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己
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おの
ふりがな文庫
“
己
(
おの
)” の例文
ただ口にいって
而
(
しか
)
して衆人に実行させ、
己
(
おの
)
れもまたこれを実行するという点に於ては先生の右に出ずる者がなかった。
否
(
いな
)
今でもない。
福沢先生の処世主義と我輩の処世主義
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
人は
己
(
おの
)
れの力で食わなければならない。姉さんなんぞはほんとにえらいもんだ。と僕のうちでは陰でほめているのサ。ネー斎藤さん。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
しかしそんなことよりも見も知らぬ人のまえでこんな
工合
(
ぐあい
)
に気やすくうたい出してうたうと
直
(
す
)
ぐにその
謡
(
うた
)
っているものの世界へ
己
(
おの
)
れを
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
〔譯〕
象山
(
しようざん
)
の、
宇宙
(
うちう
)
内
(
ない
)
の事は皆
己
(
おの
)
れ
分内
(
ぶんない
)
の事は、
此
(
こ
)
れ男子
擔當
(
たんたう
)
の志
此
(
かく
)
の如きを謂ふなり。
陳澔
(
ちんかう
)
此を引いて
射義
(
しやぎ
)
を
註
(
ちゆう
)
す、
極
(
きは
)
めて
是
(
ぜ
)
なり。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
あの時分は今とはだいぶ考えも違っていた。
己
(
おの
)
れと同じような思想やら、感情やら持っているものは珍らしくあるまいと信じていた。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
何事にか夢中になって、それで
己
(
おの
)
れの背後に人の来り彳むことを忘れたのではありません。本来、この少年は
聾
(
つんぼ
)
で、そうして
唖
(
おし
)
です。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ただ
己
(
おの
)
れの義務と思うことを為した以上は、勝とうが負けようが、
己
(
おの
)
れの関するところでないとの考えが
充
(
み
)
ちていたように思われる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
第十七条 人に
交
(
まじわ
)
るには信を以てす可し。
己
(
おの
)
れ人を信じて人も亦己れを信ず。
人々
(
にんにん
)
相信じて始めて自他の独立自尊を
実
(
じつ
)
にするを得べし。
修身要領
(新字旧仮名)
/
福沢諭吉
、
慶應義塾
(著)
「木々を伝う鶯が
己
(
おの
)
が羽風によって花を散らしている、その花の散るのを誰か他の者の
所為
(
せい
)
でもあるかのように、しきりに鳴く!」
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
見向きもしないで、山伏は
挫折
(
へしお
)
つた其の
己
(
おの
)
が片脛を
鷲掴
(
わしづか
)
みに、片手で
踵
(
きびす
)
が
穿
(
は
)
いた
板草鞋
(
いたわらじ
)
を
毮
(
むし
)
り
棄
(
す
)
てると、
横銜
(
よこぐわ
)
へに、ばり/\と
齧
(
かじ
)
る……
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
己
(
おの
)
が現世については何の望みも持たなかったけれども、その生活は荘園にすがってさし当り浮浪の徒となる
惧
(
おそ
)
れをまぬがれていた。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
人の哀れを面白げなる
高笑
(
たかわらひ
)
に、是れはとばかり、
早速
(
さそく
)
のいらへもせず、ツと
己
(
おの
)
が部屋に走り歸りて、
終日
(
ひねもす
)
夜
(
よ
)
もすがら泣き明かしぬ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
一五六
己
(
おの
)
が世しらぬ身の、御
赦
(
ゆるし
)
さへなき事は重き
一五七
勘当
(
かんだう
)
なるべければ、今さら悔ゆるばかりなるを、姉君よく憐み給へといふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
しかるに何ぞ
図
(
はか
)
らん、今年の一月、余は漸く六つばかりになりたる
己
(
おの
)
が次女を死なせて、かえって君より慰めらるる身となった。
我が子の死
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
一度単于は李陵を呼んで軍略上の示教を
乞
(
こ
)
うたことがある。それは
東胡
(
とうこ
)
に対しての戦いだったので、陵は快く
己
(
おの
)
が意見を述べた。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
節づけ
拙
(
つたな
)
けれど、人々の真面目に聴きいる様は、世の大方の人が、信ぜぬ
乍
(
なが
)
らも
己
(
おの
)
が
厄運
(
やくうん
)
にかゝはる
卜
(
うらなひ
)
をばいと心こめてきくにも似たり。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
争闘の上を
翔
(
かけ
)
って来るべき勝利を告ぐる高らかな声に、みずからなろうと欲していた。復活した
