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捺
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お
ふりがな文庫
“
捺
(
お
)” の例文
そしてようやく、復職のめどもつき、あとは
殿帥府
(
でんすいふ
)
最高の大官、
高
(
こう
)
大将の一
印
(
いん
)
が書類に
捺
(
お
)
されれば……というところまで
漕
(
こ
)
ぎつけて
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは、オクターヴォ判型の書簡紙に二枚ほどのものでしたが、認め終ると、その上に金粉を
撒
(
ま
)
いて、さらに
廻転封輪
(
シリンドリカル・シール
)
で
捺
(
お
)
しました。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
出づれば、その道まさり、その伴ふ星またまさる、
而
(
しか
)
してその己が
性
(
さが
)
に從ひて世の蝋を
整
(
とゝの
)
へ
象
(
かた
)
を
捺
(
お
)
すこといよ/\
著
(
いちじる
)
し 四〇—四二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
彼等の頭はみんな半分剃り落されて、ぼうの隙間からは苔の痕が見えた。多数の者は顔一面に黒々と、焼けた鉄で烙印が
捺
(
お
)
されて居た。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
脇差の
切先
(
きっさき
)
を調べて見ると肉には触れている、橋の上をよくよく見ると血の
滴
(
したた
)
りが小指で
捺
(
お
)
したほどずつ
筋
(
すじ
)
を引いてこぼれております。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
可哀相にスッカリ気まりが悪くなった銀行家は、法螺丸の
俥引
(
くるまひ
)
きにも劣るというミジメな烙印を
捺
(
お
)
されて、スゴスゴと帰って行く。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
大「いや/\腹を切る血判ではない、爪の間をちょいと切って、血が
染
(
にじ
)
んだのを手前の
姓名
(
なまえ
)
の下へ
捺
(
お
)
すだけで、痛くも
痒
(
かゆ
)
くもない」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いかにもその赤い花と緑の葉とがその冴えた空気の中にぴたりと
捺
(
お
)
されてあるやうに感じられる。硝子戸を透して見たのなどは殊に好い。
野の花を
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
花嫁は評判の堅い娘で、八百峰の総領とは
許嫁
(
いいなずけ
)
同士、色恋の道行でないことは、
口善悪
(
くちさが
)
ない近所のお
神
(
かみ
)
さん達までが
牡丹餅判
(
ぼたもちばん
)
を
捺
(
お
)
します。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私はまた擦り直す。その時逆にした灰吹の口に近く指に当るところに磨滅した
烙印
(
らくいん
)
で吐月峰と
捺
(
お
)
してあるのがいつも眼についた。
東海道五十三次
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
印
(
いん
)
丈
(
だ
)
けは首にかけて持っていたから、こゝへ何うぞと言ったら、『こゝか?』と見当をつけて、スポンと掛け声をして
捺
(
お
)
した。皆笑ったぜ
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
病やや
間
(
かん
)
になりて、ほのかに武男の消息を聞くに及びて、いよいよその信に印
捺
(
お
)
されたる
心地
(
ここち
)
して、
彼女
(
かれ
)
はいささか慰められつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
中等以上のラマですと、その方法書を自分の侍者に書かせてラマ自身に実印を
捺
(
お
)
し、そしてその書面を尋ねに来た人に渡すです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
しょっちゅうとびついて、そんな風に自分たちの
虚弱
(
ひよわ
)
い体の重みでもって、壁紙のまだらな色模様を
捺
(
お
)
し出しているのだった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
云いつけると、外交部から交付される筈の、外国へのパスポートまで、ちゃんと、印まで間違いのない印を
捺
(
お
)
して
拵
(
こさ
)
えてきた。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
私はもちろん肝心の保証人になって
印判
(
ハンコ
)
を
捺
(
お
)
すつもりであったから先祖伝来の途方もない大きなハンコを一個首からぶら下げ
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
赤い丸い月が出て居る有様を朱肉で丸印が
捺
(
お
)
してあるものとして、一行の雁字と共に
一幅
