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圧
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お
ふりがな文庫
“
圧
(
お
)” の例文
旧字:
壓
先生の臨終の席に
御別
(
おわか
)
れして、激しい心の動揺に
圧
(
お
)
されながらも、私はやむをえぬ事情のために、その晩の夜行で帰家の途に就いた。
指導者としての寺田先生
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
そうして、人馬の悲鳴が高く一声発せられると、河原の上では、
圧
(
お
)
し
重
(
かさ
)
なった人と馬と板片との
塊
(
かたま
)
りが、沈黙したまま動かなかった。
蠅
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「真面目であれと云われる。それだのにほんとの真面目さは
圧
(
お
)
し殺され、自信をもって進めと云われつつ、引き戻されるのはなぜか」
地は饒なり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
と、息切れのする
瞼
(
まぶた
)
が
颯
(
さっ
)
と、気を込めた手に力が入つて、鸚鵡の胸を
圧
(
お
)
したと思ふ、
嘴
(
くちばし
)
を
踠
(
もが
)
いて
開
(
あ
)
けて、カツキと
噛
(
か
)
んだ小指の
一節
(
ひとふし
)
。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして
圧
(
お
)
し潰されたような厭な気分で、飯を食いに出るほかは、狭い
檻
(
おり
)
のような自分の書斎のなかに、黙って閉じ籠ってばかりいた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
ひとつの整った剣のすがたを
作
(
な
)
していて、ただ力とか、精神とかいうだけのもので
圧
(
お
)
して行っても、決して破り得ないものがあった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一、二頁見ているうちに急に全身が熱くなって来た。
蒸風呂
(
むしぶろ
)
にでもはいったようで室内の空気がたまらなく
圧
(
お
)
しつけるように思われた。
病中記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
兄は壁の方へ傾いて逞しい腕で胸を
圧
(
お
)
しつけて眠っていた。とも子は一時間許り読書し、それから掻巻だけで机へつっ伏して寝た。
歩む
(新字新仮名)
/
戸田豊子
(著)
昼から陰っていた大空は高い
銀杏
(
いちょう
)
のこずえに真っ黒に
圧
(
お
)
しかかって、稲荷の
祠
(
ほこら
)
の灯が眠ったように薄黄色く光っているのも寂しかった。
半七捕物帳:18 槍突き
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
とうなり出したのを、主膳はその頭の上から
蒲団
(
ふとん
)
を被せて抑えましたから、幸内のうなる声は
圧
(
お
)
し殺されたように絶えてしまいました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「や!」ときよろ/\して、「氣が變になるんじやないか。しつかりしろ、何でも
圧
(
お
)
し
潰
(
つぶ
)
せ!此様なことでへたばつて耐るか。こら。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
背中が
揉
(
も
)
みほぐされると同時に、酔いが背に廻って来る。やはりくすぐったい。が、昨夜ほどではない。
圧
(
お
)
し方が素直なのだろう。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
寛斎が廊下に出てはながめるのを楽しみにする
椎
(
しい
)
の枝なぞは、夜から降り積もる雪に
圧
(
お
)
されて、今にも折れそうなくらいに見える。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
コキン、コガ、スマシ、
圧
(
お
)
し棒、枕……こんな風に変な名前がいくらでもあった。枕といっても、勿論、寝る時に使うそれではなかった。
まかないの棒
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
私はハッとしたが、
咄嗟
(
とっさ
)
に思いついて、患部を動かさないためと見せかけながら、彼の
上膊
(
じょうはく
)
の尺骨神経の個所を、指で
圧
(
お
)
さえた。
指
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それも以前から見ると、余程大きなのを用ゐてゐるらしく、煌々たる光りが三方の硝子戸を
透
(
すか
)
してあたりの闇を
圧
(
お
)
しのけてゐる。
西瓜喰ふ人
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
それが
圧
(
お
)
しつぶされてしまうのは自然でもあり、必然でもあるので、それを今更ら悲しんだり同情したりするのはもう遅過ぎるのである。
犠牲者
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
そのどっしりした重さが——私には払い落す力のない悪魔の化身が——いつもいつも私の心臓の上に
圧
(
お
)
しかかっているのだった!
