トップ
>
帶
>
お
ふりがな文庫
“
帶
(
お
)” の例文
新字:
帯
文化
(
ぶんくわ
)
が
發達
(
はつたつ
)
して
來
(
く
)
れば、
自然
(
しぜん
)
何處
(
どこ
)
か
漠然
(
ばくぜん
)
として
稚氣
(
ちき
)
を
帶
(
お
)
びて
居
(
ゐ
)
るやうな
面白
(
おもしろ
)
い
化物思想
(
ばけものしさう
)
などを
容
(
い
)
れる
餘地
(
よち
)
が
無
(
な
)
くなつて
來
(
く
)
るのである。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
阿蘇
(
あそ
)
の
活動
(
かつどう
)
は
右
(
みぎ
)
の
外
(
ほか
)
、
一般
(
いつぱん
)
に
火山灰
(
かざんばひ
)
を
飛
(
と
)
ばし、これが
酸性
(
さんせい
)
を
帶
(
お
)
びてゐるので、
農作物
(
のうさくぶつ
)
を
害
(
がい
)
し、これを
食
(
しよく
)
する
牛馬
(
ぎゆうば
)
をも
傷
(
いた
)
めることがある。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
春枝夫人
(
はるえふじん
)
は
痛
(
いた
)
く
心配
(
しんぱい
)
して『あまりに
御身
(
おんみ
)
を
輕
(
かろ
)
んじ
玉
(
たま
)
ふな。』と
明眸
(
めいぼう
)
に
露
(
つゆ
)
を
帶
(
お
)
びての
諫言
(
いさめごと
)
、
私
(
わたくし
)
は
實
(
じつ
)
に
殘念
(
ざんねん
)
であつたが
其儘
(
そのまゝ
)
思
(
おも
)
ひ
止
(
とゞま
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
甘酒
(
あまざけ
)
は
時間
(
じかん
)
が
短
(
みじか
)
いのと
麹
(
かうぢ
)
が
少
(
すくな
)
いのとで
熱
(
あつ
)
い
湯
(
ゆ
)
で
造
(
つく
)
り
込
(
こ
)
むのが
例
(
れい
)
である。それだから
忽
(
たちま
)
ちに
甘
(
あま
)
く
成
(
な
)
るけれども
亦
(
また
)
忽
(
たちま
)
ちに
酸味
(
さんみ
)
を
帶
(
お
)
びて
來
(
く
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
其
(
それ
)
が
向
(
むか
)
う
岸
(
ぎし
)
へ
着
(
つ
)
いたと
思
(
おも
)
ふと、
四邊
(
あたり
)
また
濛々
(
もう/\
)
、
空
(
そら
)
の
色
(
いろ
)
が
少
(
すこ
)
し
赤味
(
あかみ
)
を
帶
(
お
)
びて、
殊
(
こと
)
に
黒
(
くろ
)
ずんだ
水面
(
すゐめん
)
に、五六
人
(
にん
)
の
氣勢
(
けはひ
)
がする、
囁
(
さゝや
)
くのが
聞
(
きこ
)
えた。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
若
(
わか
)
き
血潮
(
ちしほ
)
の
漲
(
みな
)
ぎりに、私は
微醺
(
びくん
)
でも
帶
(
お
)
びた時のやうにノンビリした
心地
(
こゝち
)
になツた。友はそんなことは氣が
付
(
つ
)
かぬといふ
風
(
ふう
)
。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
テーヴェロとアルノの間の
粗
(
あら
)
き巖の中にて最後の印をクリストより受け、
二年
(
ふたとせ
)
の間これを己が身に
帶
(
お
)
びき 一〇六—一〇八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
と、お
互
(
たがひ
)
に
微醺
(
びくん
)
を
帶
(
お
)
びて
變
(
へん
)
に
彈
(
はづ
)
み
立
(
た
)
つた
氣分
(
きぶん
)
で
黄包車
(
ワンポイソオ
)
を
驅
(
か
)
り、
再
(
ふたゝ
)
び
四馬路
(
スマロ
)
の
大通
(
おほどほり
)
へ
出
(
で
)
たのはもう
夜
(
よる
)
の一
時
(
じ
)
過
(
す
)
ぎだつた。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
男
(
をとこ
)
