俯伏うつむ)” の例文
兵馬はそんなことを考えると頭が重くなって、経机きょうづくえの上に両手でその重い頭を押えて俯伏うつむいた時、ハラハラと涙がこぼれました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
真実ほんとにこうおもうて来たわ、と言葉をしばしとどめて十兵衛が顔を見るに、俯伏うつむいたままただはい、はいと答うるのみにて
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と晋齋がシンミリとした意見に、お若は我身にあやまりのあることですから、なんとも返答することが出来ません。只ジッと差し俯伏うつむいて思案にくれて居ります。