おら)” の例文
音「かみ繁右衞門しげえもん殿どんの宅で二十三回忌の法事があるんで、おらア旦那様も往くんだが、うか尼さんにもというのでむけえにめえったのだ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「へへ、何、ねえだよ、気の毒な事はちっともねえだよ。嫁さんが食べる方が、おらが自分で食べるよりうまいんだからな。」
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いくら訊いても、はつきりしたこたあ云はんし、昨夜ゆんべでん、おらあ、もう面倒臭うなつたけん、どぎやんでん、よかごつするがよかて、そぎやん云うてやつたたい。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「まご/\してると、おらとこもつん燃されて了ふかも知んねえだ。本当にまア、何うしたら好い事だか」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
どうしたか、おらさっぱり行って見もしねえ。これっきり来ねえけれア、なおいいと思っている。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
何、実はこの間死んだ、おらの娘が来たんだがの、葬式とむらいの時、忘れて千ヶ寺詣せんがじまいりのなりで
千ヶ寺詣 (新字新仮名) / 北村四海(著)
のぞき見てなるほど/\辨慶の云通り文めが今日の身形みなりは何でも只事ではなしとうはさ區々まち/\なるに辨慶は少し鬱氣ふさぎし樣子にておら日來ひごろ仲間の事ゆゑ文右衞門とは心安くして度々たび/\酒も飮合のみあひしがんな身形みなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
オイ兄え(年配の男に)おらア一足先きけへるよ
都会と田園 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
おらあ知らんが直江津だんべえのう。」
越後の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おらあジャンボーなんか見たかねえよ」
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けど、おらの田はいい方なんだっし
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
おらあ軍艦見たい、先生。』
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
伴「手前てめえは熱い汗をかいたろうが、おらつめてえ汗をかいた、幽霊が裏窓から這入はいって行ったから、萩原様は取殺とりころされて仕舞うだろうか」
どこまで始末にえねえかすうが知れねえ。いや、地尻の番太と手前てめえとは、おら芥子坊主けしぼうずの時分から居てつきの厄介者だ。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「だが、彼奴やつもつまんねえだろうと思う。三日に挙げず喧嘩けんかして、毒づかれて、打撲はりとばされてさ。……おら頭から人間並みの待遇あつかいはしねえんだからね。」と新吉は空笑そらわらいをした。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
よね そるばツてん、昨夜ゆうべあるから、ここで寝てしもうなんのて、おまいも、よつぽど、呑気かね。おらあ、今朝、眼ん覚めつ時、そびあ、お前が寝とるもんだるけん、びつくりしたツばい。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「ほんにさア、今朝行く時、おらアでっくわしただアよ、網イ持って行くから、この寒いのに日振ひぶりに行くけえ、ご苦労なこっちゃなアッて挨拶しただアよ。わからねえもんただよなア」
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
おらあ、小鳥を町へうりに行くだ。」
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
食ふも知ずこまりしことと咄しければ荒熊あらくまは聞て然共々々さうとも/\文右衞門めが召捕めしとられなば手前は第一番の引合にて同類どうるゐ同樣どうやうなりと云ければ辨慶は勃然むつとして其樣そんなに馬鹿にするなおらおいちやア憚りながら少しもうしくらい事など仕た事アネヘと彼是咄しあひ乞食こつじき仲間は些少ちとねたましき心より種々に氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
久「おら此家こっちの旦那の身寄りだというので、みんなに大きに可愛かわいがられらア、このうち身上しんしょうは去年から金持になったから、おらも鼻が高い」
何じゃの、おらが嬢様におもいかかって煩悩ぼんのうが起きたのじゃの。うんにゃ、かくさっしゃるな、おらが目は赤くッても、白いか黒いかはちゃんと見える。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おらア飛んだ者を背負い込んじゃったい。全体和泉屋も和泉屋じゃねえか。友達がいに、少しは何とか目口の明いた女房を世話しるがいいや。媒人口なこうどぐちばかり利きあがって……これじゃ人の足元を
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「孫右衛門どんのかきねの処の阪で、寝反つたまゝ何うしても起きねえだ。おらあ何うかして起すべい思つて、孫右衛門さんとこへ頼みに行つただが、ちひせあまばかりで、何うする事も為得しえねえだ」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
久「うよ、おらがやったっけ、何かおれえ……然うさ通常たゞの文をやっても、これ面白くねえから、何かづくもんでやりてえもんだなア」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なんぢやの、おら嬢様ぢやうさまおもひかゝつて煩悩ぼんなうきたのぢやの。うんにや、かくさつしやるな、おらがあかくツても、しろいかくろいかはちやんとえる。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