は、——いえ、
太刀
(
たち
)
も
帶
(
お
)
びて
居
(
を
)
れば、
弓矢
(
ゆみや
)
も
携
(
たづさ
)
へて
居
(
を
)
りました。
殊
(
こと
)
に
黒
(
くろ
)
い
塗
(
ぬ
)
り
箙
(
えびら
)
へ、二十あまり
征矢
(
そや
)
をさしたのは、
唯今
(
ただいま
)
でもはつきり
覺
(
おぼ
)
えて
居
(
を
)
ります。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
描
(
ゑが
)
かれた
畫
(
ゑ
)
は
無論
(
むろん
)
冒險者
(
アドヹンチユアラー
)
の
字面
(
じめん
)
の
許
(
ゆる
)
す
範圍内
(
はんゐない
)
で、
尤
(
もつと
)
も
強
(
つよ
)
い
色彩
(
しきさい
)
を
帶
(
お
)
びたものであつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
次
(
つ
)
ぎに
澄
(
す
)
み
切
(
き
)
つた
朗
(
ほがら
)
かな
聲
(
こゑ
)
で
鳴
(
な
)
くぶっぽうそう(
佛法僧
(
ぶつぽうそう
)
)はきつゝきの
類
(
るい
)
で、
形
(
かたち
)
は
烏
(
からす
)
に
似
(
に
)
てゐますが、
大
(
おほ
)
きさはその
半分
(
はんぶん
)
もありません。
羽毛
(
うもう
)
は
藍緑色
(
あゐみどりいろ
)
で、
翼
(
つばさ
)
と
尾
(
を
)
とが
菫色
(
すみれいろ
)
を
帶
(
お
)
びてゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
全体
(
ぜんたい
)
に樣々の
沈紋
(
ちんもん
)
有り。他の
土器
(
どき
)
と等しく火に
掛
(
か
)
けたる物にして、色は
黒
(
くろ
)
し。長さの
向
(
む
)
きに
孔
(
あな
)
有りて恰も
軸
(
ぢく
)
を
拔
(
ぬ
)
き取りたる紡錘の如し。思ふに此
孔
(
あな
)
に糸を
貫
(
つらぬ
)
きて身に
帶
(
お
)
ぶるに便にせしならん。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
此處からは小石川牛込一帶の低地を眺めて、なか/\の景色ですが、そんなものは素より眼にも入らず、巨盜
蝙蝠冠兵衞
(
かうもりくわんべゑ
)
の亡靈だけが、三人の胸の中に、次第に現實味を
帶
(
お
)
びて生長して行くのです。
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
語氣
(
ごき
)
が
強
(
つよ
)
く
且
(
か
)
つ
沈痛
(
ちんつう
)
の
響
(
ひゞ
)
きを
帶
(
お
)
びた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
見
(
み
)
れば
紫
(
むらさき
)
日
(
ひ
)
を
帶
(
お
)
びて
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
雪と
輝
(
かゞや
)
く色を
帶
(
お
)
びて
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
温泉
(
いでゆ
)
は、やがて
一浴
(
いちよく
)
した。
純白
(
じゆんぱく
)
な
石
(
いし
)
を
疊
(
たゝ
)
んで、
色紙形
(
しきしがた
)
に
大
(
おほき
)
く
湛
(
たゝ
)
へて、
幽
(
かす
)
かに
青味
(
あをみ
)
を
帶
(
お
)
びたのが、
入
(
はひ
)
ると、
颯
(
さつ
)
と
吹溢
(
ふきこぼ
)
れて
玉
(
たま
)
を
散
(
ち
)
らして
潔
(
いさぎよ
)
い。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
頓
(
やが
)
て
船尾
(
せんび
)
の
方
(
かた
)
へ
來
(
き
)
て
見
(
み
)
ると、
此處
(
こゝ
)
は
人影
(
ひとかげ
)
も
稀
(
まれ
)
で、
既
(
すで
)
に
洗淨
(
せんじよう
)
を
終
(
をは
)
つて、
幾分
(
いくぶん
)
の
水氣
(
すゐき
)
を
帶
(
お
)
びて
居
(
を
)
る
甲板
(
かんぱん
)
の
上
(
うへ
)
