“排(お)” の例文
誰か? ——とぎょっとしたが、堂の外に見えた人影は、途端にあわてて逃げ転(まろ)んで行く様子なので、又八は猛然と、木連格子を排(お)して
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
旧約時代における同名の先祖ヤコブが、兄エサウを出し抜き、盲目の父イサクを欺いて家督の権を獲得したに類する世俗的野心でありました。人を排(お)し除(の)ける心は、神の国に適わない。
凍(こご)える身を拭いて、範宴は白い浄衣を肌に着、少僧都の法衣(ほうえ)を上に纒(まと)った。そして、六角堂の扉(と)を排(お)しながらはっと思った。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これはいわゆる「話せる男」で、たちまち官兵衛と意気相照らし、紛々(ふんぷん)たる藩中の異論を排(お)しのけて、主人直家に織田随身の決意をなさしめてしまったのである。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
旗岡巡査は、暗い窓口から内へ顔を退(ひ)くと、跫音しずかに運んで、一室の扉(ドア)を、そっと排(お)した。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先に駈け出していた池田三助が扉を排(お)して、階上に呶鳴った。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)