)” の例文
かねると、生徒せいとらは、さきあらそって廊下ろうかからそとへとかけしました。そのとき、りょう一は、先生せんせい教員室きょういんしつへいかれるあとったのです。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、つかれてきたはねにバサバサとちからめて、ひつかうとするけれど、ラランのやつはさつさとさきびながら、いたもので
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
あのヤギのおかげで、仕立屋さんは三人のむすこをいだしてしまったのですがね。では、これから、そのお話をしてあげましょう。
「みんなはね、ずいぶん走ったけれどもおくれてしまったよ。ザネリもね、ずいぶん走ったけれどもいつかなかった」といました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
これで勝負しょうぶはつきました。芦屋あしや道満どうまんくらいげられて、御殿ごてんからされました。そして阿倍あべ晴明せいめいのお弟子でしになりました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
どっちにしても、ここ二、三日のうちに果心居士かしんこじめいをはたさなければ、こんどこそ竹童、鞍馬山くらまやまからンだされるにきまっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さうしちやうま裾湯すそゆえてねえつてつちや家族うちものことしてなあ、百姓ひやくしやうはおめえ夜中よなかまでねむんねえでつちやらんねえな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
半年ばかりたつ何者なにものとも知れず、はかあばいて石をぬすさつたものがある。子は手掛てがかりがないのでふことも出來ず其まゝにして二三日たつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
みぎうち説明せつめいりやくしてもよいものがある。しかしながら、一應いさおうはざつとした註釋ちゆうしやくはへることにする。以下いかこううてすゝんでく。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
芸術上ばかりではない。私は文芸に関係が深いからとかく文芸の方から例を引くが、その他においても決してかないものはない。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なんゆゑともらねども正太しようたあきれてひすがりそでとゞめてはあやしがるに、美登利みどりかほのみ打赤うちあかめて、なんでもい、とこゑ理由わけあり。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あとすがつて来た小山内氏は、犬養木堂が外交調査会の会議室に入つてくやうにつんと済ました顔をして車掌台に足をかけた。
機関車きかんしゃの前へのこのこでてきてにげようともしないので、汽笛きてきをピイピイらしてやっといはらったというような話もあった。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
つい、となり十四五人じふしごにんの、ほとん十二三人じふにさんにん婦人ふじん一家いつかは、淺草あさくさからはれ、はれて、こゝにいきいたさうである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それがいまではすっかりいはらわれて、もう全滅ぜんめつするばかりです。人里離れた二、三の場所に、その姿を見かけることがあるだけです。
此時このときうれしさ! ると一しやくぐらいのあぢで、巨大きよだいなる魚群ぎよぐんはれたために、偶然ぐうぜんにも艇中ていちう飛込とびこんだのである。てんたまものわたくしいそ取上とりあげた。
〔譯〕心は現在げんざいせんことをえうす。事未だ來らずば、むかふ可らず。事已にかば、ふ可らず。わづかに追ひ纔かに邀へば、便すなはち是れ放心はうしんなり。
どうかすると蘇生いきかへつたはちはれてされたといふひとはなしきました。さうなると鐵砲てつぱうをかついでけものちにくもおなじやうなものです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
その堤の松には首縊くびくくりの松などといういやな名の附いていたのもあった。野犬が巣を作っていて、しばしば往来の人をんだ。ぎも出た。
三崎町の原 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
亀池かめいけしたでおじいさんの乳母車うばぐるまいついた。ぼくたちはおじいさんの息子むすこさんにわけをはなして、おじいさんをこちらへけとった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
家鴨あひるくちばしつつかれたり、牝鶏めんどりはねでぶたれたり、鳥番とりばんおんないかけられるなんかより、どんなにいいかしれやしない。
うちはういく面白おもしろかつたかれないわ』とつぶやいて、最早もうこれでおほきくもならなければちひさくもなれず、其上そのうへねずみうさぎ使つかはれるんなら。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
時折りはぎ、ブッタクリ、強姦、強盗、殺人犯人なぞいう物凄い連中が、時を得顔に出没している有様であった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それを拔いてたべている間にお逃げになりました。のちにはあの女神の身體中からだじゆうに生じた雷の神たちに澤山の黄泉よみの國の魔軍を副えてわしめました。
てやつた。ところが、仕事つてやつがなかなかないのさ。今はどうかかうかやつてますけどね、悪戦苦闘ですよ
落葉日記 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