には、
月
(
つき
)
の
色
(
ひかり
)
も
一段
(
いちだん
)
と
冴渡
(
さへわた
)
つて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
日
(
ひ
)
のまだ
落
(
お
)
ちない
内
(
うち
)
から
庭
(
には
)
を
覗
(
のぞ
)
いて
居
(
ゐ
)
た
月
(
つき
)
が
白
(
しろ
)
く、
軈
(
やが
)
てそれが
稍
(
やゝ
)
黄色味
(
きいろみ
)
を
帶
(
お
)
びて
來
(
き
)
て
庭
(
には
)
の
茂
(
しげ
)
つた
柿
(
かき
)
の
木
(
き
)
や
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
にほつかりと
陰翳
(
かげ
)
を
投
(
な
)
げた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
暮色
(
ぼしよく
)
を
帶
(
お
)
びた
町
(
まち
)
はづれの
踏切
(
ふみき
)
りと、
小鳥
(
ことり
)
のやうに
聲
(
こえ
)
を
擧
(
あ
)
げた三
人
(
にん
)
の
子供
(
こども
)
たちと、さうしてその
上
(
うへ
)
に
亂落
(
らんらく
)
する
鮮
(
あざやか
)
な
蜜柑
(
みかん
)
の
色
(
いろ
)
と——すべては
汽車
(
きしや
)
の
窓
(
まど
)
の
外
(
そと
)
に、
瞬
(
またた
)
く
暇
(
ひま
)
もなく
通
(
とほ
)
り
過
(
す
)
ぎた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其
(
その
)
聲
(
こゑ
)
は
距離
(
きより
)
が
遠
(
とほ
)
いので、
劇
(
はげ
)
しく
宗助
(
そうすけ
)
の
鼓膜
(
こまく
)
を
打
(
う
)
つ
程
(
ほど
)
、
強
(
つよ
)
くは
響
(
ひゞ
)
かなかつたけれども、たしかに
精一杯
(
せいいつぱい
)
威
(
ゐ
)
を
振
(
ふる
)
つたものであつた。さうして
只
(
たゞ
)
一人
(
いちにん
)
の
咽喉
(
のど
)
から
出
(
で
)
た
個人
(
こじん
)
の
特色
(
とくしよく
)
を
帶
(
お
)
びてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其上
(
そのうへ
)
危險性
(
きけんせい
)
を
帶
(
お
)
びた
大地震
(
だいぢしん
)
に
出會
(
であ
)
ふといふのは、
人
(
ひと
)
の
一生
(
いつしよう
)
の
間
(
あひだ
)
に
於
(
おい
)
て
多
(
おほ
)
くて
一二回
(
いちにかい
)
にしかないはずであるから、われ/\が
出會
(
であ
)
ふ
所
(
ところ
)
の
地震
(
ぢしん
)
の
殆
(
ほと
)
んど
全部
(
ぜんぶ
)
は
大
(
たい
)
したものでないといふことがいへる。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
(第二)
裝飾
(
そうしよく
)
として身に
帶
(
お
)
びしが如きもの。(之を裝飾品と呼ぶ)
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
李
(
すもゝ
)
は
庭
(
には
)
から
背戸
(
せど
)
へ
續
(
つゞ
)
いて、
小
(
ちひ
)
さな
林
(
はやし
)
といつていゝくらゐ。あの、
底
(
そこ
)
に
甘
(
あま
)
みを
帶
(
お
)
びた、
美人
(
びじん
)
の
白
(
しろ
)
い
膚
(
はだ
)
のやうな
花盛
(
はなざか
)
りを
忘
(
わす
)
れない。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
弄
(
いぢ
)
んぢやねえ」
勘次
(
かんじ
)
は
只
(
たゞ
)
恐
(
おそ
)
ろしい
目
(
め
)
をして
叱
(
しか
)
るやうに
抑
(
おさ
)
へる。
勘次
(
かんじ
)
はまだ
肌
(
はだ
)
の
白
(
しろ
)
く
且
(
かつ
)
薄赤味
(
うすあかみ
)
を
帶
(
お
)
びた
人形
(
にんぎやう
)
の
手足
(
てあし
)
のやうな
甘藷
(
さつまいも
)
を
飯
(
めし
)