(
いっぷく
)
を成して居るかのやうにしやれて見たのであらう。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「死んだおやじは明きめくらだったから、証文といっても
拇印
(
ぼいん
)
だけで、それが本当におやじの
捺
(
お
)
したものかどうかさえ調べることはできない」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その約束に
背
(
そむ
)
いたらこないこないしられるやとか、何ぼでも虫のええこと書いたあって、「これでよかったら此処い名ア書いて判
捺
(
お
)
しなさい」
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「名前ははっきり書いてなかった。ただ、差出人の名前に相当するところには、矢を二つぶっちがえた印が
捺
(
お
)
してあった」
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
不断でも支那に行く沖縄の使節は琉球国王の印を
捺
(
お
)
した白紙を用意していて、いざ鎌倉という時にどちらにも融通のきくようにしたとの事である。
沖縄人の最大欠点
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
帰りがけに名を尋ねたら、ゴム印で
捺
(
お
)
した紙切れをくれた。それにはこうあった。酒田市
十王堂
(
じゅうおうどう
)
町弐八金具店白崎孫八。
思い出す職人
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
千代松は
例
(
いつ
)
も自分の坐るところへ例ものやうな形に、
版
(
はん
)
こで
捺
(
お
)
した如くキチンと坐つて、肩を搖り/\低い聲で言つた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
印を
捺
(
お
)
す事はどうも危険ですからやめたいと思います。しかしその代り私の手で出来るだけの金を
調
(
ととの
)
えて上げましょう。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
十五世紀から十九世紀までも英国で行なわれたような、労働立法を制定して、額に
烙印
(
らくいん
)
を
捺
(
お
)
すのが一等だ。
鞭
(
むち
)
で打つのだ、耳を半分切り取ることだ。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
父が持って生れた
任侠
(
にんきょう
)
の性質は、頼まるゝ
毎
(
ごと
)
に連帯の判も
捺
(
お
)
した。手形の裏書もした、取れる見込のない金も貸した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
民さんのお内儀さんが来てたすけてくれといい、彼は海岸にある大森警察署に行って、
請人
(
うけにん
)
の
印形
(
いんぎょう
)
を
捺
(
お
)
してこの男が
鉄柵
(
てっさく
)
の中から出てくるのを
迎
(
むか
)
えた。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
私が夏休みに大川の水練場へ通ったときに毎日出精簿に判を
捺
(
お
)
してもらったところから祖母が思いついたのである。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
その奥には漾虚碧堂蔵書という
隷書
(
れいしょ
)
の印が
捺
(
お
)
してある。さてこの手紙を読むにつけていろいろ思い出すことがある。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
では、蕗屋君、これに署名して、拇印で結構ですから
捺
(
お
)
して呉れませんか。君はまさかいやだとは云いますまいね。
心理試験
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その
時分
(
じぶん
)
、
先生
(
せんせい
)
は
御質素
(
ごしつそ
)
なものであつた。
二十幾年
(
にじふいくねん
)
、
尤
(
もつと
)
も
私
(
わたし
)
なぞは、
今
(
いま
)
もつて
質素
(
しつそ
)
である。
此
(
こ
)
の
段
(
だん
)
は、
勤儉
(
きんけん
)
と
題
(
だい
)
して、(
大久保
(
おほくぼ
)
)の
印
(
いん
)
を
捺
(
お
)
しても
可
(
よ
)
い。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
以上は青幇の問答なので、云う事が判で
捺
(
お
)
したように、ちゃんときまっているのです。云って見れば日本の博徒仲間で行う、仁義というあれなのです。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それとも
烙印
(
らくいん
)
のようなものでも
捺
(
お
)
すとか、そんなわけにはいかんものでしょうかね……さもないと、もしそこに混乱が起こって、一方の範疇の人間が
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
伯爵家から名入りの印
絆纒
(
ばんてん
)
をだして着せ、その上に伯爵の候補者推薦名刺には、大隈という認印まで
捺
(
お
)
