)” の例文
旧字:
この日、夕方までロボの遠ぼえがきこえていたが、日がれると、その声はだんだんに近づき次第にかなしい調子をびてきかれた。
そして、年子としこが、先生せんせいをたずねて、東京とうきょうからきたということをおききなさると、きゅうにお言葉ことば調子ちょうしくもりをびたようだったが
青い星の国へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
また急速に鉄道を敷設しおるが、これにも被害がおびただしい。しかして女子はこの種の危険性をべる事業には従わぬから、女子の死傷は無い。
婦人問題解決の急務 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
しか今度こんどのは半分はんぶん引切ひききつてあるどうからばかりのむしぢや、切口きりくちあをみびてそれ黄色きいろしるながれてぴくぴくとうごいたわ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その代り食べ頃はたった一日か二日でその時食べないときに腐敗しかけて酸味すみびます。そうなるとモー食べられません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
よほどふかいものとえまして、たたえたみずあいながしたように蒼味あおみび、水面すいめんには対岸たいがん鬱蒼うっそうたる森林しんりんかげが、くろぐろとうつってました。
たまた荷葉かよう披麻ひますものあり、波浪をあろうてもっず、交替去来、応接にいとまあらず、けだし譎詭けっき変幻中へんげんちゅう清秀せいしゅう深穏しんおんたいぶ。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
それからコイルの内に磁気を全くびない鋼鉄の棒を入れ、これを日光にさらしつつ廻して見たが、やはり結果は無かった。
墺といい、伊といい、あるいは英仏といい、みな幾分かその臭味をばざるものはあらず。ただかの二国はことにそのはなはだしきを見るのみ。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
岩下佐治右衛門いわしたさじうえもん重野孝之丞しげのこうのじょう(後に安繹あんえき)、そのほかに黒幕見たような役目をびて来たのが大久保市蔵おおくぼいちぞう(後に利通としみち)、その三人が出て来たところ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
と、燕作えんさくはソロソロ狡獪こうかい本性ほんしょうをあらわして、なれなれしく竹童のびている般若丸はんにゃまるつば目貫めぬきをなでまわしながら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私の話しつつある間、老婦人の顔に、一種の獣性をんだ表情がうかびましたが、だんだんそれが露骨になって行くのを私は見のがさなかったのです。
血友病 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
五二 馬追鳥うまおいどり時鳥ほととぎすに似てすこし大きく、はねの色は赤に茶をび、肩には馬のつなのようなるしまあり。胸のあたりにクツゴコ(口籠)のようなるかたあり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
やがて注射器の硝子筒ガラスとうの薬液は徐々に減ってゆきました。その代りに、兄の顔色が次第に赤味あかみびてきました。ああ、やっぱり、お医者さまの力です。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
スカシユリは、ふつうに栽培さいばいして花を咲かせていて、その花色には赤、黄、かば〔赤みをびた黄色〕などがある。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
豊雄一七八やや此の事をさとり、涙を流して、おのれ一七九更に盗をなさず。かうかうの事にて、あがた何某なにがしが、さきつまびたるなりとて得させしなり。
その半面よこがおを文三がぬすむが如く眺めれば、眼鼻口の美しさは常にかわッたこともないが、月の光を受けて些し蒼味をんだ瓜実顔うりざねがおにほつれ掛ッたいたずら髪
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ただ官職をびて巡廻するものが、轎夫きょうふなきために一歩も進めなくては公務のためにうれうべきことである。ゆえに公務のために自分らの労力を提供したのである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
為めに頭をやさんとするもかなしいかな水なきを如何せん、鹽原君ぶる所の劔をきて其顔面にて、以て多少之をひやすをたり、朝にいたりてすこしく快方にむかひ来る。
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
ほかに非常に大切な用向ようむきびて居るので、実は一日もここに止まって居ることが出来んのであるから、どうか私が今日ここに来て願書を出したという書付かきつけだけ下さい。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
さのみしげくもないかばのほそぼそとしたみきは思いがけずも白絹めく、やさしい光沢こうたくび、地上に散りいた、細かな落ち葉はにわかに日に映じてまばゆきまでに金色を放ち
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
僕はひとりごちながらさっそく牛舎に行ってみた。熱もあるようだ。臀部でんぶ戦慄ふるえを感じ、毛色がはなはだしく衰え、目が闇涙あんるいんでる。僕は一見して見込みがないと思った。
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
絶頂の苔蒸こけむして、雅味がみんだ妙見の小さな石の祠のあるあたりには、つつじの株最も多く、現在では蛍袋ほたるふくろおびただしく花をつけており、しもつけもまだのこんの花を見せている。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
わたくし平生へいぜいの通りKと口をきながら、どこかで平生の心持と離れるようになりました。彼に対する親しみも憎しみも、旅中りょちゅうかぎりという特別な性質をびる風になったのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
其子そのこの身に宿りしより常に殺気さつきべる夢のみ多く、或時は深山しんざんに迷ひ込みて数千すせんおほかみに囲まれ、一生懸命の勇をならして、その首領しゆりやうなる老狼らうらう引倒ひきたふし、上顎うはあご下顎したあごに手をかけて
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