爺様とつさんぞ無念だつたべい。このかたきア、おらア、屹度きつと取つて遣るだアから」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
多「圓次どんかえ、なんにねえおらア元村まで往ったけえりだが、己ア青が此処で急にいごかなくなって、っても叩いてもあといべえ退さがって困るだ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まだわかかった——縮緬ちりめんのお羽織で、膳を据えて下すって、(遠慮をしないで召食めしあがれ、)と優しく言って下すった時にゃ、おらあ始めて涙が出たのよ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
せな「アレまア、われせえ云わなければ知れる気遣きづけえねえから云うじゃアねえよと、おら口止くちどめして、自分からおッ饒舌ちゃべるって、なんてえこった」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なあ姉さん、おらが嫁さんだって何だぜ、己が漁に出掛けたあとじゃ、やっぱり、はりものをしてくんねえじゃ己いやだぜ。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
清「手前は受合っても、本人が出て来て訳の解らねえうちは、おらア寝てもられねえから、御苦労だが早く行ってくんねえ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
姉様あねさんおらの号外だよ。今朝、号外に腹が痛んだで、稲葉丸さ号外になまけただが、直きまた号外に治っただよ。」
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おれを突き出すべいとして、夫婦らしくもねえと言うのは、そりゃアおらが方でいう言葉だ、われの方で振付けて居るのじゃないか
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おら恐怖おっかなかったのなんのって、お前様対手むこうが天狗だと名告なのるからたまるめえじゃねえか、いまだにふるいが留まらねえや。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おらがの方が暇になるのだから、何も商売しょうべいめるじゃアねえが、仲間入をして帳元並みに売ってもれえてえといったら解ろうに
とがたがた胴震、「ね、この通りだ。全体おら呼吸いきがあるのかよく見てくんねえ。生きていようか、ねえ、おい。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
去年の暮おめえ手込てごめにして済まなかった、面目次第もねえ、勘忍してくんねえ、おらア知らねえで旦那のどてっ腹をえぐりにようと思ったら
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
御奉公のおなごりに、皆さんお酌、と来たから、難有ありがてえ、大日如来、おらが車に乗せてやる、いや、わっちが、と戦だね。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かぢ「なにか因縁が悪いんだね、今夜はおらの家へ泊めてやろう、少し志す仏さまが有るから、おつけに野菜でおまんまでも喰べな」
はははは、いくら江戸めえ肴屋さかなやだって、玄関から怒鳴り込む奴があるかい。お客だぜ。お客様だぜ。おい、おめえの方で惣菜は要らなくっても、おらが方で座敷が要るんだ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
早「他のことでもねえが、此間こねえだわれがに話をしたが、おらうちの客人が病気になって、娘子あまっこが一人附いているだ、女子おなごよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
雨霽あまあがりで元気はよし、女小児こどもの手前もあって、これ見よがしに腕をさすって——おらが一番見届ける、得物なんぞ、何、手掴てづかみだ、と大手を振って出懸けたのが、山路へかかって、八ツさがりに
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
百「婆さま、おめえはまアえらく孫が幾人いくたりも有るなア……然うだ、おらアもう忘れたが、アんたア云う通りの名前だっけ、あんたア宜く知ってるなア」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
やあ、それだがね……先刻さっきから気い付けるだか、どうも勝手が違ったぞよ。たしか、そこだっけと勘考します、それ、その隅っこの、こんもりだかとこさ、見さっせいまし、おら押魂消おったまげただ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
作「おらアもう仕様がねえ、貴方あんた実はねわし先刻さっきから見た様な人だと思ってたが、安田一角先生とは気が附かなかったよ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
精霊棚の瓢箪ひょうたんが、ひとりでにぽたりと落ちても、御先祖のいましめとは思わねえで、酒もめねえおらだけんど、それにゃつるが枯れたちゅう道理がある。風もねえに芋の葉が宙を歩行あるくわけはねえ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
太「おめえが何も出る訳はあんめえじゃねえか、そんなら是程頼んでも勘弁は出来やせんか、おらア娘は未だぬしのあるものじゃねえ、処女きむすめでごぜいやす」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「巣、巣どころか、おらあ樹の枝からいかかった、土蜘蛛を引掴ひッつかんだ。」
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
喧嘩に往くと今度は助かりゃアしねえぞ、喧嘩に往くのならおらア見るのがつれえから、手前てめえ今度出たら再び生きてけえるな
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……(鯉跳ねる)わい! 銀のうろこだ。ずずんと重い。四貫目あるべい。村長様が、大囲炉裡おおいろりの自在竹に掛った滝登りより、えッとでっけえ。こりゃおらがで食おうより、村会議員のひげどのに売るべいわさ。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)