へ
炊
(
た
)
き
込
(
こ
)
むことがあつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
其爲
(
そのため
)
に
貴君等
(
きくんら
)
兩人
(
りやうにん
)
は
大佐
(
たいさ
)
と
袂別
(
わかれ
)
を
告
(
つ
)
げ、一
大
(
だい
)
使命
(
しめい
)
を
帶
(
お
)
びて
此
(
この
)
空中
(
くうちう
)
を
飛行
(
ひかう
)
して
來
(
き
)
たのではありませんか。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
聞
(
き
)
いてゐると、
經文
(
きやうもん
)
の
樣
(
やう
)
な、
普通
(
ふつう
)
の
言葉
(
ことば
)
の
樣
(
やう
)
な、
一種
(
いつしゆ
)
の
節
(
ふし
)
を
帶
(
お
)
びた
文字
(
もんじ
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ヴェスヴィオの
千九百六年
(
せんくひやくろくねん
)
の
大噴火
(
だいふんか
)
に
於
(
おい
)
て、
非常
(
ひじよう
)
に
強
(
つよ
)
い
電氣
(
でんき
)
を
帶
(
お
)
びた
噴煙
(
ふんえん
)
を
認
(
みと
)
めたこともあり、その
靡
(
なび
)
いた
煙
(
けむり
)
に
近
(
ちか
)
づいた
時
(
とき
)
、
服裝
(
ふくそう
)
につけてゐた
金屬
(
きんぞく
)
の
各尖端
(
かくせんたん
)
から
電光
(
でんこう
)
を
發
(
はつ
)
したことも
經驗
(
けいけん
)
せられてゐる。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
或
(
あるひ
)
は
曰
(
いは
)
く——
禮服
(
れいふく
)
や
一千兩
(
いつせんりやう
)
を
土用干
(
どようぼし
)
——
此
(
こ
)
の
大禮服
(
たいれいふく
)
は
東京
(
とうきやう
)
で
出來
(
でき
)
た。が、
帽
(
ばう
)
を
頂
(
いたゞ
)
き、
劍
(
けん
)
を
帶
(
お
)
び、
手套
(
てぶくろ
)
を
絞
(
しぼ
)
ると、
坐
(
すわ
)
るのが
變
(
へん
)
だ。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
たゝみ
目
(
め
)
が
皺
(
しわ
)
一
(
ひと
)
つづゝ、いやな
黄味
(
きみ
)
を
帶
(
お
)
びて、
消
(
き
)
えかゝる
提灯
(
ちやうちん
)
の
影
(
かげ
)
で、ひく/\と
皆
(
みな
)
搖
(
ゆ
)
れる、
猅々
(
ひゝ
)
に
似
(
に
)
て
化猫
(
ばけねこ
)
である。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
唯
(
たゞ
)
さへ、
思
(
おも
)
ひ
掛
(
が
)
けない
人影
(
ひとかげ
)
であるのに、
又
(
また
)
其
(
そ
)
の
影
(
かげ
)
が、
星
(
ほし
)
のない
外面
(
とのも
)
の、
雨氣
(
あまけ
)
を
帶
(
お
)
びた、
雲
(
くも
)
に
染
(
にじ
)
んで、
屋根
(
やね
)
づたひに
茫
(
ばう
)
と
來
(
き
)
て、
此方
(
こなた
)
を
引包
(
ひきつゝ
)
むやうに
思
(
おも
)
はれる。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
今年
(
ことし
)
は
非常
(
ひじやう
)
な
暑
(
あつ
)
さだつた。また
東京
(
とうきやう
)
らしくない、しめり
氣
(
け
)
を
帶
(
お
)
びた
可厭
(
いや
)
な
蒸暑
(
むしあつ
)
さで、
息苦
(
いきぐる
)
しくして、
寢
(
ね
)
られぬ
晩
(
ばん
)
が
幾夜
(
いくよ
)
も
續
(
つゞ
)
いた。おなじく
其
(
そ
)
の
夜
(
よ
)
も
暑
(
あつ
)
かつた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
が、
折
(
をり
)
から、ざあ/\
降
(
ぶ
)
りに
風
(
かぜ
)
が
吹添
(
ふきそ
)
つて、
