雑然ごちや/\)” の例文
旧字:雜然
そこには炭俵、漬物桶、又は耕作の道具なぞが雑然ごちや/\置き並べてある。片隅には泥のまゝの『かびた芋』(馬鈴薯)山のやうに。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
彼方あちらの棚には茶椀、皿小鉢、油燈カンテラ等を置き、是方こちらの壁には鎌を懸け、種物の袋を釣るし、片隅に漬物桶、炭俵。台所の道具は耕作の器械と一緒にして雑然ごちや/\置並べてあつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
お節は勝手の草履ざうりを穿いたまゝ其小窓のところへ行つた。無花果いちじくの枝、うるしの葉、裏長屋の屋根などが雑然ごちや/\入組んで見える町裏を通して朝らしい光を帯びた鱗形うろこがたの雲が望まれた。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)