黒猫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
「まだ、かんかん
遣
(
や
)
ってる。——おい僕の腕は太いだろう」と圭さんは突然腕まくりをして、黒い
奴
(
やつ
)
を碌さんの前に
圧
(
お
)
しつけた。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「怪しいと思うのは、あの梟の眼だ。あれは押し
釦
(
ぼたん
)
になっているに違いない。君を傍へ連れてゆくから、ちょっと
圧
(
お
)
してみてくれないか」
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いくらおしげが虫が好かないひとだと思つてゐても、かうやつてゐると年上ではあるし、評判の美しさに
圧
(
お
)
されるのであつた。
一の酉
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
香は天つ風の烈しく吹くにも
圧
(
お
)
されず、色は白璧を削りたればとてかくはあらじと思はるゝまで潔きが中に猶
温
(
あたゝ
)
かげなるおもむきさへあり。
花のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
蝙蝠
(
こうもり
)
のように
黝
(
くろ
)
ずんだ或る影が過ぎ去った。——笏も、その妻も、きゅうに
圧
(
お
)
し黙って、哀れな己れの子供とその言葉を裏返しして眺めた。
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
濃厚に
嵩
(
かさ
)
を持って、
延板
(
のべいた
)
のように平たく澄んでいる、大岳の影が万斤の重さで
圧
(
お
)
す、あまり
静
(
しずか
)
で、
心臓
(
ハート
)
形の桔梗の大弁を、
象嵌
(
ぞうがん
)
したようだ
梓川の上流
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
私はその瞳の力に
圧
(
お
)
されて、余儀なく
項垂
(
うなだ
)
れさせられた……又も何となく自分の事ではないような……妙なヤヤコシイ話ばかり聞かされて
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
この土民とは農民で、もとの天下の公民として、家人・奴婢の上に立っておったものが、久しく下方に
圧
(
お
)
さえつけられていたのであります。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
和尚の声は
曳臼
(
ひきうす
)
のやうに上から落ちかゝつた。その下に
圧
(
お
)
し潰されたお
伽譚
(
とぎばなし
)
の
猿公
(
えてきち
)
のやうに、伝兵衛は畳に顔をすりつけて眼を白黒させた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
木は
圧
(
お
)
し
潰
(
つぶ
)
され、
埋
(
う
)
められ、まもなくまた水が
被
(
かぶ
)
さって
粘土
(
ねんど
)
がその上につもり、全くまっくらな処に埋められたのでしょう。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
一
群
(
むれ
)
の人がぴったり
迫
(
せ
)
ぎ合って入日の方に向いて行くのが、暗い形に見えるのだ。多くは自分の
輪廓
(
りんかく
)
に
圧
(
お
)
されているように背中を曲げている。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
この春ごろから狂言の立て方が時好と妙にちぐはぐになって、ともすれば、軒並のほかの小屋から
圧
(
お
)
され勝ちに見えて来た。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
け
圧
(
お
)
されて、立てた膝をばたりとおとした。それが彼らの崩れであった。次の膝をひくためには、刀にかけた手を外さねばならぬのであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
依て六七貫目以上の重量に
至
(
いたっ
)
ては、強て耐忍する時は両肩は其重さにより
圧
(
お
)
されて、其
疼
(
いた
)
みに
耐
(
たゆ
)
る事能わざるを以て、其重さに困る事を知るも
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
そして、また苦しい金策をしなければならないのだなと思ふと何んとも云へない嫌やな気持に
圧
(
お
)
し伏せられるのだつた。
惑ひ
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
屋外には
峻酷
(
しゅんこく
)
な冬が、日ごと夜ごと暴れ狂っていた。世界はすべて、いやが上にも降り積もる深雪の下に
圧
(
お
)
しつぶされて死んだようになっていた。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
