)” の例文
次の神樣はタカミムスビの神、次の神樣はカムムスビの神、このかたは皆お獨で御出現になつて、やがて形をお隱しなさいました。
昨日きのふあさ千葉ちばわたしびまして、奧樣おくさまこの四五にちすぐれやう見上みあげられる、うぞあそばしてかと如何いかにも心配しんぱいらしくまをしますので
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
出るくいが打たれて済んで小普請、などと申しまして、小普請入りというのは、つまり非役ひやくになったというほどの意味になります。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
やっと出て来たので番号を告げると、言下に「話中」と断られる。同じようなことを二、三回繰り返して、ようやくのことに通ずる。
硝子を破る者 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「さあ、あたり。さぞ御寒かろ」と云う。軒端のきばを見ると青い煙りが、突き当ってくずれながらに、かすかなあとをまだ板庇いたびさしにからんでいる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ある未亡人びばうじんなどは日本の物事と云へばなにでも愛着して、同じ仲間の婦人と竹刀しなへを執つて撃剣をしたり経を読んだりなんかするさうだ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
御尤ごもつとも至極しごく、であればこそ、松島大明神とく随喜渇仰致すではわせんか——ドウしたのか、花吉、ベラ棒に手間が取れる」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
されば隣りでうたう歌の文句の「夢とおもひて清心せいしんは。」といい「頼むは弥陀のン誓ひ、南無阿弥陀仏々々々々々々。」
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
いやいや、御堂みどう御社みやしろに、参籠さんろう通夜つやのものの、うたたねするは、神のつげのある折じゃと申す。神慮のほどもかしこい。……ねむりを驚かしてはなるまいぞ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ただ一片いっぺん布令だけの事であるから、俗士族は脇差わきざしを一本して頬冠ほほかむりをして颯々さっさつと芝居の矢来やらいやぶっ這入はいる。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
閣下、こう云う事情のもとにある私にとっては、閣下の御保護に依頼するのが、最後の、そうしてまた唯一ゆいいつの活路でございます。どうか私の申上げた事を信じ下さい。
二つの手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
もし久濶きゅうかつじょしたいお思召ぼしめしがあるなら、早速さっそくひきわせしようと思いますが、如何でしょうか。
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
残念ながらふるい。切棄きりすてても思想は皦々きょうきょうたり。白日の下に駒をせて、政治は馬上提灯の覚束おぼつかないあかりにほくほく瘠馬やせうまを歩ませて行くというのが古来の通則である。
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
その祭礼は十一月で、一年に一度神職かんぬしをよんで、神棚かみだな七五三しめ繩を張り、燈明をつけて、祝詞のりとをあげてもらひます。そして親類の者や、近所の人達を呼んで御馳走ごちそうを致します。
蛇いちご (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
折よく辺りに人もいませんかったので、御馬車の中も幾分見えました。すべらかしのおぐし白衿しろえりにおうちかけ、それらがちらと目の前を過ぎました。御陪乗の人はよく見えません。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
御約束の凧こし下され、早くあげて見参らせたく、こよなう嬉敷うれしくぞんじまゐらせ候、此猩々凧しょうじょうだここそ乙女の姿には似ずとも、雲のかよひ路ふら/\としてどこをまひぶみせんとてか
俳句の初歩 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
得心とくしんせずすこしなれども御請納下おうけいれくだされねば申がたしとたつ差出さしいだす故然ば仰に隨はんと受納うけをさめ扨御用のすぢはとたづねしに彦三郎かいにて内々ない/\御聞おきゝたくひとの耳へ入れては宜からずと申に付子供といひあやしながら助十を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「それでは、おうちの一番古い先祖は何と仰有いましたな。」
「お上もあれで、若い時分には、中々なかなかたっしゃだったのだのう。まだ、もう二人いるはずだが、と、そう現われて来られてはたまらぬ。そこで、——もし、正真の御落胤であった場合には、う処置してよいか」
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
一 白金の門戸びらおすひらき見申せや、あらのせだい
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
夫人は「岸までは猶更なほさら遠い。少し待ちなさい、ロダンの馬車に馬を附けさせて送らせませう」と云つて馭者ぎよしやを呼んで命ぜられた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「あら、そう何でも一人できめてしまいになるから悪るいんですわ。昨日きのうもあんなに親切にいろいろ言って下さったじゃありませんか」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかしこれだけの大研究の手伝いをとにかくしたという自信の方は、その後の私の研究生活に無限の力強い支援となっているように思う。
コレ吉兵衛きちべえ談義流の御説諭をおれに聞かせるでもなかろう、御気の毒だが道理と命と二つならべてぶんなげのしち様、昔は密男まおとこ拐帯かどわかしてのけたが
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
わしも篠田と云ふ奴を二三度見たことがありますが、顔色容体全然まるで壮士ぢやワせんか、仮令たとひ山木の娘が物数寄ものずきでも、彼様男あんなものゆかうとは言ひませんよ、よし
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
るがめてのたのしみなりれはのぞみとてなれば生涯しやうがいこの御奉公ごほうこうしてかたさま朝夕あさゆふ御世話おせわさては嬰子やゝさままれたまひての御抱おだなににもあれこゝろ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大きいお坊ッちゃんの御年おとし誕生も聞きました。正味十二と二、三ヶ月、半札は当然あたりまえです。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
