“生暖”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
なまぬる31.6%
なまあたたか28.9%
なまあたた13.2%
なまあたゝか7.9%
なまあたゝ5.3%
なまあた2.6%
なまあたたこ2.6%
なまあったか2.6%
なまあつた2.6%
なまあつたか2.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして、その病室全体が、急に生暖なまぬるく歪んで来ると、ほろりと熱い泪が、目のふちの繃帯に吸い込まれて、あたりがパッと暗くなった。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
ところが三月の二十何日か、生暖なまあたたかい曇天の午後のことである。保吉はその日も勤め先から四時二十分着の上り列車に乗った。
お時儀 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
たがいに何だか訳の分らない気持がしているところへ、今日は少し生暖なまあたたかい海の夕風が東から吹いて来ました。が、吉はたちまち強がって
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
まろの頭にぼんやり残って居るものは、生暖なまあたゝかいふところに垂れて居た乳房の舌ざわりと、甘ったるい乳のかおりばかりだ。
二人の稚児 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
今こゝへ来てたゝずんでみると、矢張土間にはかまどの湯がたぎらしてあって、生暖なまあたゝかい空気の中に、あの忘れられない異臭が匂っているのである。
二月二十八日には生暖なまあたたかい風が朝から吹いた。その風が土の上を渡る時、地面は一度にれ尽くした。
三山居士 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
顛倒てんどうして慌てるほど、身体からだのおしに重みがかかる、とその度に、ぐ、ぐ、と泣いて、口から垂々だらだらと血を吐くのが、咽喉のどかかり、胸を染め、乳の下をさっと流れて、仁右衛門のあしのうら生暖なまあたたこう垂れかかる。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かしらの二日は大粒の雨が、ちょうど夜店の出盛る頃に、ぱらぱら生暖なまあったかい風に吹きつけたために——その癖すぐに晴れたけれども——丸潰まるつぶれとなった。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「到頭來やがつた。イヤに生暖なまあつたけえから、今日あたりはお前の大變が來るだらうと思つて居たよ」
額へ汗がぢりぢりと湧いて来て、それが玉になつたかと思ふと、つうつと生暖なまあつたかく、眼の方へ流れて来る。生憎、細引でしばられてゐるから、手を出して拭ふ訳には、勿論行かない。
酒虫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)