己
(
おの
)
が民族の叙事詩を歌っていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
殺したなどとは
無法
(
むはふ
)
な
云掛
(
いひかけ
)
然樣の覺えは更になし實に汝ぢは
見下果
(
みさげはて
)
たる奴なり
公儀
(
おかみ
)
の前をも
憚
(
はゞか
)
らず有事
無事
(
ないこと
)
を
饒舌
(
しやべ
)
り立
己
(
おの
)
がことを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
自転車の男が帰ってゆくと、懐中の子を女房へ渡して、鷲尾は裏口から
田圃
(
たんぼ
)
の方へ出た。
己
(
おの
)
れが
忌々
(
いまいま
)
しいような、情ないような気持だった。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「小三治さんは
旨
(
うま
)
くなったネ。今の
己
(
おの
)
が姿を花と見てという所の見をズッと下げて、てエエを高く行く所なぞ箔屋町(小三郎)生き写しだ」
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
電流が
己
(
おの
)
れの方へ直接に働くことなく、己れと直角の方向へ働いて、横に磁針をまげるということは、余程奇妙に感ぜられたものと見える。
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
請負人
(
うけおひにん
)
は払ふべき
手間
(
てま
)
を払ひ、
胡魔化
(
ごまか
)
される丈け胡魔化してカスリを取り、労働者は皆一度に
己
(
おの
)
が村々へ帰ることになつた。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
他人の軽微な苦痛を
己
(
おの
)
が享楽の小杯に盛ろうとする不思議な心理がいかなる善良な人々の心の奥にも潜在することを教えてくれたようである。
重兵衛さんの一家
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
よしよし、ならば
己
(
おの
)
れらが手は借りぬわ。高がこの殿の命一つ、平太夫が太刀ばかりで、見事申し受けようも、瞬く暇じゃ。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ダビデが預言者ナタンによりて自己の罪を指摘せられた時、彼の柔らかなたましいは悔いくずおれて、神の御前に
己
(
おの
)
が罪を言い現わしました。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
男の
烈
(
はげ
)
しい主張と芳子を
己
(
おの
)
が所有とする権利があるような態度とは、時雄にこの疑惑を起さしむるの動機となったのである。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
実際そのとおりで、源三郎のほうとしては、あくまで道場は自分のものの気、祝言も式もないものの萩乃は
己
(
おの
)
が妻の気……。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
親戚の者より同医に
謀
(
はか
)
る所ありしに、
義侠
(
ぎけふ
)
に富める人なりければ直ちに承諾し、
己
(
おの
)
れ
未
(
いま
)
だ
一子
(
いつし
)
だになきを幸ひ、
嫡男
(
ちやくなん
)
として役所に
届出
(
とゞけい
)
でられぬ。
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
何一ツ将来に対して予期する力のなくなった心のほどのいたましさは
己
(
おの
)
が書斎の書棚一ぱいに飾ってある幾多の著作さえ
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
自
(
みずか
)
ら父母を懐うのみならず、父母の
己
(
おの
)
れを懐うこと、さらに
己
(
おの
)
が父母を懐うよりも幾層
殷
(
さかん
)
なるに想着し、「今日の音ずれ何と聞くらん」という。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
己
(
おの
)
が唇を許した二人の男を前に、こうまでも厚顔であり無恥である彼女の態度は、蔑まれるべく十分であった。しかし、私達は明らかに
盲
(
めしい
)
ていた。
空飛ぶ悪魔:――機上から投下された手記――
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
あわれな、おていさいである。パラパラ、
頁
(
ページ
)
をめくっていって、ふと、「
汝
(
なんじ
)
もし
己
(
おの
)
が
心裡
(
しんり
)
に安静を得る
能
(
あた
)
わずば、他処に
之
(
これ
)
を求むるは徒労のみ。」
八十八夜
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そは皆各所の山に分れて、
己
(
おの
)
が持場を守りたれば、常には洞の
辺
(
ほとり
)
にあらずただ
僕
(
やつがれ
)
とかの黒衣のみ、
旦暮
(
あけくれ
)
大王の
傍
(
かたわら
)
に侍りて、
他
(
かれ
)
が機嫌を
取
(
とる
)
ものから。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
永「
此奴
(
こいつ
)
悪い奴じゃアぞ、
己
(
おの
)
れ出家の身の上で賭博を
為
(
す
)
るとは
怪
(
け
)
しからん、えゝ何じゃア
其様
(
そん
)
な穴塞ぎの金を
私
(
わし
)
にを
借
(
かり
)
