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眞空
風の
一息死ぬ、
眞空の
一瞬時には、
町も、
屋根も、
軒下の
流も、
其の
屋根を
壓して
果しなく
十重二十重に
高く
聳ち、
遙に
連る
雪の
山脈も、
旅籠の
炬燵も、
釜も、
釜の
下なる
火も、
果は
虎杖の
家
その
時、
横町を
縱に
見通しの
眞空へ
更に
黒煙が
舞起つて、
北東の
一天が
一寸を
餘さず
眞暗に
代ると、
忽ち、どゞどゞどゞどゞどゞと
言ふ、
陰々たる
律を
帶びた
重く
凄い