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
の
金屏風
(
きんびやうぶ
)
も
青味
(
あをみ
)
を
帶
(
お
)
びて、
少々
(
せう/\
)
涼
(
すゞ
)
しく
成
(
な
)
り
過
(
す
)
ぎた。
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
月
(
つき
)
が
晃々
(
きら/\
)
と
窓
(
まど
)
を
射
(
い
)
たので、
戞然
(
からり
)
と
玉
(
たま
)
の
函
(
はこ
)
を
開
(
ひら
)
いたやうに、
山々
(
やま/\
)
谷々
(
たに/″\
)
の
錦葉
(
もみぢ
)
の
錦
(
にしき
)
は、
照々
(
てら/\
)
と
輝
(
かゞやき
)
を
帶
(
お
)
びて
颯
(
さつ
)
と
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
又
(
また
)
卷絹
(
まきぎぬ
)
を
解擴
(
ときひろ
)
げた。が、
末
(
すゑ
)
は
仄々
(
ほの/″\
)
と
薄
(
うす
)
く
成
(
な
)
り
行
(
ゆ
)
く。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
時
(
とき
)
、
横町
(
よこちやう
)
を
縱
(
たて
)
に
見通
(
みとほ
)
しの
眞空
(
まぞら
)
へ
更
(
さら
)
に
黒煙
(
こくえん
)
が
舞起
(
まひおこ
)
つて、
北東
(
ほくとう
)
の
一天
(
いつてん
)
が
一寸
(
いつすん
)
を
餘
(
あま
)
さず
眞暗
(
まつくら
)
に
代
(
かは
)
ると、
忽
(
たちま
)
ち、どゞどゞどゞどゞどゞと
言
(
い
)
ふ、
陰々
(
いん/\
)
たる
律
(
りつ
)
を
帶
(
お
)
びた
重
(
おも
)
く
凄
(
すご
)
い
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
分
(
わ
)
けて
底
(
そこ
)
澄
(
ず
)
んで
少
(
すこ
)
し
白味
(
しろみ
)
を
帶
(
お
)
びて、とろ/\と
然
(
しか
)
も
岸
(
きし
)
とすれ/″\に
滿々
(
まん/\
)
と
湛
(
たゝ
)
へた
古沼
(
ふるぬま
)
ですもの。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
室内
(
しつない
)
一面
(
いちめん
)
濛々
(
もう/\
)
とした
上
(
うへ
)
へ、あくどい
黄味
(
きみ
)
を
帶
(
お
)
びたのが、
生暖
(
なまぬる
)
い
瀬
(
せ
)
を
造
(
つく
)
つて、むく/\
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
くやうに、……
獅噛面
(
しかみづら
)
で
切齒
(
くひしば
)
つた
窓々
(
まど/\
)
の、
隙間
(
すきま
)
と
云
(
い
)
ふ
隙間
(
すきま
)
、
天井
(
てんじやう
)
、
廂合
(
ひあはひ
)
から
流込
(
ながれこ
)
む。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此
(
こ
)
の
坂
(
さか
)
の
上
(
うへ
)
から、
遙
(
はるか
)
に
小石川
(
こいしかは
)
の
高臺
(
たかだい
)
の
傳通院
(
でんづうゐん
)
あたりから、
金剛寺坂上
(
こんがうじざかうへ
)
、
目白
(
めじろ
)
へ
掛
(
か
)
けてまだ
餘
(
あま
)
り
手
(
て
)
の
入
(
はひ
)
らない
樹木
(
じゆもく
)
の
鬱然
(
うつぜん
)
とした
底
(
そこ
)
に
江戸川
(
えどがは
)
の
水氣
(
すゐき
)
を
帶
(
お
)
びて
薄
(
うす
)
く
粧
(
よそほ
)
つたのが
眺
(
なが
)
められる。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
前
(
まへ
)
なる
縁
(
えん
)
の
障子
(
しやうじ
)
に
掛
(
か
)
けた、十
燭
(
しよく
)
と
云
(
い
)
ふ
電燈
(
でんとう
)
の
明
(
あかり
)
の
屆
(
とゞ
)
かない、
昔
(
むかし
)
の
行燈
(