るとは何ういう心得じゃア」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あゝピストイアよ、ピストイアよ、汝の惡を行ふこと
己
(
おの
)
が祖先の上に出づるに、何ぞ意を決して己を灰し、
趾
(
あと
)
を世に絶つにいたらざる 一〇—一二
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
再
己
(
おの
)
が世が来た、とほくそ笑みをした——が、氏の神祭りにも、語部を
請
(
しょう
)
じて、神語りを語らそうともせられなかった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
まさやけき
言立
(
ことだて
)
か
彼
(
か
)
は、ゆるすべき
邪
(
よこしま
)
か
其
(
そ
)
は、
己
(
おの
)
が子のためとは言はじ、すべて世の子らをあはれと、胸張り裂くる。
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
己
(
おの
)
れは金儲けに出掛けるのではない。人を
訛
(
だま
)
かして金を儲けるなんてもっての外の事を言う。実際ラマの化身でないのに化身だなんて、罪を作り金を
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
己
(
おの
)
が身一つ救えずに、うろうろと乞食するがやっとの
行
(
ぎょう
)
で、それでは、野良犬も修験者も、変りがないといってもよいくらいなものでございましょう
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
六袋和尚は六日先んじて
己
(
おの
)
れの死期を予知した。諸般のことを
調
(
ととの
)
え、
辞世
(
じせい
)
の句もなく、特別の言葉もなく、
恰
(
あたか
)
も前栽へ逍遥に立つ人のように
入寂
(
にゅうじゃく
)
した。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「葦べ行く雁の
翅
(
つばさ
)
を見るごとに」(巻十三・三三四五)、「鴨すらも
己
(
おの
)
が妻どちあさりして」(巻十二・三〇九一)等の例があり、参考とするに足る。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
本心より二心なく敬うを忠といえり、忠は
己
(
おの
)
が心を尽くすの名にして、如才なき本心を、業と共に尽くすことなり。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
心を
留
(
とめ
)
てその力の及ぶだけを
施
(
ほどこ
)
さば、その児またその子を教育するの
己
(
おの
)
が職たるを知り、ついに一家、風を成し、一郷、俗を成すに至らんことを希望す。
教育談
(新字新仮名)
/
箕作秋坪
(著)
娘は意外に思うらしく慌ててそっと手を
出
(
いだ
)
し、一秒間程相手の手を握る。貴夫人の
己
(
おの
)
れと握手する事はあり
得
(
う
)
べからざるように思いおるゆえ驚きしなり。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
少女は伸びあがりて、「御者、
酒手
(
さかて
)
は取らすべし。
疾
(
と
)
く
駆
(
か
)
れ。
一策
(
ひとむち
)
加へよ、今一策。」と叫びて、
右手
(
めて
)
に巨勢が
頸
(
うなじ
)
を
抱
(
いだ
)
き、
己
(
おの
)
れは
項
(
うなじ
)
をそらせて
仰視
(
あおぎみ
)
たり。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
一石にして二鳥、なんにも知らぬ柿丘氏の手を借りて、その人を自滅させると同時に、その美しい呉子夫人を
己
(
おの
)
が手に収めようとした貴方だったのです。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
さらばとて、姫はそれらのものをことごとく中尉の墓所の側室へ納め、
己
(
おの
)
が愛人の死出の旅路の
贐
(
はなむけ
)
とされました。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
それに比べると、陰気な家政婦の方は、まるで日蔭の女である。実際彼女は給仕頭に対しては、
己
(
おの
)
れを低く屈して、まるで彼の召使か何かのように見える。
サレーダイン公爵の罪業
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
「
蝮蛇
(
ふくだ
)
手を
螫
(
さ
)
せば壮士
疾
(
と
)
く
己
(
おの
)
が腕を断つ」それを声を
立
(
たて
)
て云い、彼はふと自分の腕を見まわした。目をつぶると腕を斬る
疼
(
いた
)
みが伝わって来るようであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
己
(
おの
)
が工夫が
拙
(
まず
)
うては、近松門左が心を砕いた前代未聞の狂言も、あたら京童の笑い草にならぬとも限らない。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
“己”の意味
《名詞》
おのれ。自分。
つちのと。十干の6番目。
(出典:Wiktionary)
“己”の解説
己(き、つちのと)は、十干の6番目である。
陰陽五行説では土性の陰に割り当てられており、ここから日本では「つちのと」(土の弟)ともいう。
(出典:Wikipedia)
己
常用漢字
小6
部首:⼰
3画
“己”を含む語句
自己
知己
己等
己惚
己達
利己主義
大己貴命
己酉
己丑
己卯
一己
妲己
己巳
己斐
克己心
己亥
塙保己
利己主義者
利己主義男
己未
...