圧
(
お
)
しつけることがあると同時に、また傍観者はしばしば山が
彼
(
か
)
れ自らの気分と調和してくれるのを経験することがある
涸沢の岩小屋のある夜のこと
(新字新仮名)
/
大島亮吉
(著)
気丈なその女は、すぐに何か直感したが、それが生命の問題であると知ると、自分で自分の心を
圧
(
お
)
し沈めて、今夢から覚めた風をして身動きをした。
ある遊郭での出来事:公娼存廃論者への参考資料としての実例
(新字新仮名)
/
若杉鳥子
(著)
信濃町
(
しなのまち
)
で同乗した、今一度ぜひ逢いたい、見たいと願っていた美しい令嬢が、中折れ帽や角帽やインバネスにほとんど
圧
(
お
)
しつけられるようになって
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
が、そのうち私はとうとう睡たさに
圧
(
お
)
しつぶされて、茶の間に仮りに敷いてある
蒲団
(
ふとん
)
に碁石なんぞを手にしたまま、うつ伏してしまうのが常だった。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
それへ蓋をして軽い
圧
(
お
)
しをして二時間ほど置くと中の物がよく
馴染
(
なじ
)
み合いますからそれを二寸角位に切って出します。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
床がひどく傾いていて、
圧
(
お
)
しつぶされたようにゆがんだ
扉
(
ドア
)
の隙から、はげしい風がびゅうびゅうと吹きこんでいた。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
近く見れば見るほど、貴公子らしい凜々しい面影が、美奈子の小さい胸を
圧
(
お
)
し付けるように、迫って来るのだった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
太上老君
(
たいじょうろうくん
)
の
八卦炉
(
はっけろ
)
中に焼殺されかかったときも、銀角大王の
泰山
(
たいざん
)
圧頂の法に
遭
(
お
)
うて、泰山・
須弥山
(
しゅみせん
)
・
峨眉山
(
がびさん
)
の三山の下に
圧
(
お
)
し
潰
(
つぶ
)
されそうになったときも
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
が、どこから取りついていいのか手がかりのつかない良三郎と、しかも村を離れて福島の町に住むのかと思うと、何とも言えない憂鬱に
圧
(
お
)
しつけられた。
和紙
(新字新仮名)
/
東野辺薫
(著)
暗々たる穴の底から冷気が吹きあげる。水は音なく流れて、地下十八尺の深さを、
遥
(
はるか
)
の大都会へ休むなく
奔
(
はし
)
りつつ
圧
(
お
)
しつつある。しんしんとしたその
奔入
(
ほんにゅう
)
。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
そこに立ち止り身を
顫
(
ふる
)
わす。突然前方に独り立てるラヴィニアの前に身を投げてその
膝
(
ひざ
)
に己が頭を
圧
(
お
)
しつける。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
雨のようなあなたの情けに潤うて、私の胸につぼみのままで
圧
(
お
)
しつけられていた、娘のねがい、よろこび、いのち、おゝ、私の恋が一時にほころびました。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
もっともその際誰が
圧
(
お
)
し
潰
(
つぶ
)
されたかは解らない。あるいは外にいたものの方がひどい
怪我
(
けが
)
をしたかも知れぬ。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
異様な沈黙が法廷を重くるしく
圧
(
お
)
しつけているらしく、満廷、水をうったようにシーンと静まり返っている。群集はまだ何ものかを待っている
容子
(
ようす
)
であった。
墓
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
何しろ僕はこれを見ると同時に一種の
寒気
(
さむけ
)
を覚えて
恐
(
こわ
)
いとも
哀
(
かな
)
しいとも言いようのない思が胸に
塞
(
つか
)
えてちょうど、鉛の
塊
(
かたまり
)
が胸を
圧
(
お
)
しつけるように感じました。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
いつもの住いで自分
達
(
たち
)
を強く
圧
(
お
)
し付けていたような運命が、ここへ移り住んでからは、どうした事か、少しも力を逞ゅうしなくなった。そればかりではない。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
圧
常用漢字
小5
部首:⼟
5画
“圧”を含む語句
圧迫
圧伏
圧力計
抑圧
圧倒
鎮圧
圧石
威圧
圧附
消圧
圧逼
圧搾空気
圧倒的
押圧
圧殺
圧抑
圧縮
圧制者
低気圧
気圧
...