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生暖
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なまぬる
ふりがな文庫
“
生暖
(
なまぬる
)” の例文
そして、その病室全体が、急に
生暖
(
なまぬる
)
く歪んで来ると、ほろりと熱い泪が、目の
縁
(
ふち
)
の繃帯に吸い込まれて、あたりがパッと暗くなった。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
そこから暗く
生暖
(
なまぬる
)
い、まるで何かの胎内ででもあるかのような——それでいて、妙に
赭
(
あか
)
みを帯びた闇が始まっていた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
霜月
(
しもつき
)
の
末頃
(
すゑごろ
)
である。
一晩
(
ひとばん
)
、
陽氣違
(
やうきちが
)
ひの
生暖
(
なまぬる
)
い
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いて、むつと
雲
(
くも
)
が
蒸
(
む
)
して、
火鉢
(
ひばち
)
の
傍
(
そば
)
だと
半纏
(
はんてん
)
は
脱
(
ぬ
)
ぎたいまでに、
惡汗
(
わるあせ
)
が
浸
(
にじ
)
むやうな、
其
(
その
)
暮方
(
くれがた
)
だつた。
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
おまけに、竃の上に
釜
(
かま
)
が
懸
(
か
)
けてあって、湯が
沸
(
たぎ
)
らしてあるせいか、妙にその臭いが
生暖
(
なまぬる
)
くたゞよって来る。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何の抑揚もなく、丁度
生暖
(
なまぬる
)
い葛湯を飲む様に只妙にネバネバする声と言葉で、三度も四度も繰かえされてはどんな辛棒の良いものでもその人が無神経でない限り腹を立てるに違いない。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
もはやそんな
生暖
(
なまぬる
)
い想像は
覆
(
くつが
)
えされるべきことであろう。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
生暖
(
なまぬる
)
い、
風
(
かぜ
)
に
當
(
あた
)
つて、
目
(
め
)
が、ぐら/\としましたつけ……
産所
(
さんじよ
)
へ
倒
(
たふ
)
れて
了
(
しま
)
ひました。
嬰兒
(
あかんぼ
)
は
死
(
し
)
んで
生
(
うま
)
れたんです。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
待
(
ま
)
て、よくは
分
(
わか
)
らぬ、
其処等
(
そこら
)
と
言
(
い
)
ふか、
祠
(
ほこら
)
と
言
(
い
)
ふか、
声
(
こゑ
)
を
伝
(
つた
)
へる
生暖
(
なまぬる
)
い
夜風
(
よかぜ
)
もサテぼやけたが、……
帰
(
かへ
)
り
路
(
みち
)
なれば
引返
(
ひきかへ
)
して、うか/\と
漫歩行
(
そゞろある
)
きの
踵
(
きびす
)
を
返
(
かへ
)
す。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
生暖
(
なまぬる
)
い、
腥
(
なまぐさ
)
い、いやに
冷
(
つめた
)
く、かび臭い風が、
颯
(
さっ
)
と渡ると、
箕
(
み
)
で
溢
(
こぼ
)
すやうに
月前
(
げつぜん
)
に
灰汁
(
あく
)
が
掛
(
かか
)
つた。
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
にも
落
(
お
)
ちないで、ふわりと
便
(
たより
)
のない
処
(
ところ
)
に、
土器色
(
かはらけいろ
)
して、
畷
(
なはて
)
も
畝
(
あぜ
)
も
茫
(
ばう
)
と
明
(
あかる
)
いのに、
粘
(
ねば
)
つた、
生暖
(
なまぬる
)
い
小糠雨
(
こぬかあめ
)
が、
月
(
つき
)
の
上
(
うへ
)
からともなく、
下
(
した
)
からともなく、しつとりと
来
(
き
)
て
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
室内
(
しつない
)
一面
(
いちめん
)
濛々
(
もう/\
)
とした
上
(
うへ
)
へ、あくどい
黄味
(
きみ
)
を
帶
(
お
)
びたのが、
生暖
(
なまぬる
)
い
瀬
(
せ
)
を
造
(
つく
)
つて、むく/\
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
くやうに、……
獅噛面
(
しかみづら
)
で
切齒
(
くひしば
)
つた
窓々
(
まど/\
)
の、
隙間
(
すきま
)
と
云
(
い
)
ふ
隙間
(
すきま
)
、
天井
(
てんじやう
)
、
廂合
(
ひあはひ
)
から
流込
(
ながれこ
)
む。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
肩と
鳩尾
(
みずおち
)
に手を懸けて
後抱
(
うろろだき
)
に引起す、腕を伝うて
生暖
(
なまぬる
)
きもの、たらたらたら。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
室内に籠りたる
生暖
(
なまぬる
)
き風むんむと
面
(
おもて
)
を
撲
(
う
)
ちて
不快
(
こころわる
)
きこといわん方無し。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さつと
音
(
おと
)
して、
柳
(
やなぎ
)
の
地摺
(
ぢず
)
りに
枝垂
(
しだ
)
れた
葉
(
は
)
が、
裾
(
すそ
)
から
渦
(
うづ
)
を
卷
(
ま
)
いて
黒
(
くろ
)
み
渡
(
わた
)
つて、
搖
(
ゆ
)
れると
思
(
おも
)
ふと、
湯氣
(
ゆげ
)
に
蒸
(
む
)
したやうな
生暖
(
なまぬる
)
い
風
(
かぜ
)
が
流
(
なが
)
れるやうに、ぬら/\と
吹掛
(
ふきかゝ
)
つて、
哄
(
どつ
)
と
草
(
くさ
)
も
樹
(
き
)
も
煽
(
あふ
)
つて
鳴
(
な
)
つたが、
裾
(
すそ
)
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
暖
常用漢字
小6
部首:⽇
13画
“生”で始まる語句
生
生命
生憎
生活
生涯
生々
生垣
生物
生温
生死