野の花をののはなを
静かに木の立つたやうに、物も思はず、世も思はず、自己をも思はず、人間をも思はず——。 慈悲と言ふことも、頭に上つて来なければ来なくとも好い。他でもなければ自でもなく、自でもなければ他でもない。飽くまで唯、自然に。 障子の桟にもう動けなくなつ …