上使じやうしを斬りたるとがによつて、改めて今鬼界きかいしま流人るにんとなれば、かみ慈悲の筋も立ち、上使の落度おちどいささかなし。」この英雄的な俊寛は、成経康頼等の乗船をすすめながら
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
わたしはそのころ牛込うしごめ南榎町みなみえのきちやうんでたが、水道町すゐだうちやう丸屋まるやから仕立上したてあがりを持込もちこんで、あつらへの疊紙たゝうむすいたときは、四疊半よでふはんたゞ一間ひとま二階にかい半分はんぶん盛上もりあがつて、女中ぢよちうほそまるくした。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
現在別にわるいところがないのなら、無論近い将来にもさして病難があるとは思われません。現在は唯今ただいまも申上げたように波瀾はらんのあった後むしろ無事で、いくらか沈滞というような形もあります。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
途中巴里パリイから三時間で着くアミアン市に一泊して、博物館のシヤヷンヌの壁画や十三世紀のゴシツク式建築の寺などを見物した。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
二、三年前、やっと懸案の雪の結晶の人工製作が出来たあとで、先生の知友の一人であった気象台のO先生に目にかかったことがあった。
主人や細君や乃至ないしさん、三平づれが吾輩を吾輩相当に評価してくれんのは残念ながら致し方がないとして、不明の結果皮をいで三味線屋に売り飛ばし
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
木沢うじ、あの通りにござる。卒爾そつじに物を申し出したるとが、又過言にも聞えかねぬ申しごと、若い者の無邪気の事でござる。あやまり入った上はゆるし遣わされい。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
御同僚ごどうりよう奧樣おくさまがたのやうにおはなのおちやの、うたのとならてたこともなければ其御話そのおはなしの相手あいて出來できませぬけれど、出來できずは人知ひとしれずならはせてくださつてもむべきはづ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
また言葉の称呼しょうこに、長少の別なく子供までも、上士の者が下士に対して貴様きさまといえば、下士は上士にむかってあなたといい、やれといえばいでなさいといい、足軽が平士ひらざむらいに対し
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
貴下あなたの様に気を廻しなすつちや困まる、山木も篠田には年来の怨恨うらみがありますので、到頭たうとう教会からひ出させたと、いもとの話でわしたが、女敵めがたき退散となつた上は、御心配には及びますまい
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
もっともこのことは既に分っていることであるが、そんなことにはちっともかまいなしにさっさと実験を進めて行くところが面白いのである。
「霜柱の研究」について (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「何でも天璋院てんしょういん様の御祐筆ごゆうひつの妹の御嫁に行ったきのっかさんのおいの娘なんだって」「何ですって?」「あの天璋院様の御祐筆の妹の御嫁にいった……」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
免職めんしょく? さとし免職ってことが有るってネ。もしか免職なんていうんなら、わたしゃきやしない。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
此通このとほ謝罪あやまりますほどに、うぞゆるあそばして、いつものやう打解うちとけたかほせてくだされ、御嫌機ごきげんなほしてくだされとぶるに、さては左樣さうかとすこれて、れならば其樣そのやう
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
十枚目くらいになって、やっと自信のある作品が出来たので、先生の宅へ持って行って御目にかけた。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
段々の御親切有りがとうは御座りまするがわたくし身の上話しは申し上ませぬ、いいや申さぬではござりませぬが申されぬつらさを察し下され、眼上めうえと折りあわねばらしめられたばかりの事
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
御自分ごじぶんくちからてゆけとはおつしやりませぬけれどわたし此樣このやう意久地いくぢなしで太郎たらう可愛かわゆさにかれ、うでも御詞おことば異背いはいせず唯々はい/\小言こごといてりますれば、はり意氣地いきぢもないうたらのやつ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「どこから出たってジャンボーだ」
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
学校から帰ると、よく夕飯前に、奥の暗い六畳の仏壇ので、老人たちのまいりの座につかせられた。燈明とうみょうの光がゆらぐごとに、仏壇の中の仏様の光背こうはいが鈍く金色にゆれた。
簪を挿した蛇 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
ましてや准備よういおろかなる都の客様なんぞ命おしくば御逗留ごとうりゅうなされと朴訥ぼくとつは仁に近き親切。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「顔の色が大変わるかったわ」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
らぬのお八重やへ素振そぶさつせずどく我身わがみ大事だいじにかけるとてゆるほど心配しんぱいさせし和女そなたなさけわすれぬなりりながら如何いかほどくしてくるゝともなるまじきねがひぞとは漸〻やう/\斷念あきらめたりそれにつきてまたべつ父樣と さまはゝさまへの御願おねがひあれどかたなり和女そなたなりになげきを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
腹召されんとて藤四郎の刀を以て、三度まで引給えどかつて切れざりしとよ、ヤイ、合点が行くか、藤四郎ほどの名作が、切れぬ筈も無く、我が君のおくれたまいたるわけも無けれど
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)