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
とがたがた胴震、「ね、この通りだ。全体
己
(
おら
)
あ
呼吸
(
いき
)
があるのかよく見てくんねえ。生きていようか、ねえ、おい。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
去年の暮お
前
(
めえ
)
を
手込
(
てごめ
)
にして済まなかった、面目次第もねえ、勘忍してくんねえ、
己
(
おら
)
ア知らねえで旦那のどてっ腹をえぐりに
来
(
き
)
ようと思ったら
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
御奉公のおなごりに、皆さんお酌、と来たから、
難有
(
ありがて
)
え、大日如来、
己
(
おら
)
が車に乗せてやる、いや、
私
(
わっち
)
が、と戦だね。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かぢ「なにか因縁が悪いんだね、今夜は
己
(
おら
)
の家へ泊めてやろう、少し志す仏さまが有るから、お
汁
(
つけ
)
に野菜でお
飯
(
まんま
)
でも喰べな」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
はははは、いくら江戸
前
(
めえ
)
の
肴屋
(
さかなや
)
だって、玄関から怒鳴り込む奴があるかい。お客だぜ。お客様だぜ。おい、お
前
(
めえ
)
の方で惣菜は要らなくっても、
己
(
おら
)
が方で座敷が要るんだ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
早「他のことでもねえが、
此間
(
こねえだ
)
汝
(
われ
)
がに話をしたが、
己
(
おら
)
ア
家
(
うち
)
の客人が病気になって、
娘子
(
あまっこ
)
が一人附いているだ、
好
(
い
)
い
女子
(
おなご
)
よ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
雨霽
(
あまあが
)
りで元気は
可
(
よし
)
、女
小児
(
こども
)
の手前もあって、これ見よがしに腕を
扼
(
さす
)
って——
己
(
おら
)
が一番見届ける、得物なんぞ、何、
手掴
(
てづか
)
みだ、と大手を振って出懸けたのが、山路へかかって、八ツさがりに
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
百「婆さま、お
前
(
めえ
)
はまアえらく孫が
幾人
(
いくたり
)
も有るなア……然うだ、
己
(
おら
)
アもう忘れたが、アんたア云う通りの名前だっけ、あんたア宜く知ってるなア」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
やあ、それだがね……
先刻
(
さっき
)
から気い付けるだか、どうも勝手が違ったぞよ。たしか、そこだっけと勘考します、それ、その隅っこの、こんもり
高
(
だか
)
な
処
(
とこ
)
さ、見さっせいまし、
己
(
おら
)
あ
押魂消
(
おったまげ
)
ただ。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
作「
己
(
おら
)
アもう仕様がねえ、
貴方
(
あんた
)
実はね
私
(
わし
)
も
先刻
(
さっき
)
から見た様な人だと思ってたが、安田一角先生とは気が附かなかったよ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
精霊棚の
瓢箪
(
ひょうたん
)
が、ひとりでにぽたりと落ちても、御先祖の
戒
(
いましめ
)
とは思わねえで、酒も
留
(
や
)
めねえ
己
(
おら
)
だけんど、それにゃ
蔓
(
つる
)
が枯れたちゅう道理がある。風もねえに芋の葉が宙を
歩行
(
ある
)
くわけはねえ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
太「お
前
(
めえ
)
が何も出る訳はあんめえじゃねえか、そんなら是程頼んでも勘弁は出来やせんか、
己
(
おら
)
ア娘は未だ
主
(
ぬし
)
のあるものじゃねえ、
処女
(
きむすめ
)
でごぜいやす」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「巣、巣どころか、
己
(
おら
)
あ樹の枝から
這
(
は
)
いかかった、土蜘蛛を
引掴
(
ひッつか
)
んだ。」
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
喧嘩に往くと今度は助かりゃアしねえぞ、喧嘩に往くのなら
己
(
おら
)
ア見るのが
辛
(
つれ
)
えから、
手前
(
てめえ
)
今度出たら再び生きて
帰
(
けえ
)
るな
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……(鯉跳ねる)わい! 銀の
鱗
(
うろこ
)
だ。ずずんと重い。四貫目あるべい。村長様が、
大囲炉裡
(
おおいろり
)
の自在竹に掛った滝登りより、えッと
大
(
でっけ
)
え。こりゃ
己
(
おら
)
がで食おうより、村会議員の
髯
(
ひげ
)
どのに売るべいわさ。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“己”の意味
《名詞》
おのれ。自分。
つちのと。十干の6番目。
(出典:Wiktionary)
“己”の解説
己(き、つちのと)は、十干の6番目である。
陰陽五行説では土性の陰に割り当てられており、ここから日本では「つちのと」(土の弟)ともいう。
(出典:Wikipedia)
己
常用漢字
小6
部首:⼰
3画
“己”を含む語句
自己
知己
己等
己惚
己達
利己主義
大己貴命
己酉
己丑
己卯
一己
妲己
己巳
己斐
克己心
己亥
塙保己
利己主義者
利己主義男
己未
...