誰一人だれひとりものもなかろうとおもったのが、手落ておちといえばいえようが、それにしても、しん七があとってようなぞとは、まったくゆめにもおもわなかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
当川あてかは(三角なるあみにてとるをいふ)○ひ川(水中にくひをたてあみをはり、さほにて水をうちさけをおひこむ)○四ツ手網であみ(他国におなじ)○金鍵かなかぎ
ややありて旅費りょひもとめてここを去りぬ。後に聞けば六郎が熊谷に来しは、任所にんしょへゆきし一瀬があといてゆかんに、旅費なければこれをぬとてなりけり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
いつもひとつの修行しゅぎょうからぎの修行しゅぎょうへとてられてまいりましために、やっと人並ひとなみになれたのでございます。
そして、とうとういつめられて、みよこの家のよこの、ボートがきしにあげられてあるところまで走ってきた。そのむこうは、もう湖水こすいで、ゆきどまり——。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
路にははんのまばらな並木やら、庚申塚こうしんづかやら、はたやら、百姓家やらが車の進むままに送り迎えた。馬車が一台、あとから来て、砂煙すなけむりを立ててして行った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
旅硯たびすずりとり出でて、御灯みあかしの光に書きつけ、今一声もがなと耳をかたぶくるに、思ひがけずも遠く寺院の方より、七三さきふ声のいかめしく聞えて、やや近づき来たり。
をとこうらめしさうにうちはうにらんで、泣く/\むかうへかうとすると、おとツつアんエーとつて女の子がけてるから、どうかおつかさんのところかへつてくれ
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「お礼といったところで、何も土産みやげを持って来やしないよ、俺らは主人の家をちまったんだから」
ひどいわ ひどいわ アーン ぢやピチちやん あんたは泥棒どろぼうつかける夢より見ないんだわ アーン
病人びやうにん不安ふあん室内しつないたゞよはしてゐたが、なにものをいひたさうに、K夫人ふじんうごはうつてゐた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
いや、誰も憎いとははんよ。憎いんなら誰に遠慮ゑんりよも義理もあるもんか、とツくにしてしまふさ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ただ、ぼくはその古着屋ふるぎやで服をきて、すがたをととのえなくては、こまるんだ。それだのにおやじは、ぼくをいまわして、ピストルでつつもりなんだから……。
と三度呼んでお吉は彼にすがった。お吉は右衛門の前へ廻わってキッとその顔を見詰めたのである。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
つたか今の話しをきたるやつにがしはせぬと飛掛とびかゝつて捕るたもと振拂ふりはらひお梅は聲立人殺し人殺しぞと呼所よぶところへ昌次郎のあとうて此所へ來かゝる親上臺は女のさけびごゑを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
岸邊きしべまるくかたまつてゐた兵士へいし集團しふだんはあわててした。わたしもそれにつづいた。そして、途切とぎれに小隊せうたいあとつてやうやくもとの隊伍たいごかへつた。はげしい息切いきぎれがした。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
えらい人になるためにうたをつくりたいんだね。そして、歌をつくるために偉い人になりたいんだね。それじゃあ、尻尾しっぽっかけてぐるぐるまわってるいぬみたいだ。」
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
はじめから気質きしつはない家族かぞくとの折合をりあひふにしたがつて円滑ゑんくわつにはかなくなり、なにかにつけておたがひかほあからめ言葉ことばあらくするやうなこと毎日まいにちのやうになつてたので
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
ようぎやの強姦ごうかんやのがあったりしてえらい物騒ですよって、いッつも晩おそう帰るときにはお梅どんが附いてるときでも停留所の前からくるまに乗って行きますさかい
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
母の愛すほかの兄妹を憎み、なぜ私のみ憎まれるのか、私はたしか八ツぐらいのとき、その怒りに逆上して、出刃庖丁でばぼうちょうをふりあげて兄(三つ違い)をまわしたことがあった。
石の思い (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
花時はなどきに上野の方へ人出の多いは不思議がないが、昼でもぎの出そうな佐竹の原へこんなに人出があるとは妙な時節になったものだと思って仕事をしていたことであった。
僕は大急ぎで立ち上がってまたあとをいかけました。そんなふうにして、帽子は僕につかまりそうになると、二けん転がり、三間転がりして、どこまでも僕から逃げのびました。
僕の帽子のお話 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
エチエンヌはすっかりいきを切らして四人にいつきます。四人がそんなゲートルをはかされているのを見ると、よろこんでいいのか、かなしんでいいのかわからないような気持きもちです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
「オ! 三つ揚羽あげはの蝶がへえってゆく。宇都木うつぎさまだぜ。絵のような景色だなア」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
三七 境木峠さかいげとうげ和山峠わやまとうげとの間にて、昔は駄賃馬だちんばう者、しばしば狼に逢いたりき。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)