一行がこの絶頂に於て非常に驚いたのは古来いまだかつて人間の入りし事のないちょうこの山のいただきに多年風雨にさらされ何ともいえぬ古色をびた錫杖しゃくじょうの頭と長さ八寸一分、幅六分
越中劍岳先登記 (新字新仮名) / 柴崎芳太郎(著)
其が朝露をびる時、夕日にえて白金色に光る時、人は雲雀と歌声うたごえきそいたくなる。五日は檞餅かしわもちの節句だ。目もさむる若葉の緑から、黒い赤い紙のこいがぬうと出てほら/\おどって居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
一度び笑えば百媚ひゃくび生ずといわれた美貌も、すっかりやつれ果て、長い黒髪をがっくり横たえて、頭を上げるのもやっとというその姿は、まさに、梨花りか一枝いっし春雨はるあめぶ、という風情であった。
さあ大変たいへんと思ってタネリがいそいでをはなしましたがもうそのときはいけませんでした。そらがすっかり赤味あかみびたなまりいろにかわってい海の水はまるでかがみのように気味きみわるくしずまりました。
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
行燈あんどんながかげをひいた、その鼠色ねずみいろつつまれたまま、いしのようにかたくなったおこののかみが二すじすじ夜風よかぜあやしくふるえて、こころもちあおみをびたほほのあたりに、ほのかにあせがにじんでいた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
しかし、六尺豊な体躯を持っている赫顔白髪の老翁の太古の風貌をべる考えと多情多感な詩人肌の彼の考えと到底一致する筈がない。結局荘子は先哲のどの道にもかず、己れの道を模索し始めた。
荘子 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
御声に曇りがばれて来られた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その夜は珍らしく雪が晴れて、雲間から淋しい冬の月が洩れている……一望いちぼう漠々ばくばくたる広野の積雪は、寒い冴えた月の光りをんで薄青く輝いていた。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
げんただいま命様みことさまにはなにかの御用ごようびて御出おでましになられ、乙姫様おとひめさまは、ひとりさびしくお不在るすあずかってられます。
困惑こんわくの目の色がだんだんと憤怒ふんぬの光をびてきた。だが、今夜はそんなことでおどろくようなあたしじゃない。
俘囚 (新字新仮名) / 海野十三(著)
桜山さくらやま背後うしろに、薄黒い雲は流れたが、玄武寺げんむじみね浅葱色あさぎいろに晴れ渡って、石をり出した岩のはだが、中空なかぞら蒼白あおじろく、底に光をびて、月を宿やどしていそうに見えた。
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その葉面ようめんは心臓形で左右不同の歪形わいけいていし、他の植物の葉とはだいぶ葉形が異なっている。茎とともに質がやわらかく、元来がんらいは緑色なれども、赤味をびているから美しい。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
なかに、目立つはひとりの将、漆黒しっこくの馬にまたがって身にはよろいをまとわず、頭にかぶとをかぶらず、白の小袖こそでに、白鞘しらさやの一刀をびたまま、むち裾野すそのにさして、いそぎにいそぐ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白い部分は光沢を失ってやや青みをんでいる。引き締まった顔がいよいよ引き締まって、は何となし曇っている。これを心に悩みあるものと解らないようでは恋の話はできない。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
すぎ鳶色とびいろになり、松は微黄びこうび、はだかになったかえでえだには、四十雀しじゅうからが五六白頬しろほ黒頭くろあたまかしげて見たり、ヒョイ/\と枝から枝に飛んだりして居る。地蔵様じぞうさまの影がうっすら地に落ちて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
先年名佐なさ技師ぎし地質調査ちしつてうさの為め探検たんけんして之よりかへられし処とす、衆露宿ろしゆくを此にる、人夫十数人拮据勉励きつきよべんれい、大石をのぞきて磧中をり温泉塲二ヶしよつくる、泉石幾年のこけ汚穢をくわい甚しきを以て
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
卯をうさぎに当てた十二獣の説は、程なく我邦わがくににも入ってきてはいるが、歌にしばしばまれた「神まつる卯月」稲の種播たねまくこの月の名だけは、今もってウサギの月というような語感をびてはいない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
何故に鶏卵の古きものは新しきものより光沢つやぶるや
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
まだ青味あをみびた棕梠しゆろはな
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
彼が教壇の上に立って、讃美歌を捧げる時のその声は、高い、太い声だけれど、またいたましい、かなしみをんだ何処どこやら人に涙を催させるような処があった。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
電波は長波ちょうは中波ちゅうは短波たんぱと、だんだん波長が短くなってきて、もっと短くなると超短波ちょうたんぱとなり、その下は極超短波ごくちょうたんぱとなる。そのへんになると赤外線せきがいせんの性質をびて来る。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
葉をけんして見ると、バナナの方が葉質ようしつがじょうぶで葉裏が白粉はくふんびたように白色はくしょくていしており、そして花穂かすいほう暗赤色あんせきしょくであるから、わがバショウの葉の裏面りめんが緑色で
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
わしそのまゝらしたが、の一だん婦人をんな姿すがたつきびて、うすけぶりつゝまれながらむかぎししぶきれてくろい、なめらかな、おほきいし蒼味あをみびて透通すきとほつてうつるやうにえた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
竹林ちくりんのやみに、夜の風がサワサワゆれはじめると、昼はさまでに思えなかった水音みずおとが、いちだんとすごみをびてくる。——ことに今夜は、小屋のをともす者もなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しゆにばみ星のごと潤味うるみ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)