してある。
春宵因縁談
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
どれでも判で
捺
(
お
)
したようにおなじで、どこかに型に
外
(
はず
)
れた動きが一カ所でもあれば、すぐわかるものなんだそうです……警察では、追突されたようすも
喪服
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
且
(
かつ
)
、彼女はそのとき妊娠中であったが、獄中で子を生んでは、生れた子に焼印を
捺
(
お
)
すようなものであるから、それやこれやで彼女は少なからず煩悶した。
誤った鑑定
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「女紋の方を
捺
(
お
)
しておくれ」とおっしゃるので、「何になさるの」と聞きますと、「まあ、待ってお
出
(
いで
)
なさい。」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
何故ならこの接吻は、私の
足枷
(
あしかせ
)
に
捺
(
お
)
された封印のやうに思はれたから。その後も、彼はこの儀禮を略さなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ポリッジとベイコンエッグス、ライプドオリーブ、それに紅茶とパンと、十年一日、判で
捺
(
お
)
したような朝食を済ましてから、伊東は松林に囲まれた家を出た。
暴風雨に終わった一日
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
それは庸介へあてたので差出人の名前の代りに、兄が下宿していた旅舎の商用のゴム印が
捺
(
お
)
されてあった。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
毎月、月末ちかくに金を
貰
(
もら
)
いに行き、判を
捺
(
お
)
して、屋敷が荒されていないかを事こまかに観察をし、それから湘南海岸の家に金を郵送するのが私の仕事だった。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
虎に殺された者の
尸
(
しかばね
)
を一族の墓地に埋めぬとある、また正月ごとに林地の住民
豕
(
ぶた
)
一疋に村の判を
捺
(
お
)
した
寄進牒
(
きしんふだ
)
を添えて林中に置くと、虎が来て
両
(
ふたつ
)
ながら取り去る
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
それだのに、此の人に逢っていると又昔のように、向うですげなくすればするほど、自分の
痕
(
きず
)
を相手にぎゅうぎゅう
捺
(
お
)
しつけなくては気がすまなくなって来そうだ。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
もう十年早く気が附いたらとは
誰
(
たれ
)
しも思う所だろうが、皆判で
捺
(
お
)
したように、十年後れて気が附く。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
郷里
(
くに
)
に居る正太の知人で、叔父の
請判
(
うけはん
)
があらば、貸出しそうなものが有る。商法の
資本
(
もとで
)
として、二千円ばかり借りて来たい。迷惑は掛けないから、判だけ
捺
(
お
)
してくれ。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
籒、
㩅
(
ちゅう
)
、抽の三字は皆相通ずるのである。抽斎の
手沢本
(
しゅたくぼん
)
には籒斎校正の
篆印
(
てんいん
)
が
殆
(
ほとん
)
ど必ず
捺
(
お
)
してある。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「お前そんなことをしてもいいだかい。自分の娘のことじゃないから、私はまア何とも言わないが、長くいるようじゃダメだぞえ。」と、念を押しながら判を
捺
(
お
)
してくれた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
すると孫はにやりと笑ってポケットから賃貸借通帳を取出し、それにぽんと印を
捺
(
お
)
してこちらに
寄越
(
よこ
)
した。それを見ると家の借り手は、僕と野呂の二人の連名になっています。
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
が、それにも増して驚いたのは、迎えに出て来た十人ばかりの少女で、それが揃いも揃って、まるでハンコを
捺
(
お
)
したように、彼の傍で微笑している小池慶子とソックリ同じなのだ。
地図にない島
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
どっちつかずの
御座形
(
おざなり
)
で、そんな場合にはいつも判で
捺
(
お
)
したように、自分は世間的には誠につまらぬ蛆虫同様の者で、人様からかれこれ心配していただくほどの人間ではないとか
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
捺
漢検準1級
部首:⼿
11画
“捺”を含む語句
捺染
捺印
捺塗
捺羅僧伽補多跋摩
捺摺
押捺
金箔捺
鰻捺
印捺
跋捺囉嚩底
空捺
盲判押捺
捺草
捺羅僧伽
捺染物
捺形
捺印者
捺印的
御捺印