“鬱然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うつぜん90.5%
こんもり9.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
百合ゆり山査子さんざしの匂いとだけ判って、あとは私の嗅覚きゅうかくに慣れない、何の花とも判らない強い薬性の匂いが入れ混って鬱然うつぜん刺戟しげきする。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しかるにわが東京においてはもし鬱然うつぜんたる樹木なくんばかの壮麗なる芝山内しばさんない霊廟れいびょうとても完全にその美とその威儀とを保つ事は出来まい。
もっと葉のやわらかなような、色の緑色のほうきを立てたように鬱然こんもりとした、而して日の弱い光りを浴びてろうのような、りんの燃えるような、或時は尼が立っているとも見え、或時は
日没の幻影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
若葉の鬱然こんもりとしたやしろの森には赤、白の小旗が幾つともなく風にひるがえって、海と色が通う空には大旗が風に鳴って、町の家々の軒には角燈籠が懸られ、太鼓の音と笛の音が聞えた。
蝋人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)