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俯伏
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うつぶせ
ふりがな文庫
“
俯伏
(
うつぶせ
)” の例文
彼女は、寒むそうに肩をすぼめると、テントの裏側の、暑い砂の上に、身を投げるように、
俯伏
(
うつぶせ
)
になったまま、のびのびと寝た。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
突棒
(
つくぼう
)
刺股
(
さすまた
)
※
(
もじり
)
などを持って
追掛
(
おっか
)
けて来て、折り重り、亥太郎を
俯伏
(
うつぶせ
)
に倒して縄を掛け、
直
(
すぐ
)
に見附へ連れて来て調べると、亥太郎の云うには
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一方、機関助手の土屋良平は、そんな事も知らずに給水作業に取掛る。そして、あの恐ろしい
機構
(
からくり
)
に引掛って路面の上へ
俯伏
(
うつぶせ
)
にぶっ倒れる。
気狂い機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
長押
(
なげし
)
の下の壁の
上塗
(
うわぬり
)
が以前から一ところ落ちていて、ちょうど
俯伏
(
うつぶせ
)
になった人間の顔の恰好をしていたのが、今日はいつもより大きく見える。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
其れが地面へ落ちると其種子の重みに由て其殻片が多くは背面を上にして下を向き
俯伏
(
うつぶせ
)
になつてゐるのは其処に大に意義の存する点が観られる
風に飜へる梧桐の実
(新字旧仮名)
/
牧野富太郎
(著)
▼ もっと見る
いかなる
状
(
さま
)
にや結いにけむ、
手絡
(
てがら
)
の
切
(
きれ
)
も、結んだるあとの
縺
(
もつれ
)
もありながら、黒髪はらりと肩に乱れて、狂える獅子の
鬣
(
たてがみ
)
した、
俯伏
(
うつぶせ
)
なのが起返る。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其の床と並んで敷かれた床の上から半ばはい出して、机に頭をのせて
俯伏
(
うつぶせ
)
に仆れて居る清三の姿が見られました。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
お師匠さんは、私の言葉に、小さな声で左様なら、と、お答えになりましたが、よほど、お
頭
(
つむり
)
が
病
(
や
)
めていましたものか、そのまま、お稽古台の上に、
俯伏
(
うつぶせ
)
になられました
ながうた勧進帳:(稽古屋殺人事件)
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
健三は時々便所へ通う廊下に
俯伏
(
うつぶせ
)
になって倒れている細君を抱き起して床の上まで連れて来た。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
広巳は双子に帯際に
掻
(
か
)
きつかれながら、
俯伏
(
うつぶせ
)
に倒れた紺の腹掛の上に
馬乗
(
うまのり
)
になっていた。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
死んだようになって、
俯伏
(
うつぶせ
)
のままじっとしていたら、どろぼうの足音が、のしのし聞えて、部屋から出て行くらしいので、ほっとしたの。
可笑
(
おか
)
しなどろぼうね。ちゃんと雨戸まで、しめて行ったのね。
春の盗賊
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
俯伏
(
うつぶせ
)
に
干潟
(
ひがた
)
をわぶる貝の葉の
空虚
(
うつろ
)
の我も
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
(地に
俯伏
(
うつぶせ
)
になる。)
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
そしてワーッと集まった野次馬の前で、その
俯伏
(
うつぶせ
)
になっていたのを起してみると、その今いった匕首が、ささっているんだ
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
被害者は菜ッ葉服を着た
毬栗
(
いがぐり
)
頭の大男で、両脚を少し膝を折って大の字に開き、右
掌
(
て
)
を固く握り締め、左掌で地面を掻きむしる様にして、線路と平行に、薄く雪の積った地面の上に
俯伏
(
うつぶせ
)
に倒れていた。
気狂い機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
千代子の
膝
(
ひざ
)
の前に
俯伏
(
うつぶせ
)
になった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ググググッとマダムが
咽喉
(
のど
)
を鳴らすと、グパッと心臓を吐出すような音をたてて、立ち上りかけた卓子に
俯伏
(
うつぶせ
)
になった。
蝱の囁き:――肺病の唄――
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
砂を
潜
(
もぐ
)
って、
俯伏
(
うつぶせ
)
になった体の下から、心臓を突上げられる道理がないですよ……、ところで、あの前後に、あの一番近くを通ったのはあなたじゃないですか——、どうもその
浴衣
(
ゆかた
)
すがたというのは
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
“俯伏”の意味
《名詞》
頭を下げ、うつ向くこと。
笏を手に持ち、腰を折って深く礼をすること。
(出典:Wiktionary)
俯
漢検1級
部首:⼈
10画
伏
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
“俯”で始まる語句
俯向
俯
俯瞰
俯目
俯仰
俯居
俯視
俯臥
俯仰天地
俯向形