あんどん
)
だと
裏通
(
うらどほ
)
りに
當
(
あた
)
る、
背中
(
せなか
)
のあたり
暗
(
くら
)
い
所
(
ところ
)
で、
蚊
(
か
)
がブーンと
鳴
(
な
)
く……
其
(
そ
)
の、
陰氣
(
いんき
)
に、
沈
(
しづ
)
んで、
殺氣
(
さつき
)
を
帶
(
お
)
びた
樣子
(
やうす
)
は
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
中
(
なか
)
に、
紅絹
(
もみ
)
の
切
(
きれ
)
に、
白
(
しろ
)
い
顏
(
かほ
)
の
目
(
め
)
ばかり
出
(
だ
)
して
褄折笠
(
つまをりがさ
)
の
姿
(
すがた
)
がある。
紅茸
(
べにたけ
)
らしい。あの
露
(
つゆ
)
を
帶
(
お
)
びた
色
(
いろ
)
は、
幽
(
かすか
)
に
光
(
ひかり
)
をさへ
放
(
はな
)
つて、たとへば、
妖女
(
えうぢよ
)
の
艷
(
えん
)
がある。
庭
(
には
)
に
植
(
う
)
ゑたいくらゐに
思
(
おも
)
ふ。
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
雲
(
くも
)
は
所々
(
ところ/″\
)
墨
(
すみ
)
が
染
(
にじ
)
んだ、
日
(
ひ
)
の
照
(
てり
)
は
又
(
また
)
赫
(
かつ
)
と
強
(
つよ
)
い。が、
何
(
なん
)
となく
濕
(
しめり
)
を
帶
(
お
)
びて
重
(
おも
)
かつた。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
應
(
おう
)
」は
普通
(
ふつう
)
の
乞食
(
こつじき
)
と
齊
(
ひと
)
しく、
見
(
み
)
る
影
(
かげ
)
もなき
貧民
(
ひんみん
)
なり。
頭髮
(
とうはつ
)
は
婦人
(
をんな
)
のごとく
長
(
なが
)
く
伸
(
の
)
びたるを
結
(
むす
)
ばず、
肩
(
かた
)
より
垂
(
た
)
れて
踵
(
かゝと
)
に
到
(
いた
)
る。
跣足
(
せんそく
)
にて
行歩
(
かうほ
)
甚
(
はなは
)
だ
健
(
けん
)
なり。
容顏
(
ようがん
)
隱險
(
いんけん
)
の
氣
(
き
)
を
帶
(
お
)
び、
耳
(
みゝ
)
敏
(
さと
)
く、
氣
(
き
)
鋭
(
するど
)
し。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
碧水金砂
(
へきすゐきんさ
)
、
晝
(
ひる
)
の
趣
(
おもむき
)
とは
違
(
ちが
)
つて、
靈山
(
りやうぜん
)
ヶ
崎
(
さき
)
の
突端
(
とつぱな
)
と
小坪
(
こつぼ
)
の
濱
(
はま
)
でおしまはした
遠淺
(
とほあさ
)
は、
暗黒
(
あんこく
)
の
色
(
いろ
)
を
帶
(
お
)
び、
伊豆
(
いづ
)
の
七島
(
しちたう
)
も
見
(
み
)
ゆるといふ
蒼海原
(
あをうなばら
)
は、さゝ
濁
(
にごり
)
に
濁
(
にご
)
つて、
果
(
はて
)
なくおつかぶさつたやうに
堆
(
うづだか
)
い
水面
(
すゐめん
)
は
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
渠
(
かれ
)
は
良
(
やゝ
)
怒
(
いかり
)
を
帶
(
お
)
びて
聲高
(
こわだか
)
になりぬ。
旅僧
(
たびそう
)
は
少
(
すこ
)
しも
騷
(
さわ
)
がず
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
沼
(
ぬま
)
の
色
(
いろ
)
は、やゝ
蒼味
(
あをみ
)
を
帶
(
お
)
びた。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“帶(
帯
)”の解説
帯(おび、帶)とは、着物の上から腰の上に巻いて結ぶことで着物を体に固定させる幅広で紐状の装身具。道具を装用する機能も持つ。
(出典:Wikipedia)
帶
部首:⼱
11画
“帶”を含む語句
帶刀
貧乏世帶
繃帶
世帶
下帶
熱帶地方
丸帶
帶劍
本帶
扱帶
兵兒帶
苗字帶刀
所帶
一帶
晝夜帶
世帶染
兼帶
帶廣
所帶持
帶揚
...